【献本お礼など】
「医薬経済」11月1日号と同「創業30周年記念図録」のご恵送を受けた。
ありがたく感謝いたします。
1)挟み込みの「ご案内」によると、「医薬経済」は初めタブロイド紙として創刊され、2000年に現在の月二回刊の雑誌形式に転換、「医療・医薬品」の新しい業界専門誌として再スタートしたそうだ。
これまで同誌の表紙絵を誰が描いているのか分からなかったが、素敵な表紙絵をこの図録はすべて再掲している。
1968年生まれの美術作家「ふるかわひでたか」という人だそうだ。
愛知県刈谷市の出身で、東京芸大で油絵を学んでいる。
図録はアート紙のページに4枚の表紙絵を掲載し、作者によるユーモアとペーソスに溢れた短い解説がある。
広島県美展に油絵が入選したこともある、絵の好きな「連れ合い」が見たら喜びそうだ。
私は「年輪」という今年1月15日号の表紙絵を見て、年輪年代学を思い出した。すでに1970年代のアメリカでは遺蹟の木材の年輪から正確な「伐採年代の計測」が可能だったのに、日本の考古学会はそれも知らず、「旧石器遺跡捏造事件」(2000)を起こしてしまった。
当時ワシントン・ポストの日曜版は「大陸移動説」を詳しく紹介していたのに、1980年代に広島大総合科学部のある地理学者が、それを知らなくて驚いたこともある。
「修復腎移植」に限らず、日本は何もかも「ガラパゴス化」しているように思います。「ガラケー」という用語は、カタカナだが和製語でです。「現代用語の基礎知識2018」(自由国民社)にはどう載っているだろうか…
2)同誌11月1日号では、
高橋幸春さんの「移植医大島伸一回顧録⑨シクロスポリン」が大変興味深かった。
大島伸一氏も日本に持ち帰った免疫抑制剤シクロスポリンを使って腎移植の生着率を向上したところ、移植学会からバッシングを受けたのだそうだ。
だから万波さんの「修復腎移植」には内心で共感していると思った。透析利権構造には、臨床腎移植学会、透析医学会などが関与しているが、大島氏は名古屋の長寿医療研究所の名誉総長で、透析利権とは関係ない人だ。
いつも面白いと思う鳥集(とりだまり)徹さんのコラムはベンゾ系の薬の話で、分かりにくかった。
同氏は「文藝春秋」12月号に
「驚愕の事実、東大医学部の落日」
という11ページにおよぶ興味深い記事を書いている。東大の臨床教授の腕が急速に落ちている、という話です。東大医OBの証言をちゃんと取っています。
2004年に国立大学がすべて「独立行政法人」になり、
国費負担分が毎年1%ずつ削減されるようになり、同時に英語論文の数とその雑誌のインパクト・ファクター(IF)=国際的引用度の高い雑誌が重要となる(ネイチャーやランセット、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンなど)ために、教授は臨床能力よりも学者や研究者として研究費を稼ぐ能力が重視されるようになったという。
同じことは地方の国立大学にも当てはまるそうだ。
よく「医は仁術でなく算術になった」と皮肉られるが、
それだけでなく、医学部ナショナリズムの台頭により、旧帝大や大手私学は次第に「天下り先」を失っているそうだ。
医者の業界用語では天下り先をジッツ(ドイツ語で「席」の意)
というが、愛媛大泌尿器科でも教授が阪大出身から自校出身に変わり、万波誠医師を敵視するのを止めたそうだ。
時代が大きく変わりつつあるのを痛感する。
やはり「医者を選ぶのも寿命のうち」だな…
「記事転載は事前に著者の許可が必要です。必ずご連絡いただきますようお願いいたします」
「医薬経済」11月1日号と同「創業30周年記念図録」のご恵送を受けた。
ありがたく感謝いたします。
1)挟み込みの「ご案内」によると、「医薬経済」は初めタブロイド紙として創刊され、2000年に現在の月二回刊の雑誌形式に転換、「医療・医薬品」の新しい業界専門誌として再スタートしたそうだ。
これまで同誌の表紙絵を誰が描いているのか分からなかったが、素敵な表紙絵をこの図録はすべて再掲している。
1968年生まれの美術作家「ふるかわひでたか」という人だそうだ。
愛知県刈谷市の出身で、東京芸大で油絵を学んでいる。
図録はアート紙のページに4枚の表紙絵を掲載し、作者によるユーモアとペーソスに溢れた短い解説がある。
広島県美展に油絵が入選したこともある、絵の好きな「連れ合い」が見たら喜びそうだ。
私は「年輪」という今年1月15日号の表紙絵を見て、年輪年代学を思い出した。すでに1970年代のアメリカでは遺蹟の木材の年輪から正確な「伐採年代の計測」が可能だったのに、日本の考古学会はそれも知らず、「旧石器遺跡捏造事件」(2000)を起こしてしまった。
当時ワシントン・ポストの日曜版は「大陸移動説」を詳しく紹介していたのに、1980年代に広島大総合科学部のある地理学者が、それを知らなくて驚いたこともある。
「修復腎移植」に限らず、日本は何もかも「ガラパゴス化」しているように思います。「ガラケー」という用語は、カタカナだが和製語でです。「現代用語の基礎知識2018」(自由国民社)にはどう載っているだろうか…
2)同誌11月1日号では、
高橋幸春さんの「移植医大島伸一回顧録⑨シクロスポリン」が大変興味深かった。
大島伸一氏も日本に持ち帰った免疫抑制剤シクロスポリンを使って腎移植の生着率を向上したところ、移植学会からバッシングを受けたのだそうだ。
だから万波さんの「修復腎移植」には内心で共感していると思った。透析利権構造には、臨床腎移植学会、透析医学会などが関与しているが、大島氏は名古屋の長寿医療研究所の名誉総長で、透析利権とは関係ない人だ。
いつも面白いと思う鳥集(とりだまり)徹さんのコラムはベンゾ系の薬の話で、分かりにくかった。
同氏は「文藝春秋」12月号に
「驚愕の事実、東大医学部の落日」
という11ページにおよぶ興味深い記事を書いている。東大の臨床教授の腕が急速に落ちている、という話です。東大医OBの証言をちゃんと取っています。
2004年に国立大学がすべて「独立行政法人」になり、
国費負担分が毎年1%ずつ削減されるようになり、同時に英語論文の数とその雑誌のインパクト・ファクター(IF)=国際的引用度の高い雑誌が重要となる(ネイチャーやランセット、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンなど)ために、教授は臨床能力よりも学者や研究者として研究費を稼ぐ能力が重視されるようになったという。
同じことは地方の国立大学にも当てはまるそうだ。
よく「医は仁術でなく算術になった」と皮肉られるが、
それだけでなく、医学部ナショナリズムの台頭により、旧帝大や大手私学は次第に「天下り先」を失っているそうだ。
医者の業界用語では天下り先をジッツ(ドイツ語で「席」の意)
というが、愛媛大泌尿器科でも教授が阪大出身から自校出身に変わり、万波誠医師を敵視するのを止めたそうだ。
時代が大きく変わりつつあるのを痛感する。
やはり「医者を選ぶのも寿命のうち」だな…
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