1日で最大270隻の中国漁船が確認され、そのうち日本の領海内に約70隻が侵入していた―。
尖閣に中国船1日270隻 石垣市民、不安高まる
社会 2010年9月9日 09時37分
尖閣諸島周辺の日本の領海や排他的経済水域(EEZ)では、中国や台湾の漁船による違法操業や海洋調査船による調査がこれまでに何度も確認されている。海上保安庁が警戒を強める中で、中国のトロール漁船と第11管区海上保安本部の巡視船が接触する事態が起きた。尖閣諸島の領有権を主張する中国との関係悪化が懸念される中、国境の海域で操業する八重山地域の漁民や市民の不安も高まっている。(社会部・吉川毅、山城響、八重山支局・又吉嘉例)
「尖閣諸島問題には領土問題は存在しないというのが日本の立場。日本の国内法で対処していく」。仙谷由人官房長官は8日の会見でこう説明し、日本として中国側に抗議と遺憾の意を申し入れたと説明した。一方、中国側は「(尖閣諸島は)昔から中国の領土だ」などと反発。中国の日本大使館前ではデモが発生する事態になっている。
■「手に負えぬ」
今年8月中旬には1日で最大270隻の中国漁船が確認され、そのうち日本の領海内に約70隻が侵入していた―。この数に、関係者は「とても海保だけで手に負える数ではない」と吐露する。
11管によると、ことし8月から尖閣諸島周辺海域で中国船籍と思われる漁船が増加。巡視船と中国漁船が衝突した7日には160隻ほどの中国船籍とみられる漁船が同海域で確認され、そのうち30隻が日本の領海内に侵入していた。
多くの漁船に交じり、中国や台湾の海洋調査船も頻繁に確認されている。
11管のまとめでは、日本の排他的経済水域内で確認した中国や台湾の海洋調査船に注意喚起した件数は2009年度で7件。本年度は9月8日現在5件で、前年を上回るペースだ。
■国の対応要望
尖閣諸島を行政区に含んでいる石垣市の中山義隆市長は「違法操業の疑いがあるとなれば遺憾に思う。尖閣諸島は日本の領土であり、市の行政区域。海保、国にはしっかりと対応してほしい」と求めた。
八重山漁協の上原亀一組合長は「(同海域には)実態として外国の漁船が入り込んでいるため、国は黙認せず、毅然(きぜん)とした態度で取り組んでほしい」と要望した。
尖閣問題に詳しい緑間栄沖縄国際大学名誉教授(国際法)は「日本の国家主権の妨害がなければ無害通航権が認められるが、漁業権など日本の主権を侵す場合は当然主権侵害にあたる」と説明。
同事案は明らかに日本の領海を侵犯しているとした上で「日本の領土であり、日本は国内法に基づき、中国政府の顔色をうかがう必要はなく毅然と対応し、見逃してはいけない」と指摘した。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-09-09_10016/
尖閣に中国船1日270隻 石垣市民、不安高まる
社会 2010年9月9日 09時37分
尖閣諸島周辺の日本の領海や排他的経済水域(EEZ)では、中国や台湾の漁船による違法操業や海洋調査船による調査がこれまでに何度も確認されている。海上保安庁が警戒を強める中で、中国のトロール漁船と第11管区海上保安本部の巡視船が接触する事態が起きた。尖閣諸島の領有権を主張する中国との関係悪化が懸念される中、国境の海域で操業する八重山地域の漁民や市民の不安も高まっている。(社会部・吉川毅、山城響、八重山支局・又吉嘉例)
「尖閣諸島問題には領土問題は存在しないというのが日本の立場。日本の国内法で対処していく」。仙谷由人官房長官は8日の会見でこう説明し、日本として中国側に抗議と遺憾の意を申し入れたと説明した。一方、中国側は「(尖閣諸島は)昔から中国の領土だ」などと反発。中国の日本大使館前ではデモが発生する事態になっている。
■「手に負えぬ」
今年8月中旬には1日で最大270隻の中国漁船が確認され、そのうち日本の領海内に約70隻が侵入していた―。この数に、関係者は「とても海保だけで手に負える数ではない」と吐露する。
11管によると、ことし8月から尖閣諸島周辺海域で中国船籍と思われる漁船が増加。巡視船と中国漁船が衝突した7日には160隻ほどの中国船籍とみられる漁船が同海域で確認され、そのうち30隻が日本の領海内に侵入していた。
多くの漁船に交じり、中国や台湾の海洋調査船も頻繁に確認されている。
11管のまとめでは、日本の排他的経済水域内で確認した中国や台湾の海洋調査船に注意喚起した件数は2009年度で7件。本年度は9月8日現在5件で、前年を上回るペースだ。
■国の対応要望
尖閣諸島を行政区に含んでいる石垣市の中山義隆市長は「違法操業の疑いがあるとなれば遺憾に思う。尖閣諸島は日本の領土であり、市の行政区域。海保、国にはしっかりと対応してほしい」と求めた。
八重山漁協の上原亀一組合長は「(同海域には)実態として外国の漁船が入り込んでいるため、国は黙認せず、毅然(きぜん)とした態度で取り組んでほしい」と要望した。
尖閣問題に詳しい緑間栄沖縄国際大学名誉教授(国際法)は「日本の国家主権の妨害がなければ無害通航権が認められるが、漁業権など日本の主権を侵す場合は当然主権侵害にあたる」と説明。
同事案は明らかに日本の領海を侵犯しているとした上で「日本の領土であり、日本は国内法に基づき、中国政府の顔色をうかがう必要はなく毅然と対応し、見逃してはいけない」と指摘した。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-09-09_10016/