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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

あじサブレ~シーちゃんのおやつ手帖56

2008年07月25日 | 味わい探訪
小田原駅構内のお土産売り場で見つけました。
ザルのような入れ物に入っていて、本当にあじの干物みたい。
とても柔らかいので割れやすいのが難点ですが、
味は大変美味しいですよ☆

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こちら、自由が丘ペット探偵-20-

2008年07月25日 | 投稿連載
こちら、自由が丘ペット探偵局 作者 古海めぐみ    
        20
 夜、春は等々力のマンションの寝室で何度も寝返りを打って寝付けず、
とうとう窓の外が白みはじめて新聞配達のバイクの止まったり走ったりする
エンジン音で睡眠というノリシロが完全になくなってしまったことを悟らされた。
どう考えてもあのハルおばちゃまが語っていた半次郎祖父ちゃんとの話やみんな
でランチしたことなどがウソだったとは、信じられない。ましてや認知症でボケ
ていたなんて思っても見なかった。
春は、結局一睡もせずに自由が丘デパートのスタジオに行った。
今日は頼まれた仕事はなかったが、朝から花のブツ撮りをやりたかった。
本当は、お客さんが来るまでホリゾントの蔭で寝ていたかった。
しかしあえてブツ撮りの練習をして体を使っていた方が気が楽だった。
ただし集中は長時間は続かなかった。
 絞りやシャッタースピードの微妙な調整を何パターンか凝り、花の撮影に
専念して頭の中が空っぽになっていい感じだと思っていると自分の生きている
フィールドのことがどうしても入り込んできた。
自分が得意としていたフィールドワークとしての野生動物や雄大な風景を時の
流れとともに活写していく写真スタイルとは違う、人物やモノを撮っていくこと
に早く慣れて、この東京で自分の生活をしていかなければならない。
ここ、自由が丘が新しい自分にとってのフィールドだったハズなんだから・・・
母と半次郎祖父ちゃんとが用意してくれたこの写真館がちょうど自分の欠けて
いたパズルピースの穴を埋めるように自分の居場所をみつけ、しかもひとりで
生きてきたと思い違いをしていたことにあのハルおばちゃまに教えてもらって
さらに世界が広がって面白くなりかけていたところにあんな、まぼろしだった
みたいな現実を知らされても戸惑うだかりだよ、と春はメビウスの帯のように
くるくる同じ想念が回ってばかりだった。
 午後2時を過ぎても誰も来なかった。開店以来はじめての閑な日だった。
すると春は、睡眠不足なんかすっかり忘れてなんだか奇妙な焦りとも渇望とも
つかない心細い切なさのさざ波が胸の内側の一番柔らかい襞にヒタヒタと打ち
寄せてくるのを感じた。
夕方このまま誰も来なければ店を早めに閉めてもいいかなと昼間撮った花の
写真の画像調整をモニターでやりながら思った。
ちょうどパソコンのシステムを落してカーテンを閉めようかと立ち上がった
ところ背広の男が入口から入ってきた。
「あの、猫田春さんですね。」
と胸から警察手帳を見せて春の正面で立ち止まった。
「はい・・。ああ。刑事さん。」
「福田です。今日は、ちょっと確認してもらいたい写真がありましてやってきました」
とプリントアウトされたカラー写真を春に見せた。
春は、手に取った。
写真に写っていたのは、ミニワゴン車に乗った若い男だった。
「どうですか。」と聞かれてもこんな若い男だったかしらと春は、自分を襲った
犯人だと断言する自信はなかった。
福田刑事は、さらにもう二枚の写真を差し出した。一枚は、コンビニから出てくる
全身像でもう一枚は、夕焼けに染まった河原でモデルガンで狙いをつける同じ男
の顔の写真だった。
春は、ああっとなった。男のシルエット気味の顎の形に見覚えがあった。
「この男です。」
「間違いないですか。」
「この顎の形を覚えています。このガムを噛んで少し角ばって曲がった感じが
似ています。これ、ガム噛んでますよね。刑事さん。」
福田刑事は、その写真を彼女から返してもらって見つめた。
「うん。これ、ガム噛んでるわ。確かに。」
「この人捕まったんですか。」
「いやいや。まだ連続傷害事件の犯人と決まったワケじゃないんですが、同じ
ミニワゴンに乗って狛江の多摩川で捨て猫をモデルガンで撃って虐待していた
ところを通報された男なんですよ。」
「虐待?」
「猫の目を撃ち抜いて三匹が犠牲になったんです。」
「ひどい!」
「猫田さんが襲われた菜の花畑にあった犯人の足跡のシューズの模様が同じだった
んで事情をさらに聞いているところなんです。」
春は、もう一度福田から写真を貰って見つめた。
「あの、この人、ハッカガムを持ってなかったですか。」
「ハッカ?」
福田刑事は、手帳のメモをめくって、ガムの項をみつけると
「はい。はい。確かにハッカ入りガムです。」と顔を上げた。
「ハッカの匂いを覚えいます。」
「有難うございます。近々署の方に来てもらうことになりますがそのときは
よろしくお願いします。」
「わかりました。」
と答えた春は、この日初めて欠伸をした。
 

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