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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

こちら、自由が丘ペット探偵局-40-

2008年12月12日 | 投稿連載
こちら、自由が丘ペット探偵局 作者古海めぐみ
        40
土手の淵に張られているトラロープを佐藤沙織は、潜って
斜面に片足を踏み出して、下にいる上田祐二らしき人物にコ
ンタクトの大きな瞳を細めて眼を凝らした。
車のドアをバタンと閉めた福田刑事は、携帯を取り出すと119
に連絡して「世田谷区宇奈根の多摩川河川敷で不審火です。」
と緊急出動を要請した。
土手の下でその福田の覆面パトカーの点滅するパトランプを
見上げた上田も土手の上のお得意さんの佐藤沙織を発見した。
佐藤さん?
と首を傾げた上田の眼と沙織の眼がカチっと合わさった。
「キッズローブの店長さーん!」
工事中のパイロンに囲まれた土手下にいる上田祐二に向かって
ものすごいスピードで急斜面を手を振りながら佐藤沙織が駆け
下りていった。
びっくりしたのは、祐二だった。
「佐藤さん!」
と顔をあげた祐二の胸にいきなり暗い斜面でブレーキの利かない
ミニスカートの沙織が飛び込んできたので一緒になって濡れた
草原に倒れこんだ。
「店長さん。」
「佐藤さんー・・・」
倒れた上田に沙織が馬乗りになった。
「どうしたんですか。」
「犬飼さんを探しに来たの。」
「健太さん?」
こっくりと沙織が頷いた。上田祐二は、こっちもわからないんだ
と首を振った。
「セイコちゃんの後を追って・・」
「はい。はい。セイコちゃんが来たよ。確かに・・・」
ふたりは、お互いに服の汚れを掃い、中学生みたいにキャッキャ
言いながら立ち上がった。
すると土手の中腹まで来た福田刑事が静かにと二人を制して炎の
方を指さした。「誰かの声がする。ほら。」
セイコちゃんの羽ばたく炎の方の、遠い地底から響く男の声がした。
おーい・・おーい・・・
葦に吹く風に乗って低い亡霊のような声が三人の耳まで聞こえて
きた。福田刑事は、斜面を一気に駆け下りると葦原にぽっかり開
いた「天国の門」の中へ走って行った。
 その川風に漂う亡霊の声の主は、燃えさかる葦原の中に開いた
大きな穴の底にいて、身体を寄せ合って腰まで生コンに埋まった
健太と春だった。
その深い穴底にいる健太の目から丸い世界への入口は、炎で明る
く昼間のように見えた。
「おーい!誰かいないか!おーい。」
「誰かいませんかー」
春も声を絞り出した。
おかしいぞ。急に人の気配がなくなって火が出てきた。と健太は
春の耳に囁いた。どうしたのかしら?と春も新しい不安を瞳に宿
して健太に聞き返した。
「大丈夫ですか。」
その丸い穴の入口に火に赤々と照らされた福田刑事の顔がぬうっ
と現われた。
そしてペンライトが発掘された石の若い男女の彫像になりかけた
健太と春とを照らした。
健太は、ここ、ここだと灰色の手を振って眩しい小さなLEDの
太陽に応えた。
「今助けるから・・・」
福田は、何か梯子かロープがないか、葦原のミステリーサークル
を見回した。
すると燃えているコンクリートミキサーの裏側にふたりの人間が
倒れているのを発見した。
一人は、白髪の五分刈りのシラネで喉から血を流して蹲ってぶる
ぶる震えている。
又もう一人は、長い足をくの字に折って股を両手で押さえて目を
剥いたまま動かなくなっているバール男こと安田真一だった。
福田は、ここにも被害者がいるとすぐに火を避けて這うように近
づいていくと、シラネの喉も真一の股も鋭い牙で服ごと噛み切ら
れているのを目の当たりにした。
しかも二人とも手で出血を押さえて青くなった唇を小刻みにガチ
ガチと震わせていた。
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スターバックスのキャンドルケーキ&スノーストロベリー~しーちゃんのおやつ手帖75

2008年12月12日 | 味わい探訪
スターバックスのクリスマス期間限定ケーキ。
キャンドルケーキはシナモンの香りが効いていて外国っぽい味。
スノーストロベリーはホワイトチョコのコーティングが優しい味です☆
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