カジュアル・アミーガ         本ブログの動画、写真及び文章の無断転載と使用を禁じます。

ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

さすらいー幽霊屋敷19

2009年06月26日 | 投稿連載
幽霊屋敷 作者大隅 充
     19
 駿ちゃん、秀人、元気か。
オレは広島の小学校に来て二ヶ月ぐらいでよーう
慣れん。言葉の最後にじゃじゃってみんなおしり
につけるからなんだかじいさんみたいで笑ったら
なぐられそうになった。
駿から何通もメールをもらったけれどいなくなっ
たパパがおいていった古いパソコンなんでメール
を見たり送ったりするやりかたがわからん。ママ
にきいてもオレよりわからんのでいよいよわから
んままアパートの押入れに入っているんだ。
最近たんにんの奥村先生(こいつはまだ30才の
くせに白が頭のキンニクマンでおこりっぽい)に
すすめられてサッカーぶに入ったから夜かえって
ゴハン食べると駿に手紙を書こうとおもうけどす
ぐに寝てしまう。こんどゆうれいやしきのことで
やっと返事を書いた。
しかしそれにしてもオレがいたらぜったいに秀人
みたいにシッシンなんかしないでひみつの書さい
であのミイラを見つけてどうどうとテレビのイン
タビューに答えたんだけどなあ。秀人はションベ
ンまでちびってさぞかし足でまといだっただろう。
二階のバルコニーからオレがおちてケガしたとき
の大きな犬があかりさんのラリーとイチャついて
いたヤマイヌだったとは思ってもみなかった。
急におそいかかって来たのでバルコニーの手すり
から落ちた。ラリーだったらきっとオレは落ちて
ケガすることはなかったよ。
実はラリーのことは駿たちにはいわなかったけど
あかりさんがめんどうをみていることは知ってい
た。だまっててわるかったがタツヤ兄ちゃんに誰
にも言うなといわれていたのでナイショにしてい
た。ほんとうは兄ちゃんがあかりさんといっしょ
にシューパロの森でラリーにエサをやったり散歩
させていたのを夏に見てしまってオレもエサをや
ったりしたかった。
でもタツヤ兄ちゃんがこわい顔であかりさんに近
づくなと言われたのでゆうれいやしきにラリーの
ねぐらをつくっていたのを遠くから見ていただけ
だった。
ところであかりさんが外国にいったって本当か。
ぜひあかりさんの住所がわかったらしらせてほ
しい。オレと駿ちゃんとのなかだろう。
もう書くところがないのでここでおわる。
バーーーイ。  ヨッチンより
 
 これがヨッチンから来た手紙だった。
僕は、はじめてヨッチンが書いたこんな長いハガ
キの小さくて読みにくい汚い字を頭から最後まで
夜中にもう一度読み直して、もしかしたらこれが
ヨッチンからの最後の手紙になるのではないかと
何の根拠も確証もなくふと思った。
それは、僕たち、秀人やヨッチン、いや5年の誰
もが抱いていた深田あかりさんというひとりの女
の子に対する淡い胸の奥の方でくるくるするよう
な暖かく、苦しい大人の気持ちが生のカタチを失
いかけていることからそのように思うのだ。
言い換えればヨッチンも秀人もタツヤ兄ちゃんも
みんなそれぞれが自分だけに秘密にしていたあか
りさんへの気持ちを二ヶ月の時間という船に乗っ
て、それぞれが新しい世界に住み始めている中で
生の激しい初恋ではなく冷蔵庫の冷凍室にラップ
で包んであかりさんの鮮烈なイメージのまま永久
保存してしまったためにもうこれ以上僕らとラリ
ーと幽霊屋敷を介した深田あかりさんとのトライ
アングルは新しい話題にはならない気がするん
だ。
いま深田あかりさんがこの日本からいなくなって
連絡先もわからない。僕らは、幽霊屋敷の秘密を
自分たちの危うい探検で偶然にも手に入れること
ができて、この夕張の町だけでなく北海道や日本
中の人たちに小さな町の特ダネニュースとして
提供することができた。
そして僕らは、この冬が終わるとあかりさんと同
じ六年生になる。季節が止まらないで巡るように
僕らの中の冒険と初恋は、確実にその輝かしい姿
のまま留まってくれずに想い出になり始めている。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パティスリー・クレヨンのシーズー~シーちゃんのおやつ手帖98

2009年06月26日 | 味わい探訪
尾山台ハッピーロード商店街の中にある
お洒落なケーキ屋さん。
シーズーと名付けられたケーキですが、
実物はもっと耳が尖っていてフレンチ
ブルっぽい感じです。
この絵ではシーズーらしく少しアレンジ
して描いてしまいました・・・
…忠実でなくてすみません!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする