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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
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Connie Talbot 天使の歌声

2011年02月19日 | お宝テレビ館
コニーちゃん


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さすらいー森の王者22

2011年02月19日 | 投稿連載
森の王者 作者大隅 充
    22
 太陽が燦々と照り返している。
北見農場は、トウモロコシの収穫に追われていた。まじ
めなカブトムシのようなトラクターが広い畑の丘陵を点
々と這いずり廻ってトウモロコシの茎を刈り取り、積み
込んでいた。刈り取り機の真上は、黄色いトウモロコシ
の茎や葉のカスが舞って煙のように立ちあがっていた。
そしてそのさらに上をカラスやヤマドリが荒海の餌場に
群れるトンビのようにひらひらと刈り取り機について空
中遊泳をしていた。
 その広大な畑の丘の上に国道が一本貫いていてその路
肩に十トントラックが収穫されたトウモロコシをどんど
ん積み込んでいた。トラックの腹には、岩見沢陸運と書
かれていた。小さなトラクターが畑の畔道から這い出て
来てそのトラックの後ろに着くと積荷を小から大へ移し
替えていた。トラクターを操作をしている農場の男はみ
んな年老いていて身体は、ガッチリしているが顔は皺く
ちゃの真っ黒な顔色の爺さんばかりだ。
 それに比べて岩見沢運送の運ちゃんは、色が白くひょ
ろりと背が高く若かった。しかも一見ひ弱そうに見える
がそのひょろり運ちゃんは次から次から老農夫が運んで
くるトウモロコシの束を十トンの荷台の上で奥から順序
よく並べてゆくのを黙々とこなしていた。
「純平ちゃん。おんな、いんべ。」
「・・・・・」
「日焼けもしないで夜な夜な遊んでんだべ。」
 白い顎ひげの小太りな渡辺進治郎がにやけた顔で純平
の働く荷台へひょいと飛び乗り聞いた。
「純平ちゃん。まじめそうな顔して、旭川のラーメン街
で色っぽい女と手をつないでいたの、見たって奴いるけ
ど・・」
「人違いっしょ。」
純平は、きっぱりと言い、汗を拭いてドカンと荷台に置
かれた結束用の縄の輪っかをソファ代わりにしてコロン
と寝ころんだ。
「このー、色男。」
と進治郎は、純平のはだけた胸に手を突っ込んで乳首を
摘んだ。
痛ていよ・・・順平は怒ってはみせたがすぐにくすぐっ
たくてケラケラ笑ってしまう。
「オンナなんていないっス。」
「またまた・・・」
 今度は進治郎爺さん、純平の尻を摘もうと手を伸ばし
た。当然純平、くるんと転がって避けた。
「おーい。鹿内君。その爺さん、オカマだぞ。アブねえ
ぞ。」
 トラクターを運転して来た北見実が大型の荷台の進治
郎にトウモロコシのむき身を投げつけた。
「社長。当たったら怪我するべ。」
「トウモロコシで怪我するタマか。早く収穫作業に戻れ」
「・・本当。人使い荒いんだもんよ。」
と渋々荷台を降りて進治郎は、自分のトラクターに飛び
乗り、畑の丘を登り出した。
「どうだ。もう一年だ。馴れたか。」
社長が純平にそう言いながらトウモロコシの実を投げて
渡す。
「ええ。この農場気に入りました。」
 純平はそういうとトウモロコシに齧りついた。
「甘めーい。」
「そうだろ。茹でなくても内のは美味いんだ。」
 純平は、荷台からひょいと飛び降りた。
「面白いの、見つけたんだ。見てみるか。」
 北見社長の言う面白いものは、トウモロコシ畑と牧羊
小屋の間にあった。
 畑の柵と羊の小屋の囲いの間の農道に頭と肢の先しかな
いシカの死骸があった。ハエが群がっているのを見るとま
だやられて数時間しか経っていないことが純平にもわかっ
た。そして一緒に乗って来た北見社長のトラクターから純
平は降りて倒れた雄ジカの立派な角を触った。
「これ、畑荒らしのシカっしょ。」
「ああ。いつも頭悩ましていたシカの親分だ。その立派な
角が証拠だべ。」
 社長もトラクターの運転台から降りて畑の柵に手をかけた。
「誰がこんなに、うまく料理したんですか。」
 その純平の言葉に答えず社長は、道を大股に歩いて隣り
の羊の小屋を柵越しに覗いた。牧羊犬が激しく吠えるのに
驚いてゴソゴソ小屋の中を動き回る羊たち。社長の北見が
人差し指を立てると番犬はピタと吠えるのをやめた。純平
は、それに感心しながら牧羊舎に目をやり聞いた。
「羊もやられたんですか。」
「いや。みんなピンピンしとる。一匹も欠けずにな。」
「じゃ、誰がシカの死骸をここに運んで来たんですか。ま
さか嫌がらせ?」
「とんでもない・・・逆だ。畑を救ってくれたんだ。畑を
荒らしに来たシカの親玉を見せしめにして。この場で倒し、
息の根をとめ苦しまないようにして心臓から食べた。その
後はその襲った奴の仲間たちの夕食になった。」
「熊・・・」
「熊なら、牧羊犬の白が吠える。まったくうんともすんと
も鳴かなかったらしい。たぶん尻尾を巻いてぶるぶる震え
てたんだろよ。この白は。」
「では・・・」
「オオカミだ。」
「オオカミ?」
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