「島の台所 旬彩」に行く。
本来はお昼ご飯を狙っていたのであるが、いろいろあって夜ご飯に。
17時40分に入店する。
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17時半開店の17時40分。
なのに、お客さんがもうそこそこ。
団体客ひとつ、マダム二人組ひとつ、というお客さん勢。
ここに来たのは、実はひとつタレコミがあって。
「江田島のゆめタウンの近くに定食屋さんみたいな小料理屋さんみたいなところがあるんですが、そこのお刺身は絶品」らしいと、同僚Yさんから情報をいただいたのです。
それは、たぶんここだ。
さてどうしようかな、とだからこれは迷う振り。
メニューを感心しながら見ているけれど、頼むメニューは決めている。
「お刺身盛り合わせをください。」
あとは江田島牡蠣がいただけるお店らしいので、カキフライを。
お酒は、なんとなく瓶ビール。
瓶ビールって、ちびちび飲むのが似合う。
(さて、18:38くらいのゆめタウン横発のバスで中町桟敷【※港へ行く便】で帰れればいいな。
それが駄目なら19:29の便でもいいや)
と帰りの便を考えていたら、来る。
盛合せ。
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3種くらいの盛りかと思って呑気に構えておったら5種、いや6種ある。
タコ、イクラ、イカ、ハマチ?、タイ?それにこれはヒラメか。
リトル竜宮城、って感じだ。
これから舞い踊るのだ。
ちょんちょん、ぱく。
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清らな味。
純粋種のフィッシュ味。
これはもう麗らかな、ああ、これは好きな魚だ。
イカ。種類はわかんないんですけどね、紋甲イカとかその類でしょうか?
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これもなかなか純白。嚙むともしゃすって応えで歯茎の内奥を喜ばせる。
何がムシマルをこう喜ばせるのだろう、何が、誰を。
(そうだ、切り身が結構大きいんだ)
おさかな天国高知県は、割と切り身が大きい(気がする)んですが、ここのお魚はそれに近い身の厚さ。
ハマチもおいしいなあ。
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ワサビのノリの良さ。
ダンスフロアーが滑らかだと醬油もワサビもこのようにタンブリングするのであろうか。
だからだよ、理由というのなら、それがすべてだ。
ここに来た目的を現在進行形で完遂している。ベルリンの壁のように突き崩しつつある。
イクラもあっさりと(醤油がくどくなく)さりげなく濃厚。
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これはもう、終局だ。
終局ではなかった。
カキフライが来る。
予期が半分、半分が不意。
注文したから、来るのはわかっていた。でもわかっていなかったのはその大きさ。
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あれ、これヒレカツとかフィッシュカツとか、一個だけでメインディッシュになるサイズのやつでないか。
それが5個。
持ち上げてみよう。寝そべっている姿だけでは全貌がわからない。
君達だって、寝仏よりは座っている大仏のほうが大きさを実感できるだろ?
持ち上げる。てこの原理は全く使っていないから手が重い。
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(平手打ちをする女性の、その手の平くらいのサイズはある)
こんなことを書くと、ムシマルが平手打ちをよくされるタイプの人間であるように思われてしまうかもしれない。
ムシマルがされるのは横面打ちと正面打ちと突きである。それを捌いて入り身投げをすることが多かった大学生時代である。
閑話休題、いただかなくては。
そんな言い方では義務みたいであるが、もう義務ではなく権利なんだよ。
意外。タルタルソースではなくオーロラソース。
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極北の香りがするソースで、なのか。
がしぃぃぃっぃ。
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この言い方が正しいかわからないけれど、牡蠣じゃないものに片足突っ込んでる気がする。
ホタテ属性というか。
なんていうか、ムシマルは勝手な解釈なんですが牡蠣って闇属性というか陰イメージな気がしておったのです。
それは、独特の苦みや臭いやドロツルッとした感じやお腹を壊す方がいるデンジャラスなイメージが総合的に植え付けてくれているのであるが、
つまりはこっちはこの牡蠣は違う。と言いたい。
ちょっと甘くて、貝柱のしっかりした底支えの力もあって、なんていうの溢れる主役感!
逆に、好きだった牡蠣のどろ爛熟した風味はちょっと消えてしまっている。
地味だけどひっそり好きだった三つ編みの子が、卒業後にたまたま見たら自信満々にミニスカハイヒールで闊歩されていたたみたいな。ぜ、ぜんぜんちがうきもする。
がががって噛んで食べたところ、この巨大さはあれだ。
たまにある悲しいタイプのコロモ衣詐欺ではない。
自身を過剰に大きく見せる、肥大化した自意識の産物カキフライではない。
ありのままのカキフライさんだ。アナ雪のようなカキフライ。
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それが5つ。
む、素のままでレモンがけカキフライもおいしいなあ。
「ホタテフライ牡蠣の名残を添えて」、っていう感がある。
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落ちていきそう。
落下間、浮遊感を味わったムシマル。
酩酊のムシマルは日本酒に。
外は寒いのだ。
日本酒の熱量、日本酒によってムシマルが発する熱量の存在は、たぶんこの後のムシマルを救ってくれる。
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そう思っての一杯であった。
(あったかい)
でも今度はお酒のつまみが足りなくなりそう。
カキフライはおいしいけれどサクサクして軽さがあるのだ。気を抜くとあっという間になくなりそうであるのだ。
(何か、1品。
おさかな系は、魚貝類は堪能したであるから肉、かなあ。もしくはシメとしてごはん系。
隣の方が頼んでいた牡蠣バターおいしそうだったし、マネして注文作戦もありだな)
とかそんな魂胆の中。
「牛筋煮込み」注文。
500円台でお安かったのと、ムシマルは居酒屋さん行くと結構な確率で筋煮込み頼むのでもはや試金石としての側面を持たせてしまっているのだ。
この店は、『旬彩』はどんな煮込みを出すかと思ったらこんなのが出た。
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きれいな奴だ。
おろしに糸唐辛子にネギ。
色合いが整頓されている。
ぱくりずず。
あ、ポン酢的なもので味付けされたのがわかる。
酸味に定評がありそう。
品がある、と思った。あと10年は最前線で戦えそうに思った。
ゴボウもある。お肉は筋肉の、プルプルした部分とプルツーした部分の混合。
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きゅきゅっと〆るような、よろしさのある
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ああ、ああ、もう終わってしまう島での滞在が終わってしまう。
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お会計は4,200円くらい。
18:25、食事を終える、とりもなおさずそれはムシマルとこの島の別れを意味していた。
今度は自転車で来よう、と思った。
歩いた。無事に18:38くらい発のバスに乗り込める。
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そんなに大きくないバス。
10人ちょい座席。
「いくらで行けますか?」「230円です」
からの、高速バス960円で本土に戻る。
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自衛隊見学はならなかったけど、楽しかったねえ。
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