筆と魔術師と私

あなたは東洋医学を信じますか?

『また病気ネタかよ!?』というお叱りの声が聞こえてきそうでびくびくしつつ書いてるマスターです、こんにちは。びくびく(汗)
いやね、最近本格的な病人生活だったんで、身の回りの話と言えば病気の話と薬の話しか無いわけでして、まぁそこらへんの所は、このデコに貼られた『冷えピタ子供用』に免じて許してやっておくんなせぇ。
なんでダイの大人が子供用なんか使ってるかってぇと、デコが狭ぇもんだから大人用だとはみ出しちまって、すぐに剥がれて『冷え』も『ピタ』もへったくれも無ぇからなんでぃ。けっ。こんちくしょうめが。

と、イキのイイ江戸っ子のフリしてまだ若干びくびくしてるマスターです。
さっさと本題に入らせて頂きます。びくびく(汗)

わしは今まで、『アンチ東洋医学派』でした。
『漢方薬』『整体』『カイロプラクティック』なんかの類も、全くカジリもせずただ一方的に、独断と偏見で否定してました。これにはワケがあります。
『カイロプラクティック』の事をずっと『カイロプラスチック』だと思ってて赤っ恥をかいた悲しい過去のせいではありません(泣)
以前TVで見た、『気功術師』のおじぃちゃんのせいなんです。
皆さんも一度は見たことあるんじゃないかと思いますが、この道ウン十年というイカニモなイデタチの老師とその若き弟子達によるパフォーマンス。
数メートル先に並ばせた弟子達に向かい、険しい顔つきの老師が何やら手をひらひら泳がせている。その動きに合わせて、徐々に弟子達の体が前後に揺れ始める。『ほへやはぁぁぁっ』という老師の一喝と共に、指1本たりとも触れていないのに一斉にバッタリ倒れてしまう弟子達。
そうです。あのパフォーマンスです。
初めてこれを目撃した時、いくらおじぃちゃんフリークのわしでも、『これはインチキだ!ヤラセ以外の何モンでもない!』と思いました。
だってもし本物だったら、『オゥ!東洋ノ魔術師ワンダホー!』とか言って米軍から人間秘密兵器としてのスカウトが山ほど来てるはずじゃないですか。
こんなの嘘です。気功なんて嘘っぱちです。
んなわけで、気功がインチキ=東洋医学も整体もカイロも漢方もインチキ という、詳しい内容はよく分かってないけどなんとなく似たもんは皆インチキだろう的な単純明快な思考経路でこれまで過ごして来たのでした。
・・・ところが。
今回、ゲリラ部隊とバトンタッチするかの如くやって来た体調不良に、ちょっとネットで良さそうな病院を探してみるかな~と、さくさく検索していたわしが発見したとあるHP。
『当院は西洋医学と東洋医学を併用したいいとこドリです!』
むむぅ。こ、こいつは・・・。
ポリシーには反するが、なんかそそられるではないか。
『いいとこドリ!』ってのがいいな、『いいとこドリ!』ってのが。
病院のキャッチコピーとしてそんな文句を使っちゃうセンスが素晴らしいし、なにより消費者(患者?)はいいとこドリに弱いのだ!いいとこドリに!

というわけで、長年のポリシーをあっさり曲げて、その『いいとこドリ病院』に行って来ました。受付で渡された問診表には、『西洋医学のみの治療希望』『東洋医学のみの治療希望』『併用希望』のいずれかを選択する欄があったので、迷わず3番目に丸を付けて提出しました。なんたっていいとこドリですから。
ほいで、いざ診察室へ。
『こんにちは。どうぞおかけ下さい』とにこやかに挨拶して下さった先生は、例の気功師のようなインチキ臭さは微塵もなく、ごくごく普通のお医者様。診察内容も、ごくごく普通の内容でした。一通りの検査を終え、一週間後の再診予約をし、漢方薬の説明を受け病院を出て、処方箋薬局にて通常の西方薬(?)と共に人生初の漢方薬を手に入れ、うきうきうっきーで帰宅したのでした。
なぁ~んだ、東洋医学ったって普通のお医者様じゃん。
今まで偏見持ってて悪いことしちゃったなぁ。
やっぱ試しもしないで決め付けるのは良くないよ。
何でも身を持って体験してみてから否定しないとな。
さぁ~て、人生初の漢方薬のお味は、と。

不味い。
不味いにもホドがある。

・・・いや待てよ。
昔から『良薬口に苦し』って言うじゃないか。
きっと不味さに比例して、効果があるってもんなんだよ。
きっとそうなんだよ、と自分に言い聞かせ、泣きながら一週間、そうです、前回まで続いてた薬ネタはこれなんです、飲み続けましたよ。
そしたらね。
おやまぁびっくり。
いつの間にか症状が消えているではありませんか。

・・・いや待てよ。
漢方薬と同時に西方薬(?)も飲んでたからな。
どっちが効いたのか分からんではないか。
妄信してはいかん。妄信は。
これだという確証を得るまで続けねば、あえてポリシーを曲げてまで未知の世界に踏み入った意味が無いではないか!
この身を実験台にしてでも東洋医学を立証する義務がわしにはあるんじゃぁぁぁ!
(いいとこドリという言葉に魅かれただけという事実は既に曲解されている)

んなわけで、第2回目の診察に行って来ました。
症状の改善具合や経過報告など、ひと通りの問診を終えると、
『じゃぁベッドに横になって下さい。触診します。』
キタキタキタァァァ。
いよいよ来ましたよ。それっぽいのが。東洋医学っぽいのが。
なんか足の裏のツボとか押して『腎臓が悪いです』とか言っちゃうの?
それともお腹をぬたぬたこねくり回したあげく、メスも使わずに『これが腫瘍です』とか言って何やら赤い塊を取り出しちゃう例のヤツ?
そんなわしの不届きな期待など知る由もなく、先生はひたすらわしの全身(おそらくツボと思われる)をあちこち押していきます。
下腹部を押した先生曰く『んん?あなた消化器系弱いですね?』
わし『ぬぉぉぉぉ!?先日まで長期のゲリラに見舞われてました』
先生『そうでしょう、そうでしょう』
上腹部を押した先生曰く『んん?あなた冷え性ですね?』
わし『ぬぉぉぉぉ!?末端冷え性で、夏でも手足の先が冷たいです』
先生『そうでしょう、そうでしょう』

な、なぜだ?
体の一部を押しただけで、何故わしの体質をピタリと言い当ててしまうのだ?
・・・恐るべし東洋医学。
恐るべし東洋ノ魔術師ワンダホー。(先生から魔術師に称号変更)

右腹部を押した魔術師曰く『んん?あなた結構心配性ですね?』
わし『ぬぉぉぉぉ!?子供の頃、運動会の前日はランドセルと紅白帽を両方枕元に』
魔術師『そうでしょう、そうでしょう』
左腹部を押した魔術師曰く『んん?かと言って結構大雑把な所もありますね?』
わし『・・・あ!?そう言えば家計簿はどんぶり勘定です』
魔術師『そうでしょう、そうでしょう』
右上腕部を押した魔術師曰く『んん?ストレスは溜め込まない方ですね?』
わし『・・・ん?・・・あ!?そう言われればそうかな・・・』
魔術師『そうでしょう、そうでしょう』
左上腕部を押した魔術師曰く『んん?でもストレス溜まっちゃう時もありますね?』
わし『・・・ん?・・・んん??・・・そ、そうです・・・かねぇ・・・』
魔術師『そうでしょう、そうでしょう』

ぬぬぅ?なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ。
黒と白の狭間の灰色圏内を上手いことツイて、当たり障りの無い、誰にでも当てはまっちゃうような言い回しで『ウン、ウン、当たってる』という気にさせる誘導催眠の・・・そうだ。これではまるでインチキ占い師ではないか!(魔術師からインチキ占い師に称号変更)

インチキ占い師『それじゃぁね、次はこれを使います』
・・・水晶玉でも出てきちゃうのか?と、ふと占い師の手元を見ると、そこには。

一本の書道用極太筆

インチキ占い師『これで全身なぞると、くすぐったさで色々わかります』


そいつぁ個人的夜の趣味だろ。


というわけで、身を持って東洋医学を体験して来たわけですが、わしも大人です。
たった一人の医師で痛い目を見たからと言って、東洋医学を全面的に否定する気など毛頭ありません。
さらさらないんです。
全否定なんて。

部分(極ピンポイント)否定してやる(泣)
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