やまなすぅいーつ

信玄餅と甲斐銘菓くろ玉をお土産でいただいた。筒井康隆の作品に『鍋焼きうどんに気をつけろ』というのがあったが、この信玄餅、火傷こそしないが鍋焼きうどんに次ぐデンジャー食品として認定されるべきだと思う。とにかく慎重さと集中力を要求される食べ物なのだ。個包装のビニール風呂敷を解き広げて粉が飛び散らぬよう下敷きにし、薄いビニール蓋をぱかりと外し、黒蜜をあふれさせないようソロリソロリと垂らし、あくまで分離しようとする黒蜜ときなこを丹念に根気よく混ぜ合わせ、木の楊枝でぷすりと餅を刺し、きなこと黒蜜の海から救出した餅をソロリソロリと口まで運ぶ。たったこれだけの作業だ。たったこれだけの作業なのだが、問題は、この数分間の作業中に突発的咳・くしゃみに必ず襲われる、ということだ。間違いなく出ます出します出させます、咳・くしゃみ。あ、あ、今はだめだめ駄目なのよ、今出たら駄目駄目、だめですだめなの、あ、あ、ぶぇーっくしょい。部屋中にきなこ舞い飛びテーブル上には黒蜜だんだらサイケデリック模様が描かれ、それはもう阿鼻叫喚の地獄絵図。なにが言いたかったかと言うと、信玄餅は細心の注意を払って食べましょう、それでも必ずくしゃみは出るので掃除の覚悟もしておきましょう、ということだ。そしてこのストラップがちょっと欲しいと思ったりもしているマスターなのでした。
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