旅するくも

『旅が旅であることを終わらせる為の記録』

アメリカ建国とイロコイ民主制

2011-07-08 07:51:26 | 編集長の本棚
『アメリカ建国とイロコイ民主制』
D・A・グリンデ・Jr.
B・E・ジョハンセン
星川 淳 訳
みすず書房

普通の本の2倍くらいの分量があり、なかなかしぶとい本だった。
この本の前に読んだ「魂の民主主義」よりもさらにイロコイ民主制がアメリカ建国に
与えた影響を詳しく載せてある。
星川淳さんは良い仕事をすると思わせられる。

本の中で特に印象的だったのが部族社会における女性の役割だ。
部族の代表を選ぶのも女性であれば、解任するのも女性、戦争の最終的な決定権を持つのも
女性だ。
家の財産を所有しているのも女性なら、離婚する場合は女性が結婚相手の男性の所有物を建物の
外へ放り出しておけば離婚が成立するという。
社会における女性の地位が現代と比べると非常に高いことがよくわかる。

このあいだ、久しぶりに北山耕平さんと連絡をとったのだけれど、
「インディアンであった事を思い出そうとしはじめた人たちとたくさん出会った」と
言われていた。
僕もまわりを見回すと、インディアンであったことを思い出そうとしている人と
いままででは考えられないくらい多く出会い続けている。
環境系の活動家の何度聴いても同じにしか聞こえない話ではなくて、何度同じ話を聞いても
全く違う学べる話を求め始めているという印象がある。
そして、それを求めているのは女性が中心であることに、僕はなんら不思議を感じない。
バランスを取り戻す為には女性が本来の場所へ戻っていくのだと。

前にイベントで話をさせてもらったことがあったときに、「環境活動家」という言葉が
出てこなくて、『エコ野郎』という失言を2度も言ってしまったことがあったけれど、
僕の本心だったように思う。
311以前に僕は、インディアンというものを強く言ってこなかったのだけれど、311以降
「エコ野郎」のいうエコという次元ではなく、「われわれはインディアンだった」というところから
伝える必要があると僕は感じている。

われわれはかつて、平等、平和、自由の中にいたインディアンだった。