「省エネ」というキーワードが住宅のみならず、生活の全てにおいて重要なファクターになっている今日この頃ですが、住宅建築における省エネ
のキーワードって言うと、断熱化や気密化が真っ先に思いつく
かと思います。
高気密高断熱住宅については、6/12の記事(長期優良住宅7)でもご紹介した様に、断熱・気密・換気・暖房をバランス良く設計する事が大切です。
そもそも高気密高断熱住宅の目的は、冷暖房費を下げる為
と紹介しましたが、バランスの悪い設計を行うと、結露の発生
や室内の空気の質(空気齢)の悪化
を引き起こしてしまいます
。
世間一般という視野で捉えると、計画換気が義務付けられてから、極端な空気質の悪化はなくなったと思うんですけど、結露対策についてはまだまだかな・・・、いや、ようやく・・・って言うところでしょうか。
今年の3月に性能表示の温熱等級の中に「透湿抵抗比ルール」が提示されました。少なくとも、私の持っている資料では、昭和62年の書籍にすでに書かれているんですけど、ようやく表舞台に立ったという印象です
。
では、「気密化」でイメージするのは、教室に先生が入ってきた時に、日直が最初に掛ける号令ですが、
「それは、起立」か
.
.
まず「気密化でイメージする効果は?」と言うと、隙間風が少なくなる、熱
が逃げなくなると言った所だと思います。少し詳しくなると、室内の湿気
が壁内に移らなくなる効果があります。
そして、これらの効果が得られるように、建物の隙間を減らす設計・施工をする訳ですが、次世代省エネ基準の場合、新潟やそれより南の地域では、隙間相当面積は5.0cm2/㎡以下でいいよとなっていました(改訂前)。
1m真四角の大きさに対して5cm2までの隙間ならいいよという事です。
この5.0cm2/㎡という数値。特別な施工でなくともクリアできると思われています。(ちょっと、意味深な書き方)
おそらく、根太レス工法(簡単に言うと床全面に合板を敷き詰める工法)で壁・天井に石膏ボードを張って、気密測定をすると10棟中7棟位は5.0cm/㎡以下になると思います。
簡単です。だから、気密測定をしなくても、次世代省エネ基準はクリアしてますよって言っちゃうんです。
誰かが。(意味深な書き方)
でも、この気密測定の結果は、空気が漏れていない結果であって、確かに隙間風が入りにくくなったり、熱が逃げにくく
なっているかもしれませんが、湿気
が壁内に移りにくくなっている結果には結び付きません
。
なぜなら、湿気は石膏ボードを簡単に透過してしまうから。スイスイです
。
だから、見た目塞がっているだけでは、気密化したとは言えないんですね。内部結露が発生するかもしれません。
そこで、透湿抵抗比というのが重要になってくるんですけど、住宅で使われる建材には、湿度を通しにくい数値というのがあります。
例えば室内側から紹介すると、室内側表面0.06、石膏ボード0.78、グラスウール0.8、合板10.3、防水透湿シート0.087、通気層0.02・・・です。(厚さで数値は変わります)
単純にこの数値を足して、室内と室外の境目で分けた数値の比率が3~5:1(部位・地域で異なります)以上あれば、湿気が移りにくい壁・天井という事が言えて、内部結露が発生しにくくなります。(上記の場合、境目はグラスウールと合板の間となり、比率は1.64:10.407で完全にアウトです。防湿層付のグラスウールやダイライトであれば数値はまた変わりますが・・・)
よって、気密化とは、見た目的に塞ぐ事と、湿気を通しにくくする事を言いますので、隙間相当面積の測定と透湿抵抗の計算結果がセットで初めて気密設計と言えるんです。
まぁ、隙間係数が5.0cm2/㎡で満足かという疑問を残しつつ・・・。
これは、また次回。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます