この15年位で面材耐力壁を使う住宅が非常に増えました。
かつては筋かいと言って、柱と柱の間につっかえ棒のように斜めに木を入れたものですが、近年はツーバイーフォー工法の影響を受けて、柱と柱の間を合板等で貼り付けてしまう方法も主流になっています。
(素直にツーバイフォーでもいいんですけどね。意匠的な都合で、ツーバイフォーの良い部分を在来工法に折り込んでしまうというのが日本人の器用な所です)
タイトルにある「穴」は二つの意味に掛かっているんですけど、まずは丸い穴(四角い穴でも良いんですが)の話。
打ち合わせの時に設計士が構造上大切な壁ですのでと言って開口部にしてくれなかったのに、現場が始まるとその構造上大切な壁に電気屋さんや設備屋さんが穴をあけています。
「あれは大丈夫ですか・・・?」
と聞かれる事もしばしば。
耐力壁にあけて良い穴は、国交省通知 技術的助言1335号から読み取ると、
面材の厚さの12倍以下、かつ、面材の長さの1/6以下であれば補強は不要とあるので、9mmの面材の場合であれば10.8cm以下、12mmの面材であれば14.4cm以下の穴までは補強が不要になります。
また、50cm程度の穴をあける場合は4方補強する事となっています。(添付図面は3方になっていますが、4方必要です)
一般的な現場での話で言えば、トイレの換気扇(φ100)の穴は大丈夫だけど、洗面所や台所の換気扇(φ150)だと補強が必要と言う事ですね。
但し、面材を製造するメーカーが、実験により独自で開口基準を設け、それが認められていれば、そちらに従うという事になるでしょう。
続いては穴=欠点の話。
どこにでもありそうな間取りですが、このプランの場合、南側に開口部(窓)が多く、北側は開口部が多くありません。
面材耐力壁の場合、開口部以外の全てに張りつける事が一般的ですので、その場合、北側の耐力が強すぎてバランスが悪くなってしまいます。
同時に、1階と2階の壁の量を比べても、1階の方が本来耐力壁がたくさん必要なのに、1階は開口部が多いばっかりに2階の方が丈夫になるケースがあります。
この場合は、例え張りつけても剛性の低い耐力壁として計算をする事で、バランスを保つ事が出来ますが、一番重要な事は現場でも大工さんにきちんと剛性を低くするために釘を打つ本数を減らしてもらう事。
これを伝えなければいくら慎重な計算をしても、全く意味がない事になってしまいます。
この辺が工事監理って事ですね。普通に考えれば、釘はとにかく多く打ちこんだ方が丈夫な建物になると考えがちですが、釘の本数を減らす事の方が建物にとって都合よくなることがあるんですから注意が必要です。
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