ギョーカイ用語で耐力壁。
昔ながらの言葉で言えば「筋かい」ですが、正確には「筋かい」は数種類ある耐力壁の1つになります。スパゲッティがパスタの種類の一つみたいなもんです。
最近は筋かいよりも合板やダイライト等の面材を柱と梁に留め付ける方法もかなり多くなっています。
だから耐力壁は柱と梁に囲まれた壁全体で地震等からの揺れを防ぐ印象がありますが、実は小さな壁も地震等の揺れを防いでいます。
右図の一番左が所謂一番有名な耐力壁です。工事現場でこの様な面材が外周に張り巡らされているのを見た事があると思います。
一方、真ん中は腰高のサッシが付いた場合、サッシの上と下にも小さな壁が出来ます。これを腰壁等の雑壁と言います。
一番右は、内装下地の石膏ボードがこの様な張り方です。(下はフローリング、上は天井があるので石膏ボードは土台や梁には張られていません)こちらは準耐力壁と言います。
ところで、一般的な木造住宅の場合、構造の確認方法は3種類ある事を以前記事にしました。
①建築基準法46条に定める壁量の算定(仕様規定)では、雑壁や準耐力壁は計算に含む事はできませんが、②性能表示ではこれらすべての壁を含んで計算する条件が整えられています。
また、③許容応力度計算では、準耐力壁は構造計算に含む事が出来ますが、雑壁は含む事ができません。
③許容応力度計算においても、全ての壁を含んで計算する事が可能です。
この事で分かるのは、46条の仕様規定の場合、含まれていない壁の事を踏まえれば強度的には上がっているので計算以上の余裕が生まれますが、建物のバランスがどう変化したのかが確認できません。性能表示や許容応力度計算の場合だと、全ての壁で計算を行う分、必要耐力ぎりぎりの設計をしてしまうと余裕がなくなって、設計値以上の期待ができなくなってしまう事が上げられます。
どの計算で行うと良いとか悪いはありませんが、どの方法で計算を行ったのかは設計士から説明を受けておいた方がいいと思います。どの方法を選択して、どの様な安全を設計したのかは建て主の皆さんが知るべき情報だと思います。
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