native dimensions blog

新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

優先される事。

2011-03-04 18:30:50 | 建築雑談

とある本に設計の瑕疵による不具合事例が紹介されていました。

Photo 不具合の内容は、内樋から水が溢れ室内に漏水したとの事。

多くの建物は屋根の雨水を軒先に付けられた雨樋に落として側溝や下水に排水します(外付雨樋)が、中には、屋根の中に雨樋を作る場合もあります(内樋)。

雨樋が露出していない事で外観がすっきりとして格好いいんです

すごくすっきりして格好いいんです

結構イケてます

まじヤバイです

ところがこの内樋。排水の計算がとてもシビアなんです。だって、雨水をスムーズに流せなかったら、溢れてしまって室内に入ってくる確率がかなり高くなってしまいます。例え、想定がしっかりしていても落ち葉等で排水が詰まると溢れてしまうので、万が一を想定してオーバーフローを設けるとか、簡単に点検できるとか、点検時期を小まめにするとか対策が必要です。

陸屋根やバルコニー等の防水工事も同じ事が言えますが、要は特に注意が必要という事。ある意味、設計のだいご味を感じる部分とも言えます。

しかし、この記事は最後に

「ときにはデザインよりも安全性を重視する勇気も必要である」

と締められていました。

見た目よりも安全性を重視する時には、勇気がいる事を初めて知りました。しかも、「ときには」ですから。10ある事例の内、2つ位は安全性を重視しましょうくらいの聞こえ方です。

私は法の範囲内で、建て主さんと協議を重ねた上で安全性よりも見た目や経済性について、勇気を出して重視した事はあります。→1m以内の段差のある場所で手摺を付けなかった時や階段の踊り場と回り部分の位置関係など。

言ってる事は同じかもしれませんが、建物は原則見た目が重視されるべきなのでしょうか。安全が重視されるべきなのでしょうか。

とても気になった一言でした。

私は原則見た目と安全と快適性は対等と考えています。


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めて書き込みます。 (素人その1)
2011-03-05 00:43:11
初めて書き込みます。
一素人の意見ですが、
安全性>快適性>見た目、です。
見た目はどうでも良いと言っている訳ではありません。ですが、安全性(耐久性も含む)や快適性(安全性にも繋がる)の方が優先順位は当然の事として上じゃないでしょうか。
その記事の「ときにはデザインよりも安全性を重視する勇気も必要である」って言葉は論外を通り越してショックですね。
この度のNZ地震、新潟の中越地震、中越沖地震のことから考えても、私はやはり建物にとって一番大切なのはダントツに安全性であって欲しいと考えてます。
返信する
素人その1様、コメントありがとうございます。また... (ju-su)
2011-03-05 11:07:59
素人その1様、コメントありがとうございます。また、貴重なご意見大変参考になります。
住まいに対する優先順位が整理できているのは納得したマイホームに住む事の大切な条件です。きっと、快適な生活が送れている事と思います。
記事中に私は、見た目と安全と快適性と表現していましたが、この中での快適性とは温熱環境の事を差しています。その方が伝わりやすいかなと。(分かりにくかったらすいませんでした)
しかし、ご指摘いただいた通り快適性とは心や体に対して心地良い状態であり、安全であることで精神的に快適に感じたり(いざという時の手前の状態にて)、室内が適度な温湿度で体が快適に感じたり、見た目がいい事で精神的に快適に感じたりと、当たり前ですが住宅は広い意味で快適である事が求められています。
その要素に対して住まい手がどれを優先し、快適性を感じるのかは様々だと経験上感じていますし、初見では整理できていないケースがほとんどです。それをヒアリングの中でお客様の潜在的に持っている順位を感じ取り、提案するのが設計士の仕事とも考えています。
ただし、設計士はお客様の御用聞きでないと、このブログでも書いた事があります。あくまでも優先順位を整理する作業は設計士が必要と考える快適性のボーダーより上のラインになければなく、この事を原則対等と表現しました。
新潟は大きな地震も経験し、水害も経験し、夏暑く、冬寒くて、雪も多くて、シロアリもいて、台風は少ないかも知れないけど冬の風は凄く強くて、海岸沿いは塩害もあり、挙げればキリがありませんが、その地域に住む設計士であればその地域の住宅における快適の条件を持っています。法順守は当たり前として。
それが、地元の設計士の強みであるはずです。
色々な事を経験する事で色々な事が分かり、住宅に求められる性能は年々上がっています。更に色々な事が予測できる時代でもあるので、永く住む住宅は未来を予測した性能も加えられるようにもなっています。
「ここに住む」という事に向かい合って設計に取り組む中で、住まい手のご要望を取り入れたいというのが、わたしの想いで、この記事のメッセージでした。
住宅は一つの箱ではなく、色々な要素が複雑に絡み合っているので、なかなか全ての想いを伝えるのは、時間が必要で難しいです。
一つ一つをブログに書き留め、ブログ全てが私の住宅に対する考えとして、このブログが存在しています。
それは建物だけでなく、その地域のこと、家族との繋がりや個人的な趣味など全てを含めて住宅と思っていますので、広い視野でこのブログを覗いて頂ければ幸いです。
超長文で大変失礼しました。

返信する

コメントを投稿