先日、とても気になる「自転車-歩行者道」を紹介しました。理由があったとしても、何を目的に考えられたのかで結論が変わってくる内容です。
住宅でも似たような事を感じる時があります。
「格好良さそうな家」
「ショールームの様な家」
「目新しそうな家」
「性能の良さそうな家」
私が感じた事をキーワードにしました。最初の3つは主観的な要素がほとんどなので、価値観は人によって違うかもしれませんが、性能の良さそうな家だけはちょっとね。チラシに向かってぶつぶつ言ってる時があります。
そのぶつぶつを。
私は設計した住宅に対して、冷暖房費が掛からないように断熱性能、気密性能、換気性能、冷暖房機器を検討して、お客様に説明しています。
要はお金を気にしてます。
これから住む家の冷暖房費を知る事って重要です。
「自動車の燃費」を気にする人は結構います。←良く使われるフレーズ。
「住宅の毎月の返済額」は一番気になります。←当たり前。
じゃぁ、「毎月の冷暖房費は?」←気になりませんか?
ついでに言えば、住宅の返済は30~35年で予定を組むかと思いますが、冷暖房費は一生払い続けます。←気になりますよね。
だから、私は建物の温熱性能から月々の冷暖房費(目安)を知るために設計してるんです。
これを踏まえて、やっと私のぶつぶつが始まる訳ですが、
チラシを眺めていて、温熱性能の宣伝で一番目にするのが「次世代省エネ基準クリア」です。
なにやら性能が良さそうです。
確かに新潟市における昭和55年の旧基準値は5.12、次世代基準は2.7なので、約半分になっている訳です。
これを理由に、30年前の建物に比べると冷暖房費が半分になりますと宣伝しちゃうわけです。
なにやら安そうです。
ここで、「じゃぁ、私の家はいくらになるんですか」と聞いてもらえればグッジョブなんですけど、なんか納得しちゃうんですよね。
一体、いくらなんでしょう。
2.7W/㎡・kの性能の家。
約30坪(100㎡)の大きさで、外が-2℃の時、家中の室温を20℃にしようとすると、5940Wの熱が必要です。
ガスを使った場合(効率0.87)で考えると、
5940W/0.87=6827W
6827*0.86=5871Kcal
ガス料金の目安を10000Kcal=1m3=¥100とすると、
5871/10000*100≒¥58になります。
1時間¥58なので、¥58*24時間*30日で1カ月¥41760掛かります。(人の熱、家電製品の熱、外の風等の要素は含まれていません。また、温度変化を一定で考えています)
なにやら性能が良さそうな家でしたが、どう考えても高いです。性能の良いエアコンならばもう少し安くできますが、そもそもエアコンの性能を気にするマニアックな設計士であれば、2.7の家は設計しません。
いずれにしても、全館暖房するにはコストが掛かりすぎるので、必要な部屋だけ、必要な時間だけ暖房機を動かすことになると思います。そうすると非暖房室の結露に悩まされたり、家の中での温度変化が体に負担を与えたり、負のスパイラルが始まります。
今までがその生活だった場合、気が付かないかもしれませんが、結露に困ってホームセンターで買ってくる結露防止グッズや部屋で着る半天もコストが掛かっている訳で、それが負のスパイラルの一部なんです。
結局、その家のランニングコストを理由に設計された家と、国が定めた地域毎の基準を理由に設計された家では、大きく結論が違っています。
理由ある設計って凄そうな言葉ですけど、結局目的が使う人の事を考えているかないかだと思います。あの道路に関しても。
ちなみに私は国の基準がダメと言う事は言ってません。国の基準は最低限必要な性能を示しているだけで、十分な性能を示している訳ではないという事です。
自転車屋で見た[E:eye]→良かった[E:lovely]→それを乗る姿を想像してしまった[E:confident]。
こりゃ、買うな[E:moneybag]。
しかも、まさかのフルサス29erって事はないですよねぇ。
長距離はミニ。近場はチャリ。
この生活、たまりませんよ[E:smile]。
早く仲間になって下さい。