まっさらサラサラ

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D君について

2013-08-16 03:48:21 | 日常生活
D君は、我が家の王子(大学1年生)の小学校からの同級生です。

D君のお母さんの実家が、我が家の近くにあり、
小学校5年生の時に、隣県から、その実家に引っ越してきました。

家は、王子の友達がよく遊びに来ていて(いわゆる溜まり場的な)
その中でも、D君は挨拶もよく出来て、口調もハキハキした子でした。

行動もすばやくて頭の回転も速く、D君には、なんていうか
『生きてく強さ』のようなものが感じられた。
それは、我が家全員がそう感じていて、
『D君といれば、王子を一人残して出掛けても安心なんだよね』
と(当時は小学生だったから)言わせるほどだった。

中学も同じで、高校も学科こそ違えど、同じ高校だった。

高校の3年間をぼんやりと遊んで過ごした王子と違って、
D君は、入学するなりバイトを始めて、バイクを買い、
自分のお小遣いは全て自分で稼いでいた。

そろそろ進路を決める時期に差し掛かり、王子にD君はどうするのか聞いたところ
『Dは進学するって言ってた』とのことでした。

なんでも、京都の建築に興味があり、京都の大学に進みたいとのことでした。

D君が、京都に行ってしまったら寂しくなるねぇ。
っていうか、D君がいなくて、王子、大丈夫かね?
でも、京都に遊びに行ったときは、D君とこに泊まれるね(笑)

去年の秋も終わる頃、なかなか進路が決まらなかった王子に
『D君は、もう大学、決まったんやろ?』とじいちゃんが聞くと
(工業高校の大学進学は、殆ど推薦で決まるらしい)
『Dは就職にしたんだ。もう会社も決まったよ。』とのことでした。

以前から、話の端々から、D君の父親は働いておらず、
母親が家計を支えてるということは知っていた。

そう。
そうよね。私立大学ってお金かかるもんね。
そうそう、行かせられるもんじゃないわよね。


そして、つい最近。
母が近所で聞いてきた、D君のこと。

D君の家は、借金の返済に売ってしまったとのこと。
亡くなったおじいさんが経営していた工場も売ってしまったとのこと。
D君の家族は、もうこの地区にはいないとのこと。
それは、今年の春先のこと。

そうしたら、いろんなことが一気に押し寄せてきて
いろんなことが一気に想像できてしまった。

引っ越し先はわからない。
王子は知ってるかもしれないが、聞けなかった。

家も土地もみんな失って、自分の進学も諦めて。
そうとわかっていて、『D君はどうしてる?』なんて、聞けなかった。

今のこのご時世、それは珍しい話ではないけれど
でも、小学生の頃からD君を知る我が家にとっては、ショックでした。

でも、D君も、D君の家族も新しい一歩を踏み出して。
D君のことだから、新しい土地で、新しい場所で頑張ってると思うし。

それでも、願う。
これから先の、D君の歩く道が少しでも歩きやすいように。
少しでも思うような人生を送ってくれたらと。

そう、おばちゃんは思うのでした。

というか、王子よ。
今は1年だけど、大学生活の4年間はあっという間だよ。
ぼんやりしてないで、行く末見つめてちゃきちゃき動きなさいよー。