「にらですよ、高いところから、コンニチハ! だーれも、来ませんねー」
歩道橋の上にいますよ。
近年、都内いたるところで、歩道橋が撤去されているようです。
車社会には結構だけど、バリアフリーの対極にあるシロモノですからね。
実際私も、滅多に歩道橋を使わないし・・・
使ってる人もあまり見ないし・・・
役目を終えた歩道橋は、そのまま発展途上国に運んで、橋として再利用されているそうです。
頑丈にできてるから安心です。
しっかり役に立ってほしいですね。
「これはどこの国に、いくのかしらね?」
いえいえ、これはまだ撤去が決まったわけではありません。
まだまだ現役ですよ。
でもいずれは、なくなる運命かもね。
「こんどは、お花のところにいますよ」
ハイ、こちらのお宅は、塀ぎわに、ゼラニウムの花をたくさん育てています。
何色もの花が咲き誇っていますよ。
雨の日は花に傘をさして、花を守っています。
手をかけているなぁ~
「お花のくせに、待遇がいいんですね・・・ボクとはちがって!」
え~、ボクだって、待遇良すぎるくらいじゃん!
「けんかいのそういデスネ」
・・・あとで、よく話し合おうね。
私の育った下町地区では、地所が狭くて庭がないから、家の外の道路部分にはみだして、植木鉢を並べるのがあたりまえでした。
道路が庭代わりです。
そのため道幅が狭くなったって・・・そんなことはおかまいなしです。
実家は築30年超の小さいビルですが、敷地一杯に建てているため、当然庭なんてありませんでした。
私はその昔、庭のある家にあこがれたものです。
犬を飼いたいと言ったら、親に、ウチには庭がないから犬は飼えないって言われ、悔しい思いもしました。
昔、犬は庭で飼うものでした。
「それが今では、ナント、いぬ小屋にずんちゃんが住んでます!」
ハ、ハイ・・・たしかに、キミの家に私が住んでるって感じかも!
時代が変わって、現在実家に住んでいる姪っ子が幼少の頃は、お友達にマンション暮らしの子が多いらしく、マンション住まいにあこがれてるようでした。
自分の4Fの部屋を401号室と呼んで喜んでいました。
彼女はきっとエレベーターのある家にあこがれていたのでしょう。
「ボクはえれべーたーは苦手ですが・・・」
最近は慣れたみたいだけど、子犬の頃はエレベーターに乗るたびに、床にはいつくばってました。
私が子供の頃の下町は、木造の一軒家かアパート暮らしの家が普通だったのでビルは珍しく、傍目には大きな家にうつったようですが、1,2Fは仕事場で3,4Fに7人が住む大所帯で、決して広くはなかったです。
この家は・・・父の幼馴染の工務店が建てたビル第一号だったので、現在あたりまえに建築されている小ビルとはまったく違ってとってもとっても頑丈にできています。
今となっては使い勝手がよろしくない部分もかなり多いけど、頑丈な分、壊すのも大変だから、イケルとこまで使うことになるでしょう。
がんばって働いてもらいたいです。
「オウチもはたらいてるんですか!? 知りませんでした~ いくらかせいでるのかしら!?」
世の中にはね、お金にならない労働もたくさんあるんですよ。
私のように・・・勤労奉仕ですよ!
私が子供だった大昔は、皆で毎日、あちこちの友達の家に上がりこんで遊んでました。
最近のように、いちいちお母さんの許可なんていらないし、手土産もナシ!
姪っ子の友達が遊びに来ると、特別なお呼ばれではないのにおやつなんかを持参する子が多く、最初の頃は驚きましたが、今はそういう時代なんでしょうね。
かつての下町地区は商売をやってる家が多く、昼間でもお父さん含め家の人がいて、傍でうろうろしてる子供達なんかには目もくれずに働いていました。
大きな家もぼろい家もいろいろあったけど・・・子供にはそんなこと関係なかったものです。
年を経て・・・
地元の中学からKO高校に入った電気屋のK君のオヤジさんが『息子は高校の友達を、ウチには門がなくてかっこ悪いから呼べない、なんてぬかしやがる!』とぼやいてたのが懐かしいです。
確かに電気屋の出入り口と車庫からの出入り口しかないお家でした!
今でも実家の近所には門のある家なんてかなりの少数派です。
KOあたりのお坊ちゃんのお宅は、みんな立派だったんだろうなぁ~
K君の胸のうちが、わかるような気がします。
そういえば・・・私の高校の友人のMちゃんは、東京の郊外の、地元の名士の家に生まれ育ち、立派な石垣のある、超大きな日本家屋に住んでいますが、当時は、お友達の家々と違いすぎて恥ずかしいから家に来ないで!と言ってました。
高校生くらいって・・・いろいろ多感だったんですねぇ~
現在の私は、これまた小さなコンパクトハウスに住んでいます。
二人(と1匹)暮らしだから、延べ床面積を頭数で割れば、一人当たりの占有面積は、都内の平均くらいなんじゃないかな。
悲しいことに庭なんてないけど、なくても困ってないし、庭は永遠の憧れにとっておきます。
芝生のお庭があったらいいねぇ~
らーちゃんもおうちにドッグランがほしいでしょう?
「えっと~、ボクがほしいのは、ごはん食べ放題コーナーだけです!」
永遠に憧れててください!