紙の月
玻璃の戸に影を踊らせ秋の水
朝刊のことんと届き新豆腐
鳩吹くや水音低き峡に風
行き合ひの空や風鐸動かざる
琅玕の闇のはずれを秋灯
昆虫の貌してむくろ法師蟬
鷹揚に行きも帰りも茄子の馬
片影を教会の影突き出して
あをあをと海もえ残る凌霄花
アスファルトの雨粒黒き敗戦日
ひぐらしや露人ミハエル眠る墓地
村芝居神楽殿には紙の月
母の歌ふ黒人霊歌ダリア咲く
秋扇いちいち指図したる手に
(「篠」202号より/2022年)
紙の月
玻璃の戸に影を踊らせ秋の水
朝刊のことんと届き新豆腐
鳩吹くや水音低き峡に風
行き合ひの空や風鐸動かざる
琅玕の闇のはずれを秋灯
昆虫の貌してむくろ法師蟬
鷹揚に行きも帰りも茄子の馬
片影を教会の影突き出して
あをあをと海もえ残る凌霄花
アスファルトの雨粒黒き敗戦日
ひぐらしや露人ミハエル眠る墓地
村芝居神楽殿には紙の月
母の歌ふ黒人霊歌ダリア咲く
秋扇いちいち指図したる手に
(「篠」202号より/2022年)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます