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色見本~俳句を始めたころの十五句

2022年09月26日 | 俳句

色見本

 

清濁の等しくなりぬ春の雪

風光る熊野の森の百重なす

東スポにくるむバナナの熟れ具合

切り傷に唾塗る女花石榴

あめんぼに国のゆくへを尋ねけり

校了の朱筆入れ終へ夏夕焼

ピアニスト死す夕凪の半音階

ジャズ祭のシャバドゥビダヴァダ晩夏光

ががんぼの薄き影より飛び立てり

蜜月は三月かそこら百日紅

番犬のふぐり伸びたる秋暑かな

セロ弾きのカタロニアの歌小鳥来る

告白はとぎれとぎれに鰯雲

吾子を抱くやうに白露のマンドリン

秋うらゝ十万色の色見本

(「俳句大学」創刊号掲載/2015年)

 

 

 


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