BCGワクチンの接種と新型コロナウイルスの関係について、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が「BCGの接種と死亡者数に逆相関がみえるのは確か」と発言し話題になっている。その効果は果たしてあるのか、AbemaTV『けやきヒルズ』は専門家に話を聞いた。
新潟大学医学部細菌学の松本壮吉教授は、BCGワクチンの新型コロナウイルスへの効果について次のような見方を示す。
「疫学的にそのようなことが示唆されているということで、本当に効くかどうかはまだわかっていない状況。コロナウイルスの感染症に対して“非常に効果があるというものではない”と思う。疫学療法からすると、重症化を抑えるというような柔らかい効果があるかもしれない。BCGの接種をやめた国では新型コロナウイルス感染症に対する死亡者数が多いという、疫学の情報が結構明瞭というのが1つ。理由ははっきりわかっていないが、基本的にBCGというのは結核のワクチンで、生菌を打つ。割と体の中にとどまって、数年から長い場合は数十年免疫を賦活化(活性化)できるという特徴がある」
BCGワクチンの接種を推奨している国と接種していない国の地図に、新型コロナウイルスの死者数を重ねて見てみると、予防接種プログラムがないイタリアの死者数は1万3915人、以前に予防接種を推奨していたものの現在は実施していないスペインは1万96人となっている。一方、スペインの隣国で予防接種を実施しているポルトガルの死者数は209人で、現在のところは差がみられている(日本時間3日の午前6時時点)。
日本では現在、BCGワクチンを生後1歳までに1回接種することになっており、69歳以下のほとんどの日本人が受けている。松本教授によると、ワクチンが効く期間は「数年から10~15年、長い場合は30年と言われていて、人によって違う。一概には言えない」そうだが、「マウスでBCG接種をしておくと、マウスのマラリア原虫の感染に対して少し効果があったり、BCGワクチンは膀胱がんの再発予防に実際に臨床で使われている」という。
厚生労働省によると、日本での新型コロナウイルスによる死者は60人中56人が70代以上の高齢者。松本教授によれば、現在のBCGが日本人に接種されるようになったのは1951年の結核予防法の施工後で、それ以前に生まれた現在の70歳を超える高齢者の多くは接種していない可能性がある。では、接種していない高齢者はこれからワクチンを接種すればいいものなのか。松本教授は「慎重にするべきだ」と指摘する。
「それはきっちりとしたエビデンス(根拠)、本当に効果があるということが分かった上でやるべきで、今はやるべきではないと思う。実際にそういう試験が海外で始まっているので、その結果を参考にしてからということになるのではないか」
新型コロナウイルスの治療薬として検討されている「アビガン」と「BCGワクチン接種」の併用は、何らかの効果はあるのか。
「理論的に言うと、アビガンはウイルスの増殖自体を抑える。一方、BCGは免疫療法なので、併用というのはありだと思う。あくまで理論的にはというもので、推奨するものではない。しっかりと調べた上でやらないと問題が大きいと思う」
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