厚生労働省の「メトホルミン塩酸塩における発がん性物質に関する分析について(依頼)」を受けたもの。メトホルミンより発がん性物質N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出された。両社ともこれまでに重篤な健康被害の報告は受けていない。
大日本住友製薬のメトグルコ錠250mgおよび錠500mgの一部ロット、日本ジェネリックのメトホルミン塩酸塩錠500mgMT「JG」の一部ロットが4月27日付で自主回収されることになった。同剤の製剤および原薬を分析した結果、PTP包装品の複数のロットから管理指標を超える発がん性物質N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたためだ。
PTP包装品の複数のロットから管理指標を超えるNDMAが検出され、原因は明確でないが、PTPアルミ箔の印刷インクに含まれる物質が、錠剤中原薬に僅かに残留していた原料と反応して生成された可能性がある。
これまでに同製品によるNDMAに関連した重篤な健康被害の報告はない。日本糖尿病学会は、メトグルコなどメトホルミン製剤を服用中の患者に対し、「心配な点があれば独断で服用を中止せず、主治医に相談してください」と呼びかけている。医療従事者に対しては、「当該ロットの回収へのご協力と、患者さんから相談を受けた場合には糖尿病に対する治療継続の必要性のご説明をお願いいたします」と促している。
厚労省は、国内でメトホルミン製剤を製造販売している15社に対し、2019年12⽉9⽇に、メトホルミンの原薬とその製剤について、NDMA含有の有無を分析するよう指⽰していた。
シンガポール保健科学庁が、メトホルミン製剤から1⽇許容摂取量(0.0959μg/⽇)を上回るNDMAが検出され、⼀部事業者が⾃主回収を開始したと発表したことを受けた措置だ。
ただ、シンガポール保健科学庁は、「検出されたNDMAの量は1日許容摂取量(0.0959μg/日)を上回るものの極微量であり、回収対象となっている製剤を短期間服用したことによるリスクはきわめて低い」と報告している。