令和3年8月8日(日)
区の図書館からお借りしていました、
高村薫『土の記』上下巻 完読しました。
奈良県の東のはずれの山中に独りで暮らす
婿養子の70代の男が農耕に明け暮れる
代わり映えしない日々が淡々と綴られている
特に、稲の生育には事細かく描写される中
合間合間に 人間模様が加味されるのだが
最後は・・・
そこここにオノマトメが、
文中から、
『それから、頭の上のはるか天空に響く
アオバズクのホォウホォウという声、
トラツグミのヒーィ、ヒーィという声、
さらには杉山のざわざわ
ざわざわ鳴る音を引き入れ、
それらの下からかすかに響くヒロロロロ、
ヒロロロロを引き入れ、
今夜のシュノーゲルアオガエルのオスはたぶん、
去年生まれて今年初めて繁殖期を迎えた幼い小さな団体だ、
と想像する。』
と なにせ頻繫にです。
最初は、自分を文中へ引き入れるのに苦労したのですが
長編と思わぬほど 心惹かれて最後まで読み切り、
記憶に残る1冊となりました。