私は大阪府北部の田舎に住んでいます。家の最寄りまでバスがあるのですが、終電よりもバス最終の方が早いので仕事や飲み会などで遅くなったときは駅から自宅まで歩いていました。と言っても15分か20分ほど住宅街を歩くだけですので、特に不便・苦痛感というものはありませんでした。国道の信号を越えると自宅まで一本道です。
ところがある日、自宅までの坂道を歩いていると私の数十メートル先をミニスカートのベージュ色ワンピースを着た若い女性が歩いていたのです。当時、私にも年頃の娘がいましたが、私のようなおっさんは別にして、若い女性は親が車で駅まで迎えに来るのが当たり前でした。ましてや一本ずれれば広いバス道があるのに暗い細街路を歩いているのです。その時私は「何で若い女の子が一人で歩いているの。親は何してるの」と思いました。
そんなことが何回もあったのです。しかし、よく考えてみるとその女はいつもワンピースのミニスカート姿なのです。しかもいつもベージュ色です。大阪府北部は冬になると寒いです。コートかダウンを着なければとても歩けません。さらに私の自宅前を通り過ぎ、真っ直ぐ進めば山に突き当たり人家はありません。そしてそこでは野生のキツネに近所の奥さんがエサを与えているという話も聞いていました。実際、私も車で走っているとヘッドライトの先に動物が走っているのを見たことがあるのですが、野犬(今や野良犬はいないでしょう)でもなく、太い尻尾の影が見えたので野生のキツネだと思います。つまりそこにはキツネが棲んでいたのです。さらに不思議なことに私の歩くコースには途中階段があるのですが、いつもその階段を上ったところからその女は現われるのです。つまりその時までその女は私の前にはいないのです。その時私は「あの女はキツネだ」と確信しました。そして今度現われればとっ捕まえてやろうと思ったのです。妻にもそのことを話すと、妻もキツネが棲んでいることは知っていたらしく、結構真剣に話を聞いてくれました。
そしてある日、階段を上ればまたあの女が前を歩いていたのです。同じ服装で。私は「今日こそ正体を暴いてやるぞ」と思い、歩みを早めどんどん女に近づいていきました。そしてあと数歩で女の肩に手がかかるという距離まで詰め寄った時、急に全身がガタガタと震えだしたのです。もし女の肩に手をかけ、振り向いた女の顔が「真っ白で切れ長の目、突き出た鼻からひげが伸びたキツネ顔」だったらどうしよう。そう思うと怖くなり女に手をかけることができず、自宅に駆け込み妻に「〇〇(妻の名前)、キツネが出た」と叫びました。そして妻と二人で外に出ると、すでに女の姿はなかったのです。それ以来、その女を見たことはありません。
私はもしあの時、女の肩に手をかけたところ「ポン」と白い煙が上がり、ひらひらと落ち葉が舞ってその女の姿が消えた時のことを考えるととても怖かったです。しかし、もっと怖いのは女の肩に手をかけた瞬間「キャー痴漢」と叫ばれ、次の日の新聞に「帰宅途中の女性に男が抱きつく。逮捕」と載ることです。あの女を見るのは、いつも酒を飲んで終バスを逃した日でした。男性諸君、お酒を飲んだ日は、くれぐれもキツネに騙されないように気をつけましょう。(笑)
ところがある日、自宅までの坂道を歩いていると私の数十メートル先をミニスカートのベージュ色ワンピースを着た若い女性が歩いていたのです。当時、私にも年頃の娘がいましたが、私のようなおっさんは別にして、若い女性は親が車で駅まで迎えに来るのが当たり前でした。ましてや一本ずれれば広いバス道があるのに暗い細街路を歩いているのです。その時私は「何で若い女の子が一人で歩いているの。親は何してるの」と思いました。
そんなことが何回もあったのです。しかし、よく考えてみるとその女はいつもワンピースのミニスカート姿なのです。しかもいつもベージュ色です。大阪府北部は冬になると寒いです。コートかダウンを着なければとても歩けません。さらに私の自宅前を通り過ぎ、真っ直ぐ進めば山に突き当たり人家はありません。そしてそこでは野生のキツネに近所の奥さんがエサを与えているという話も聞いていました。実際、私も車で走っているとヘッドライトの先に動物が走っているのを見たことがあるのですが、野犬(今や野良犬はいないでしょう)でもなく、太い尻尾の影が見えたので野生のキツネだと思います。つまりそこにはキツネが棲んでいたのです。さらに不思議なことに私の歩くコースには途中階段があるのですが、いつもその階段を上ったところからその女は現われるのです。つまりその時までその女は私の前にはいないのです。その時私は「あの女はキツネだ」と確信しました。そして今度現われればとっ捕まえてやろうと思ったのです。妻にもそのことを話すと、妻もキツネが棲んでいることは知っていたらしく、結構真剣に話を聞いてくれました。
そしてある日、階段を上ればまたあの女が前を歩いていたのです。同じ服装で。私は「今日こそ正体を暴いてやるぞ」と思い、歩みを早めどんどん女に近づいていきました。そしてあと数歩で女の肩に手がかかるという距離まで詰め寄った時、急に全身がガタガタと震えだしたのです。もし女の肩に手をかけ、振り向いた女の顔が「真っ白で切れ長の目、突き出た鼻からひげが伸びたキツネ顔」だったらどうしよう。そう思うと怖くなり女に手をかけることができず、自宅に駆け込み妻に「〇〇(妻の名前)、キツネが出た」と叫びました。そして妻と二人で外に出ると、すでに女の姿はなかったのです。それ以来、その女を見たことはありません。
私はもしあの時、女の肩に手をかけたところ「ポン」と白い煙が上がり、ひらひらと落ち葉が舞ってその女の姿が消えた時のことを考えるととても怖かったです。しかし、もっと怖いのは女の肩に手をかけた瞬間「キャー痴漢」と叫ばれ、次の日の新聞に「帰宅途中の女性に男が抱きつく。逮捕」と載ることです。あの女を見るのは、いつも酒を飲んで終バスを逃した日でした。男性諸君、お酒を飲んだ日は、くれぐれもキツネに騙されないように気をつけましょう。(笑)