釋守成の転居物語(旧タイトル・GONTAの東京散歩)

またまた転居を目論んでいます。
5年間で5回の転居。
6回目の転居の経緯を書いていきます。

落語とのクサイ縁

2010年07月31日 18時38分01秒 | 演劇・演芸
実は、昨年の7月19日まで生の落語というものを聞いたことがなかった。
テレビやテープでもほとんど皆無の状態。
能・歌舞伎・文楽・・・・・古典芸能の多くに親しんでいたのだが、なぜか落語にはほとんど興味もなく、縁もなかった。
芝居の仕事で『文七元結』や『芝浜』なんかの公演に携わっているのに。

2009年7月19日、国立演芸場になぜ行ったのか・・・・・。
そこに行くまで、落語を聴く意欲のようなものが芽生えていたことは確かだ。
数年前のNHK朝ドラ「ちりとてちん」に不覚にもはまってしまっていた。
それは、落語にはまったのではなく、脚本家の筋立てのうまさに感心させられたからだ。
それはまるで丸本物の義太夫のように、いろいろな筋や人物が絡み合い、最後には1つの大河になるような話、いろいろな仕込がドラマの中にされて、その謎解きがされるという、知的な好奇心をそそられるドラマだった。
でも、落語を聴く気にはなかなかならなかった。

初めて聞いた落語は案外面白いものであった。
でもこれならまた行ってもいいかなと思う程度。

二度目の落語は、神保町の「落語カフェ」。
最大で50人ほどの空間に、30人弱の人。
『ちりとてちん』で興味があった上方落語を聞きに行った。
演者も誰だかわからないまま。

落語カフェの雰囲気もよかったし、落語家さんとの距離の近さ。
関西弁の心地よさも・・・・・・。
最近、なぜ若いときに落語が嫌いだったのかと考えると、どうもわざとらしい江戸弁がいやだったように思う。
東京人だから江戸弁が気持ち悪い感覚・・・わかるかな。
その点、関西弁は自分の言葉じゃないから、すんなり入ってくる。
すんなり受け入れたのは『ちりとてちん』の影響も大きいと思う。

それからは、上方落語まっしぐら。
東京でも、上方落語の会はたくさんやっている。
落語カフェにやってくる若手は、夜行バスで来て、夜行バスで帰るという強行軍。
そんな健気な姿勢に共感したりして、思わず「頑張れ!!」って、思ったり。

上方落語三昧していると、自然と江戸落語も聞くようになる。
最初に見た国立演芸場で、前座だった柳亭市也さんが出演するので、兄弟弟子の会を落語カフェで聞いたり、その師匠の柳亭市場師がトリをとる定席を見に行ったり、そこで見た落語家さんが面白かったので聞きに行ったり・・・・。

上方も、最初に聞いた桂さん吉さん、桂ちょうばさんの会に毎回行ったり、その兄弟弟子の会や、二人の同期の笑福亭鉄瓶さん、林家市楼さんの会へ行ったり、そのうちに上方落語だったら何でもいいと、手当たり次第に行ったり・・・・。

最近は、大阪の定席、天満天神繁昌亭のその日の落語をネットで配信するというサービスに加入して、一日数本の上方落語を見て笑っている。
自分でも不思議なくらい一年間に落語漬けの毎日になってしまった。

そして、今年の7月19日、場所は池袋演芸場。
一年前に最初に聞いた前座の市也さんが、まったく同じネタを演じていた。
それは『転失気』。
『転失気』で始まった私と落語のクサイ縁。
その不思議を感じながら、落語にはまる日々は続く。
コメント
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