▼きのう4月3日の金曜午後、自由民主党のなかでも財務省に近いとほぼ全議員から見られているであろう「党税調」こと税務調査会の「平場」がありました。平場、ひらばというのは、インナーと呼ばれる幹部陣だけではなく、全議員が自由に出席できて発言できる場のことです。
当然、激論になりました。
「世界では今、コペルニクス的転回が起きています。ぼくは信念を持って武漢熱と呼んでいますが、その甚大な影響を、どの先進諸国も膨大な国債発行で切り抜けようとしています。税で対処する国はありません。国債と税をめぐる観念が音を立てて変わりつつあります。したがって、日本が赤字国債を大量に発行すると国の信任が喪われて長期金利が上がるという話はもう、通用しません。今日の平場で話し合われるのは、あくまで、もっとも短期の対処案です。そこに消費減税が入らないのはやむを得ないとしても、第二弾、第三弾では不可欠です。選択肢として残すことを明示するよう求めます」。こう発言しました。
大きな拍手と歓声も起きましたが、首脳陣のひとりは、いつもの冷笑を浮かべておられました。ご自分は税のプロなんだ、こいつ何を言っているんだという本心が正直に顕れているのでしょう。
みなさん、こういう冷笑とか、同時に拍手歓声とか、いずれにも左右されたら、負けです。
本質だけを正視して、泥中を、這って進む。そのまま死しても良し。
日本の宿痾 ( しゅくあ ) としての既得権益に抗 ( あらが ) うのなら、もはや淡々と、これしかありませぬ。
先ほど、情報にアクセスしながら会議に臨んでいたことを記しましたね。それで、安倍総理と岸田政調会長の会談が行われていることを知りました。事前には何も情報がありませんでした。
税調の平場が終わり、党本部から議員会館へ戻ると、疲弊していて、12階までの階段を登るのはとても無理です。意志弱くエレベーターに乗りました。
すると、司会を務められた林さんと偶然に一緒になりました。金曜の夕方ですから、多くの議員はとっくに選挙区入りしていて、他に誰もいません。林さんは、いつも落ち着いた様子の変わらないひとです。
税調の会議の中身に関わる疑問を話して、エレベーターを降りるとき、林さんが「30万円になったらしいね」と仰いました。現金給付のことですね。
林さんも会議中、情報にアクセスなさっていたのでしょう。それによって初めて知ったというニュアンスを感じました。
30万円という話は、党の対策本部で、ただの一度も出ていません。また突然の話です。
▼議員会館の自室に入り、政策秘書らと「何だろう、これ」と話しつつ、とりあえず新聞のネット版を見てみると、各紙によって中身が違います。情報の混濁を感じます。そのなかで産経新聞だけが「住民税非課税世帯だけに限って支給する」と明記していました。この記事が正確とするなら、弱い立場の国民を支援するのは正しいです。しかし同時に、期待して待っていた多くの国民を裏切ることになりかねません。
▼そのあとも公務をめぐる残務処理をして、自分の車を運転し遅めに帰宅すると、さぁ、現金給付問題で動かねばなりません。一対一で緊急に議論するには、電話しかありません。双方の電話が高度に暗号化されているので、セキュリティは確保されています。
その議論を、広く無条件で公開することは、絶対にやってはいけません。信義に反します。この信義は、それを守ることが国益にも沿います。大袈裟ではありません。一国を率いる本音の言葉は重いです。
そのうえで、吟味に吟味を重ねて、選びに選んで、ごく一部に限ってこの地味ブログにて今、公開します。
▼まず「住民税非課税世帯にだけ限る」というのは誤報だという明言がありました。
そして「ヘリコプターのように現金をあえて撒 ( ま ) くのが目的だ」というキーワードがありました。
これはもちろん、かつてアメリカのFRB議長が掲げた信念にまつわる、有名なフレーズですね。ただし、それと同じ金融政策をやるという意味では全くありません。みなさんも、お分かりだと思います。今回の現金給付の主目的を、わかりやすく表現なさろうとしているだけですね。
不肖ぼくは「住民税非課税世帯だけ、というのが仮に誤報だとしても、所得制限など、とにかく支給対象を限ろうとしていることには変わりないのではありませんか? もしもそうなら、期待している国民を広く、裏切ることになります」と食い下がりました。
すると「全国民に一律に支給するのは、もともと反対だ」と明言がありました。そして言葉の通りではありませんが、趣旨としては「反発があっても、批判されても、これは国と国民のために信念を持って貫く。それをやれば、眠ってしまうお金、公金が必ず、多く発生する。実際に使われるように給付してこそ、緊急時に効果のある現金給付になる」という考えを極めて明確に、そして繰り返し、提示されました。
ぼくは「では、どんな制限を掛けるのですか」と当然ながら、問います。それに対して「できるだけ制限を掛けない」という趣旨の答えです。「いや、財務省は必ず、制限を大きく掛けようとします」と問うと、「そこを調整する」という趣旨が返ってきました。
ぼくは「もう一度、情報をよく集め、精査して、ふたたびお話しします」と電話を終えようとしました。すでに深更だったからです。ぼくは朝まで大丈夫ですが、そんなことを決してしてはいけないお立場の議論相手です。
ところが食い下がられます。こんなことは長い日々で、初めてです。
ぼくも緊急事態宣言には、たった今は慎重です。なぜか。ひとつには、政府が緊急事態宣言を出すと、それを受けて小池百合子都知事が何をなさるか分からない現状にあるからです。日本の首都が仮に政策を誤ると、日本とアジアと世界への悪影響が止まらなくなります。
そのうえで、出すべき時には発出をしっかり提言します。