ミーターの大冒険 第五部 オーロラへ 第1話 「不確定性原理」
あらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ベイタとアルカディア、そしてミーターの思い出のカルガンに到着した。(そこはあのミュールが銀河の支配の中心とした星だった。)そこからルート通りコンポレロンに到達した。初めての惑星探索を果たした。はじめはドローンで、そしていよいよ、ミータは人間社会に扮装して紛れ込んだ。そこはターミナスに比べてやや寒冷であったため、人間たちは透明なドームの鋼鉄都市に住みはじめていた。それはトランターの繁栄した時代のような外界の宇宙空間から身を守るような形態であって、ターミナスやその周辺星域の惑星とは異なっていることに二人(?)はいわゆる懐古趣味というような違和感をおぼえた。さらに、コンパーやジスカルド・ハニス、オリンサスの縁故がいないのには何故か落胆したが、ミーターの洞察力はにわかに鋭さを増していく。
ミーターは、コンポレロンの人々が最古の星の話題に異常な恐怖感を持つのに、あるもう一つの理由があることに思いつく。
それは、太古の星についての忌まわしい伝説、地表は放射能で焼けただれているという。それは真実なのか?ただの迷信なのか?
問題なのは、コンポレロンからオーロラという禁断の星へのルートがわからない。困難に直面した二人(?)であったが、そのとき、突如としてイルミナが「フィードフォアード症候群」に襲われた。ある感応者の精神と繋がる。例の「アール(R)」いわゆる「不死の従僕」の感応の響きであろうか。
イルミナは彼女の精神感応力を稼働して、ヴァジル・デニアドールという人物の心理に入り込めた。そこでオーロラについての情報と故郷星の恒星系の特異性を知る。
しかし、その「航海日誌」は、果たして信用できるのであろうか?
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ミーター この航海日誌のデータをファー・スター2世号にセットした。あとは鼻唄混じりで順調航海だろうね。それにしてもお前のフィードフォワード能力には畏れ入った。
イルミナ まあミーターさんたら、また『幼児のための知恵の書』に出ている故郷(ふるさと)の星のあのよき時代の大航海時代の船乗りの気分に浸っているんですこと。風流ですこと。でもまだまだ油断はいけないわ。だってこの「航海日誌」のデータが信用できるっていう保証はありますかって?
ミーター 言われみれば、それもそうだ。この航海日誌が正真正銘のほぼ2万年前のデータが今でも有効かは不確定だ。でもそれに賭けてみなくてはならないことも真実だよ。
イルミナ そうね、「不確定原理」ね。行くっしかないわね。それにしてもミーターさん、「禁断の星」って、怖いイメージですね。果たして私たち、そんなところに行っていいのですかねぇ!
ミーター イルミナ、そうなんだよ。この銀河は、毎秒240kmで回転していても、この「航海日誌」がその船長に書かれた天体同士の位置・間隔は変わらないはずだ。
イルミナ そうでしょうけど、ミーターさん、もう一つ気がかりなことがありますよ。
4年前の私たちの船出で、なんでこの先の先の謎のセーシェル星系まで行けたのか、未だに謎なんですからね。当初可能だったのが、今回は五里霧中よ。
ミーター その答えはだねぇ、行ったらわかるよ。行くっしかないでしょう!あとはファー・スター2世号の制御に任せたいね。何が待ってるか、この航海は「大冒険」だからね!
Photo は現在の天才イーロン・マスクが描く衝撃の火星テラ・フォーミング