12 ミーター、あと三回のジャンプでコンポレロンの太陽の星域に入るわ。
でも、やっぱりハニスさんの発言には納得できないわ。なによ、『時代遅れの風采の相棒君』って、宇宙一の美女イルミネーションに向かって、失礼だわ!
イルミナ、まだ怒っているのか。あれは、ハニスさん特有の誉め言葉なんだ。なにか新しい情報を掴んだ時によく嫌味な皮肉をいう癖があるんだ。あのコンパーさんの人を煙に巻くような態度じゃない純粋な人間味がハニスさんの性格なんだ。もう少し彼を理解してやった方がいい。
それにしても、「時代遅れの風采」とはピッタしだわな!今では図書館の設備はスミルナやシウェナの方が見事だから。
なによ、ミーターまで。なぜ、スミルナやシウェナの方が凄いって知ってて言ってるの?
グレディアさんがターミナスで初めたラベンダー農園は、その後、彼女の娘アルカディアさんや孫娘のアルシアさんによってスミルナに移植されたんです。そしてアリシアさんによって、さらにアグロフォレストリーがシウェナに移植されて、両方の星は繁栄したんですからね。みんなターミナスのおかげなんですからね。それで図書館も立派になって。それでもトランターにあった旧銀河図書館の全蔵書は私のところに移転されたのよ。
ごめんごめん、
確かに「銀河帝国辞書編纂図書館」という呼び名は古すぎるけどな、ハニスさんが、オリンサスさんの我々に伝えきれなかった伝言について思い返していたところなんだ。ハニスさんは、僕にこの船に乗り込む前に伝えてくれたんだ。
オリンサスさんが、例のお前の図書館の隣にある「辞典広場」のルイス・ピレンヌ博士の銅像の下で倒れていたところをコンパーさんが見つけて介抱してあげた、ということは知っているよな。実はそこになにか重要な真実を発見して、それを僕らに伝えたかったんじゃないかと思っていたんだが。ずっと気にはなっていたんだ。僕は今、お前の今の言葉でなにか気がついたようだ。
いわば、ハーディンの秘密がな。すなわちそれは「アルーリンの謎」と言い換えられるってことさ。「辞書編纂財団」のルイス・ピレンヌにも関係があるかもね!
なによ、回りくどい言い方ね。私のどんな言葉で、ミーターが何に気がついたって言うんですか
?
お前の「グレディア」っていう言葉さ。なぜハーディンが彼の次女に「グレディア」という名をつけたかということ。
お前に確認したい。「銀河百科辞典」第一版は何年に発刊した?
ミーター、それは確か、ファウンデーション歴55年だわ。それが何か???
yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 12 「ファウンデーション歴55年?」