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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ファウンデーションの夢  第六部  ベイタ・ダレル  第5話  ミュータント

2022-08-01 04:36:26 | ファウンデーションの夢
38ファウンデーションの夢 
第六部 
ベイタ・ダレル
第5話
ミュータント

あらすじ

 死んだと思われていた、オナム・バーの愛娘ジータ・マルレイネ・バーは生きていた。マルレイネは、彼女の星、シウェナにジータ・ベリス・マロウを招き入れ、おまけにトランターから、パルヴァー家の娘、ジータ・ウォンダ・パルヴァーを一緒に連れて来た。ジータ・ウォンダ・パルヴァーは、パルヴァー家の初の女の子であった。
 ジータ・ベリス・マロウは、二つあったペンダントの一つをトランターから来た女の子に渡す。
 このことは、いよいよ第2ファウンデーションの出る幕が近づいて来たとの予感を与える。

 ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

 ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

 ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)からしばしば泊まりに来ていた。
 近くには、朽ち果てたガールの屋敷があった。

 ベイタはコッソリと、そのガール屋敷の地下深くにあった『故郷星探査報告書』を手に取るのであった。

 そこにはファウンデーション設立当時、ガール・ドーニックの秘密の特別任務の記録が記されてあった。後に、アルカディアが、ジスカルド・ハニスからそれを譲り受ける。その内容の繙きついては続いて読者の努力に委ねます。

 時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
 一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。

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ベイタ 私は、ベイタ・マロウです。ミスさんに急なお話しで参りました。

エブリング・ミス これはこれは、こんなぼろやに、よくぞいらしてくれました。もっと堅苦しい方だと思いきや、若くて美人のお出ましとは、我が家には不似合いです。調べものが多くてこんな状態ですが、そこいらのものをどかしてお座り下さい。
 なにせ、セルダン、ドーニック、ハーディン、マロウのご子孫様が来るなんて、光栄極まりありませんから。

ベイタ 実は、誰にも話せない事実をお伝えに参りました。母ロアには内緒でお伺いしました。ドーニックの館が我が家の所有だということはご存知でしょうけど、ドーニックの直筆の手紙を所有しておりまして、ミスさんもご存知ないことかと思って、お伺いさせてもらったのです。
 ハリ・セルダン宛の手紙で、その写しだと思います。

 あなたもそうでしょうけど、心理歴史学は全体の帰趨を扱う学問であって、個々人の個別行動の有り様はそれに結びつかないという前提でしょうけど、セルダンはその個別様態をも視野にいれていた、という内容だったのです。その調査のためにドーニックに行かせたのです。銀河帝国が成立する前、ふるさとの星からの第一波の銀河への移民として五十数個の惑星に移民したスペーサーワールドと呼ばれる、中心星オーロラ、最後に移民されたソラリアに赴きました。
 オーロラで彼が発見したのは、当時 Rといいわれた存在の代わりの番犬の群れ、でした。ソラリアでは人間一人につき一万台といわれていた R は存在してはおりませんでしたけど、当時医学の過度の発達によって何百歳という寿命を獲得していた反動で、奇形した人間が存在しているのです。
 それが両性具有の人間だったんです。
  
ミス それがどうしたっていうのかね?
 私の研究には関係ないと、思うがね。

ベイタ 関係ないとお思いですか!
 心理歴史学では、奇形や突然変異体による感応能力者の全体構成に対する影響を考えてはおられないと、おっしゃるんですね!
 
ミス 論外ですね。セルダンやドーニック、アルーリンの学説をくまなく調べてもどこにもありゃしない。
 私が問題にしているのは、ただ第二ファンデーションの存在だけなんだよ、お嬢さん。私が調べる。
 専門家じゃない人が、とやかくいうものではありません。

ベイタ ミスさん、最近ではターミナスでは第二ファウンデーションの話は聞かれないでしょうけど、他のターミナス所属の星々では、セルダンの誕生日もちゃんと祝われ、第二フウァンデーションの存在も真実として語られているということをご存知ないのですね!

yatcha john s. 「 ミュータント 」