41第8話ファウンデーションの夢
第六部
ベイタ・ダレル
第8話
espionage
あらすじ
死んだと思われていた、オナム・バーの愛娘ジータ・マルレイネ・バーは生きていた。マルレイネは、彼女の星、シウェナにジータ・ベリス・マロウを招き入れ、おまけにトランターから、パルヴァー家の娘、ジータ・ウォンダ・パルヴァーを一緒に連れて来た。ジータ・ウォンダ・パルヴァーは、パルヴァー家の初の女の子であった。
ジータ・ベリス・マロウは、二つあったペンダントの一つをトランターから来た女の子に渡す。
このことは、いよいよ第2ファウンデーションの出る幕が近づいて来たとの予感を与える。
ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。
ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。
ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)からしばしば泊まりに来ていた。
近くには、朽ち果てたガールの屋敷があった。
ベイタはコッソリと、そのガール屋敷の地下深くにあった『故郷星探査報告書』を手に取るのであった。
そこにはファウンデーション設立当時、ガール・ドーニックの秘密の特別任務の記録が記されてあった。後に、アルカディアが、ジスカルド・ハニスからそれを譲り受ける。その内容の繙きついては続いて読者の努力に委ねます。
時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。
ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。
その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。
そこに第三者がまた登場する。
二重スパイ!?
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ハン・プリッチャー 私はカルガンの警察部長ではなく、ファウンデーションの秘密情報部の大尉ハン・プリッチャー。
インドバー市長にカルガンに潜入してミュールの実態を探るよう言われて来た。
しかしミュールを探ることは容易ではない。ところが、きょうミュールから逃げて来た道化師の騒ぎを目撃した。渡りに船、とはこのことだ。
それにどうやら、私もつけられている様子なのだよ。逃げるが勝ち。おあつらえ向き。礼を言いたい。一石三鳥だ。
ベイタ どういうこと。ボボを引き取りに来た、と思ったら、その反対?
一緒に逃げようだなんて!虫がいいわね。それに私たちは昨日カルガンに着いたばかりよ。えーと、一石三鳥の三番目は何?
プリッチャー 君たちと接触して、その動向を探れ、という指示だ。どれどれ、これからじっくり尋問させてもらいますよ。
ボボ 奥様、私を尋問して、何がわかるというのですか、その人を追い出して、すぐ出発しませんか!
プリッチャー いいのかい?今出ても、この船を拘束してくれるようにカルガン宇宙警備軍にはもう通達してあるんだがな!
私が乗っていれば私の暗号通信でそれを解除することもできる仕組みだ。
トラン やれやれ、ベイタ、君といるといつもこうなる。波乱万丈の結婚生活だなぁ!
yatcha john s. 「 espionage 」