グーグルの「マインドフルネス」が有名になり、多くのナレッジワーカーが「瞑想」の効用を体感しています。
マインドフルネス! 今のあるがままを感じる瞑想の本家本元は「只管打坐」
禅の思想世界です。
スティーブ・ジョブズ始め、名を成した世界の「アントレプルーナー」達の多くは、「禅」の精神世界を事業観に取り入れて「社会善」創造に貢献してきました。
「禅」の思想は、組織社会の「風土」や「文化」と言われる、組織化した其々の集団が無意識のうちに作り上げてきた「伝統意識」を、時代の変化に即応できる「変革意識」や「精神基盤」を作り出し、人々に気付きを与えられる力を持っています。
みなさんは、日頃当たり前に使っている「挨拶」という言葉の意味をご存知ですか。
「挨拶」は全ての基本!
朝起きて家族間でかわす「おはよう!」
朝食を食べるときに「いただきます」
会社で同僚とかわす「お疲れ様!」
知合いと会って「こんにちは!」
仕事が退けて帰る時に「お先に失礼します!」、そして帰宅して「ただいま!」...
お店に入って「いらっしゃいませ」!
帰り際に「ありがとうございました」!
といったように、私たちは、日常生活の中で声に出して「挨拶」を交わします。
挨拶の形式はさまざまですが、感謝の気持ちや相手の心を動かす「人間関係の潤滑油」であり、人と人とのコミュ二ケーションを図る上ではなくてはならないものですよね。
大切な事は「声に出す」こと。
心の中で呟くだけでは相手に出す気持ちは伝わりません。
実は「挨拶」は仏教語で、もとは禅宗のお坊さんたちの間で師が修行者の悟りを試すための問答に用いられたものです。
挨は「押し開く、近づく」拶は「迫る」ということ。
本来は、師が弟子の心の深浅を推察し、弟子が師匠に応答を迫るという、心と心のぶつかり合いを意味する言葉であり、お互いの心を開きあい触れ合うところに意味があります。
禅の問答集である「碧巌録」の中に
『一言一句 一機一境 一出一入 一挨一拶』
という言葉があります。*
*「垂示に云く、玉は火を將て試み、金は石を將て試み、劍は毛を將て試み、水は杖を將て試む。衲僧門下に至っては、一言一句、一機一境、一出一入、一挨一拶に深淺を見んことを要し、向背を見んことを要す。且く道え、什麼を將てか試みん。請う擧し看ん。」
要は、言葉を投げかけ、相手の心境をおしはかり、その言動に緩急自在に対処しながら、心と心をぶつけ合う)」という意味ですが、この最後の「一挨一拶」が、日常でわたしたちが使っている”挨拶”の語源となったものです。
「挨拶」はお互いの存在を確かめ合い、積極的に関係を築き上げていくための重要なコミュニケーション手法であり、人と人との関係性を円滑にし、居心地の良い組織社会を運営してゆく「場」のプロデュースには不可欠の要素と言えます。
「場」つくりの基本は「挨拶」から!
と言っても過言ではありません。
そして『即今、当処、自己』と言う禅の言葉。
漢字で示すと少し難しそうに見えますが、
「即今」(そっこん)とはたった今、
「当処」(とうしょ)は自分がいるその場所、
「自己」(じこ)は自分自身、
を意味しています。
今流の表現をすれば
「今やらなければ、いつやるの?」
「今でしょ!」
「ここでやらなければ、どこでやるの?」
「ここでししょ!」
「自分がやらなければ、誰がやるの?
「自分しかいないでしょ!
とでも言った感じでしょうか。
今、自分が置かれた状況の中で、やるべきことを、自分が信念を持って一生懸命に行動する事の大切さを教える言葉が「即今、当処、自己」です。
私は、今年63歳になります。
昔流に言えば「隠居生活」に入る年齢ですが、まだまだ元気に活動できる!と勝手に思い込んでいます。
私は、今迄の人生で得た「体感知」や「経験知」、そして「人生知」を社会に還元してゆくステージが60歳台の生き方と考えています。
ブログを毎日書き綴りながら、自分自身が果たせる「社会善」の何たるか! を問い、
そして、社会で活動している全ての人々に対して「幸福働」の世界を広めてゆくべく『場つくりエバンジェリスト』を自称して活動しています。
こうした活動をしていると
「岡田さんのパッションはどこから来るのですか?」と聞かれる事があります。
私自身の想いは、「使命感」などといった大仰などものではなく、『即今、当処、自己』の禅の意識です。
組織を定年退職してからも、
社会に関わりを持てる幸せを日々感じながら、自分ができる事、そして、自分しか出来ない事を「今」「この場」で愚直に続けてゆくことが、私自身の『即今、当処、自己』です。
生きてゆく事は難儀です。
でも、生きる事の尊さや、生かす事の貴さを禅は教えてくれます。
人間誰しも歳をとってゆきます。
人生の時間は確実に流れ、その限りは人によって異なり、永遠でもありません。
目の前のことを愚直にこなすという、そのシンプルなことに集中し、コツコツとこなしてゆく『即今、当処、自己』を意識して「場」つくりエバンジェリストを演じてゆきたいと思っています。
-続く-