もう読んでいられないというくらいに国王一家は悲惨な運命に追い込まれていく。歴史上の史実と空想が見事な調和となって、物語は劇的に淡々と語られていく。何が史実で何が空想なのか分からないままに読んでいたが、物語の主軸としてはそんなことどうでもいい。つまりこの作品は、もしかしたらあり得たかもしれない裏話を史実に繋げて複雑なストーリーとして構築されたものであり、革命がどれほど意味があるのかまたは無意味なのかを読者に問う作品でもあるのでしょう。最後のフィクションと史実について簡素に記載された解説も秀逸でした。
エジプト古王国時代の紀元前1300年頃が物語の舞台だそうです。ラムセスが14歳のころから物語は始まり、摂政に選ばれてファラオである父セティ王から色々なことを学んでいく。父の最後の言葉。ファラオは孤独である。常に正しき道を選ばなければならない。セティ王の死でついに兄シェナルとの戦いになってしまうのか?という場面で第一巻は終わりでした。続きも楽しみです。有名人としてモーゼやホメロスも登場。どのくらい史実に基づいているのかは知りませんが、3300年も前に生きた歴史上の人々を身近に感じられるよい作品だと思います。
とても不思議で実体感のない話。主人公の「僕」の元にある日ブラフマンがやってきて一緒に過ごす一夏の夢みたいな話。とにかくブラフマンが最も謎だが、まあ人ではなく小さな動物のようです。<創作者の家>や森や泉や古代墓地が舞台だが、それがどこの国なのかも分からないし、時代もはっきりしない。ただなんとなく、ヨーロッパかどこかの外国のような雰囲気があるし、車が出てくるので、それほど大昔ではないようだ。「僕」はブラフマンをとても大切にしていたが、雑貨屋の娘の方がやっぱり優先。タイトルの通り淡々と物語は終わったのでした。
怪盗クイーン初登場の話であり、夢水清志郎と共演の作品であり、RDとクイーンの出会いの話でもある。そりゃ読むしかないね。ちょっと切ない感じのストーリーでした。黒田という政府側の男がいて、これがまあ敵っぽい立場の登場人物なのだが、でもその立場も軽く書かれたりはしていません。「武器では見せかけの平和しかつくれませんよ」「見せかけの平和のほうが、戦争より数百倍ましさ」。何が大事なのかは、結局読む人それぞれに委ねられるしかないのでしょう。パスワード探偵団の方もすごく面白かったし、やっぱり切ないストーリーでした。
クイーンシリーズ第2弾。今回はクイーンがわがままを言って休暇をとり、豪華客船ロイヤルサッチモ号で旅をする話。でも、まあ、最初の登場人物紹介をみるとまあただの休暇にはならないだろうとは予想がつく。グーコ王国の王女イルマ、豪華客船の旅企画者のサッチモ、国際刑事警察機構(ICPO)のジオットと助手の冥美、クイーンを付け狙う暗殺者集団「初楼」のメンバーたち。まあ、とにかくワクワクしますね。ジョーカーの過去、もう一人のイルマ。いい感じでした。
ついに四十九日の法要の日になった。次々と仕掛けてくる敵の暗躍をことごとく退けていく探偵。ほぼ最後までそんな感じで探偵の活躍が続いていくのだが、最後の強敵の策略でついに敗れてしまいそうになるのです。そして、そこから先は、この物語の中心の謎が明かされていく。タリオ?え?何言ってんの?って感じだが、とりあえず違和感の原因が提示されるのです。まあ、上巻からずっとそうだが、普通の女子高生の一華ととぼけた橋田の会話が面白く、それが訳の分からない真相などふきとばしてしまうような好印象を与えてくれる。そんな作品でした。