サクラダリセット最終巻。この著者が言う正しさというようなことは、べつに意味もない言葉だと思うし、感情を単語で表そうとするような表現も全然共感はできないのだが、それでも、物語の勢いもあって、引き込まれるのです。「少年と少女と」というよりも「少年と少女と、少年と少女と、少女と少女と」って感じのストーリーでした。アニメを見返したくなりました。
アニメ「ファンタジスタドール」っていうのは全く知らない。解説にあるようにメディアミックスだそうなのですが、まあよい。このイヴは、その前日譚にあたる作品だそうで、一人称で語られる物語は、これまで読んだ野崎まどさんの作風のどれとも異なり、なんだか重い。物語は「私」が幼少の頃の経験から始まり、大学院に入りなんだかわからんエセ科学で物質を作り出す基礎理論を構築し、ついには女性を作り出す感じです。重いが、一人称のためか読みやすく、すいすい読み進めた。ニセのあとがきといつか分からないニセの年表がついていた。
未来の彼氏からの電話というなんだか奥の深そうな設定…かと思いきや、ただ悪戯電話で遊ぶ主人公たち。全く共感できない主人公の行動に読者は置いていかれる感じです。相手の女の子も友達もみんなそれぞれの行動がわけわからず、それに細かい描写などは、関係ないことばかりに思える。まあ、ちょっと辛辣ですが、ストレートにいうとそんな印象でした。まあ、でも大きなストーリーの流れは惹きつけられるものがありました。
この本は小学館文庫を読んでいたが、同じシリーズの中でこれだけ新潮社でないのが気に入らなかったので、購入してしまった。話はあまり覚えていなかったので、再読でも十分楽しめた。なんだかほんわりやさしいストーリーが好きです。それに、イラストもとてもよいのです。「ほたる」という短編も併録されていた。
