こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。
今月の11日と12日に、高卒認定試験がありました。この試験に合格することで、高校卒業と同等の資格を手に入れることができる制度です。なんらかの理由で高校に進学できなかった子や、中退した子らが、大学や専門学校に進学するためにの唯一の方法がこの高卒認定試験に合格することなのです。
試験は年に2回あり、8または9教科に合格する必要があります。はっきりいって、センター試験などと比べると難易度は低く、実際に私がこれまで教えてきた生徒の中でも3カ月ほどの勉強で全教科合格する子もいました。
ただそのように短期間で合格するのは、非常に学力が高かったり、中学校3年間の勉強がある程度理解できている場合であって、そうでない子にとっては決して低いハードルではありません。なんらかの理由で、小学校・中学校の勉強が十分に理解できていない子では独学で合格するのはかなり困難でしょう。
私の生徒でも今年の認定試験を受験した子がいました。彼は中学生の途中で不登校になり、高校には進学していません。彼は不登校になってからは外出もせず、ずっと家にいたそうです。そして学年でいうと、高校1年生の春になったときに「勉強したい」ということを両親に伝えました。ご両親はいろいろ探されたようですが、私の塾にたどり着いてくれました。
ご両親と初めてお話させていただいたときに、彼は勉強をしたいという気持ちは湧いてきているけれども、家から出ることは難しい。だから塾には来ることができないので、家に来てほしいというお話をされました。そこから私は午前中に、彼の自宅に通い、家庭教師をするようになりました。
私も彼も、初めのうちはお互いが緊張し、ただ勉強だけ教えて帰るという日が続きました。勉強といっても、当時彼には具体的な目標はありませんでしたし、ただ中学校の勉強をとりあえずはやっておきたい、そんな感じでした。1ヵ月ほど経過したとき、私は勉強の前に、自分がこれまでどんな人生を歩んできたのか、失敗したことや成功したこと、ひきこもっていたことなど全部彼に話してみました。すると彼は突然ゲラゲラ笑いだしたのです。その日を境に、彼との距離感はグッと縮まり、ときどき冗談を言い合えるほどになりました。そんな中である日、彼が「高卒認定試験を受験したい」と言ったのです。
もともと能力は高く、十分合格できる力はありましたが、まずはあせらずに中学校の復習をきちんとして、それから認定試験対策をするという道を選びました。「認定試験合格」という具体的な目標ができてからは、彼の勉強に対する意欲も高まり、順調に課題をクリアしていきました。そして合格できる可能性がかなり高い状態まで彼は頑張り、1回目の認定試験を受けました。試験は2日間あるのですが、彼は2日目の試験会場に行くことができなかったのです。
中学校の途中から不登校になり、そのときから外出をしていませんでした。長い間家から出ていなかった彼にとっては、大勢の人が集まる試験会場に行くだけでも大変だったでしょうし、ましてやその中で試験を受けたとなると、その疲れは私たちの想像をはるかに超えるものだったでしょう。
1日目に受験した科目は見事に合格しましたが、2日目は受験していませんので、残り4教科が残りました。認定試験は年に2回、8月と11月にあり、その残った4教科を11月に受験する方向で勉強していたのですが、8月で大勢の人の中で受験したストレスや疲れがトラウマのようになり11月の受験はできませんでした。
そしてまた次の8月に向けての勉強を開始しました。ただ勉強と言っても、残っているのは社会と理科の暗記科目だけですので、私が彼の家に行くときには認定試験の勉強ではなく、数学や英語など、認定試験後に、たとえば大学受験などで必要になる勉強をし、認定試験の勉強は彼は1人でしていました(私が社会や生物を教えることができないのもありましたが)。そして今年の8月、3度目の認定試験の日がやってきました。万全の態勢で臨んだはずでしたが、結果はまた受験会場に行くことができませんでした。
次の日、彼と話をしたのですが、一番悔しいのは彼なんです。一番自分自身に腹が立っているんです。「どうして自分は試験会場に行けないのか!」そんな彼の気持ちが痛いほどわかりました。「俺は何をやっているんだろう。のんびりと大学に向けた勉強だけを教えている場合じゃないだろう。もっと彼が外に出やすくなり、試験会場に行けるようにすることこそが俺の役目なんじゃないか!」私も猛省しました。
それから特別なことをしたわけではありませんが、彼との勉強ではできるだけリラックスしてもらえるよう、そしてまたこれまでよりも、たくさんのいろいろな話をしました。11月の試験が近づいても、彼の表情は暗くならず明るいままでしたので「今回はいけそうだ」と確信はありましたが、試験当日、「ちゃんと試験に行ってきたよ」と連絡をもらえたときは心から嬉しかったです。
そして2人で自己採点をした結果、十分すぎるほどの得点をとっていました。これはすごいことなんです。私はほとんど何も教えていなくて、彼が1人で頑張った結果です。家から出ることができず、何度も試験会場に行くこともできず、将来も不安でいっぱいの中で、彼は今自分ができること、しなければいけないと思ったことを全力で頑張り、そして合格を勝ち取ったのです!まだ正式な合格発表はまだですが、嬉しくてたまりません。
彼は今後、どういう進路を選ぶかはわかりません。大学受験をするかもしれないし、しないかもしれない。それは彼自身の意志でゆっくり決めればいいんです。ただ彼がこの数年間、いろんな苦しく厳しい状況の中で頑張ってきた時間、そしてこの高卒認定試験の全教科の合格、これはきっと彼の人生において大きな財産となるはずです!
君の表情、そして口から出る言葉、それがすべてを物語っているよ。君は決して無駄な時間なんて過ごしていないんだ。何度も何度も自分を見つめなおし、自分の将来を考え、不安や絶望と毎日戦ってきたんだ!そんな君は、もう以前の君ではなく、しっかりと前を向いているよ。だからもう大丈夫。あと少しだけ勇気を持って1歩踏み出そう。
ONE-SのHP
今月の11日と12日に、高卒認定試験がありました。この試験に合格することで、高校卒業と同等の資格を手に入れることができる制度です。なんらかの理由で高校に進学できなかった子や、中退した子らが、大学や専門学校に進学するためにの唯一の方法がこの高卒認定試験に合格することなのです。
試験は年に2回あり、8または9教科に合格する必要があります。はっきりいって、センター試験などと比べると難易度は低く、実際に私がこれまで教えてきた生徒の中でも3カ月ほどの勉強で全教科合格する子もいました。
ただそのように短期間で合格するのは、非常に学力が高かったり、中学校3年間の勉強がある程度理解できている場合であって、そうでない子にとっては決して低いハードルではありません。なんらかの理由で、小学校・中学校の勉強が十分に理解できていない子では独学で合格するのはかなり困難でしょう。
私の生徒でも今年の認定試験を受験した子がいました。彼は中学生の途中で不登校になり、高校には進学していません。彼は不登校になってからは外出もせず、ずっと家にいたそうです。そして学年でいうと、高校1年生の春になったときに「勉強したい」ということを両親に伝えました。ご両親はいろいろ探されたようですが、私の塾にたどり着いてくれました。
ご両親と初めてお話させていただいたときに、彼は勉強をしたいという気持ちは湧いてきているけれども、家から出ることは難しい。だから塾には来ることができないので、家に来てほしいというお話をされました。そこから私は午前中に、彼の自宅に通い、家庭教師をするようになりました。
私も彼も、初めのうちはお互いが緊張し、ただ勉強だけ教えて帰るという日が続きました。勉強といっても、当時彼には具体的な目標はありませんでしたし、ただ中学校の勉強をとりあえずはやっておきたい、そんな感じでした。1ヵ月ほど経過したとき、私は勉強の前に、自分がこれまでどんな人生を歩んできたのか、失敗したことや成功したこと、ひきこもっていたことなど全部彼に話してみました。すると彼は突然ゲラゲラ笑いだしたのです。その日を境に、彼との距離感はグッと縮まり、ときどき冗談を言い合えるほどになりました。そんな中である日、彼が「高卒認定試験を受験したい」と言ったのです。
もともと能力は高く、十分合格できる力はありましたが、まずはあせらずに中学校の復習をきちんとして、それから認定試験対策をするという道を選びました。「認定試験合格」という具体的な目標ができてからは、彼の勉強に対する意欲も高まり、順調に課題をクリアしていきました。そして合格できる可能性がかなり高い状態まで彼は頑張り、1回目の認定試験を受けました。試験は2日間あるのですが、彼は2日目の試験会場に行くことができなかったのです。
中学校の途中から不登校になり、そのときから外出をしていませんでした。長い間家から出ていなかった彼にとっては、大勢の人が集まる試験会場に行くだけでも大変だったでしょうし、ましてやその中で試験を受けたとなると、その疲れは私たちの想像をはるかに超えるものだったでしょう。
1日目に受験した科目は見事に合格しましたが、2日目は受験していませんので、残り4教科が残りました。認定試験は年に2回、8月と11月にあり、その残った4教科を11月に受験する方向で勉強していたのですが、8月で大勢の人の中で受験したストレスや疲れがトラウマのようになり11月の受験はできませんでした。
そしてまた次の8月に向けての勉強を開始しました。ただ勉強と言っても、残っているのは社会と理科の暗記科目だけですので、私が彼の家に行くときには認定試験の勉強ではなく、数学や英語など、認定試験後に、たとえば大学受験などで必要になる勉強をし、認定試験の勉強は彼は1人でしていました(私が社会や生物を教えることができないのもありましたが)。そして今年の8月、3度目の認定試験の日がやってきました。万全の態勢で臨んだはずでしたが、結果はまた受験会場に行くことができませんでした。
次の日、彼と話をしたのですが、一番悔しいのは彼なんです。一番自分自身に腹が立っているんです。「どうして自分は試験会場に行けないのか!」そんな彼の気持ちが痛いほどわかりました。「俺は何をやっているんだろう。のんびりと大学に向けた勉強だけを教えている場合じゃないだろう。もっと彼が外に出やすくなり、試験会場に行けるようにすることこそが俺の役目なんじゃないか!」私も猛省しました。
それから特別なことをしたわけではありませんが、彼との勉強ではできるだけリラックスしてもらえるよう、そしてまたこれまでよりも、たくさんのいろいろな話をしました。11月の試験が近づいても、彼の表情は暗くならず明るいままでしたので「今回はいけそうだ」と確信はありましたが、試験当日、「ちゃんと試験に行ってきたよ」と連絡をもらえたときは心から嬉しかったです。
そして2人で自己採点をした結果、十分すぎるほどの得点をとっていました。これはすごいことなんです。私はほとんど何も教えていなくて、彼が1人で頑張った結果です。家から出ることができず、何度も試験会場に行くこともできず、将来も不安でいっぱいの中で、彼は今自分ができること、しなければいけないと思ったことを全力で頑張り、そして合格を勝ち取ったのです!まだ正式な合格発表はまだですが、嬉しくてたまりません。
彼は今後、どういう進路を選ぶかはわかりません。大学受験をするかもしれないし、しないかもしれない。それは彼自身の意志でゆっくり決めればいいんです。ただ彼がこの数年間、いろんな苦しく厳しい状況の中で頑張ってきた時間、そしてこの高卒認定試験の全教科の合格、これはきっと彼の人生において大きな財産となるはずです!
君の表情、そして口から出る言葉、それがすべてを物語っているよ。君は決して無駄な時間なんて過ごしていないんだ。何度も何度も自分を見つめなおし、自分の将来を考え、不安や絶望と毎日戦ってきたんだ!そんな君は、もう以前の君ではなく、しっかりと前を向いているよ。だからもう大丈夫。あと少しだけ勇気を持って1歩踏み出そう。
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