こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。
突然ですが私は格闘技が好きなんです。若いころはよく格闘技の大会を見にいってました。プロレス・総合格闘技・ボクシングなどです。また、見るだけではなく自分でやってみるのも好きでした。高校のときは柔道をしていましたし、30代にはボクシングジムに通っていて、それなりに筋肉質で引き締まっていました。それも今となっては見る影もありませんが(^_^;)
私がこうして格闘技に興味を持つようになったのは、やはり中学校の影響が大きいのでしょうね。以前から書いているように、私の通っていた中学校はヤンキーが支配していた学校で、正直怖かったですし、毎日学校に行くのも嫌でした。先生たちも味方になってくれそうになく、自分の身は自分で守らなければなりませんでした。といっても、私にそんな度胸も腕力もなかったので、ひたすら目立たないように、適当に愛想笑いをしながらやり過ごすしかありませんでした。そんな自分が情けなく、なんとかしたかったので高校から体を鍛えるようになりました。筋力もつき柔道も学んだことにより、おそらく強くなったとは思いますが、幸いにもそういった場面に出くわすこともなく、またもともと気が弱いので実践で使うことはありませんでした。ただ、心のどこかで、なにかめんどくさいことが起きても、今ならなんとかなるだろなという自信のようなものはあったと思います。
ついつい、自分の話をしてしまいましたが、今日は私のことではなく卒業生の話をしたいと思います。
ある卒業生からボクシングの世界戦の前座の試合に出場することが決定し、そしてトランクスに入れる企業のロゴにONE-Sを入れさせてほしいという連絡がありました。
彼は中学生のときに不登校になったのですが、高校は全日制の学校に見事に合格しました。しかし、1学期の早い段階で学校に行くことができなくなり、通信制の高校へ転入しました。そこで彼のペースでゆっくりと過ごしていましたが、2年生の半ばだったと思います。大学受験をしたいからと塾に来てくれました。彼は理系の大学に進学したかったのですが、高校では数学や物理、化学などの授業がほとんどなく、独学で勉強しなければならなかったのです。ですから、彼は非常に優秀な子でしたが、大学受験ということを考えると、あと約1年間でどうにかなるような状態ではありませんでした。
早い段階で受験科目を絞って勉強しようと話し合って決め、数学や物理を中心に勉強を始めましたが、理解力も高く、予想以上に順調に進んでいきました。ですが、精神的な不安定さは常に彼にはあり、塾に来ることができないこともあったし、家庭での学習はほぼできない状態でした。塾に来ても、気持ちが沈んでしまっていて、とても勉強ができる状態ではなく、2時間ほどずっと話をして授業が終わる日も何度かありました。
もともと勉強もできて、彼もそれなりに自信があったのでしょう。それが、どこかでずれてしまって、勉強の自信を失い、勉強の自信がなくなるとそれ以外のことすべてにおいても、自信をなくしていったように感じました。どうしたら彼が元気になっていくか、そのことばかり考えていましたが、よく考えるとそんな力が私にあるはずがありません。もっと言えば、彼自身が自分の力でこれを乗り越えるしか方法はないのです。では私に何ができるかといったら、彼と一生懸命向き合うことでした。悩みを解決したり、自己肯定感を高めたりはできないけれど、彼の話を一生懸命聞いて、私の意見や気持ちを正直に伝えていきました。
こんな感じでなんとか受験勉強を進めていった結果、無事に彼は大学に合格してくれました!彼の能力ならば、もっと偏差値の高い大学も狙えたでしょうし、彼自身もそういう気持ちはあったと思います。ですが、彼も力を使い果たし、これ以上受験勉強を続ける余力はなかったですし、なにより次のステージにようやく進めるという安心感が大きかったと思います。
塾を卒業してからは、彼の弟も塾に来てくれていて、その子から彼の様子をときどき聞いていました。「今、バイトしてるんやで」「えっ!マジで?すごいやん!」
「髪の毛金髪にしてるで」「えっ!マジか?なんか楽しんでそうやな」「最近ボクシング始めたらしいで」「うそやろ?まったく想像できんわ」
そんなやりとりがあって、だいたいの状況はわかっていたつもりでしたが、実際は予想をはるかにこえるほど、彼はりっぱになっていました。
彼の試合は東京で行われるため見にいくことはできず、試合もテレビ放送がなかったので見れずに残念だったのですが、試合後彼から連絡があり、試合の動画を送ってくれました。リングに立っているのは、まぎれもないプロボクサーでした。彼はプロのライセンスも取得しており、完全にプロボクサーの動きでした。動画を見ながら私も興奮してきて、思わず何度も声をだして応援していました。
後日、彼が塾に来てくれました。実際に会うと動画で見るより、さらに体もがっちりしていて、4年前の彼とは体つきはもちろんですが、表情や雰囲気もまったくの別人のようでした。試合で拳を骨折していて痛々しかったですが、試合で使用したONE-Sのロゴが入ったトランクスを持ってきてくれました。めちゃ嬉しかったですね。久しぶりに話した彼はもう完全に大人で、自信にあふれていましたし、もう何も心配ない様子でした。春からは見事に希望の就職も決まり社会人となります。
彼は何度も言ってくれました。「松下先生と出会わなかっら、僕の人生はたぶん終わっていた。もうこの世にいないか、今も引きこもっているか。塾に来て松下先生と話して、力をもらい、また家に帰るとエネルギーがなくなっていくので、次に塾に来たときに力をもらって、そういう繰り返しでした。先生がいつも『お前は大丈夫だから。』と言ってくれていたので踏ん張れた」そんなことを言ってくれました。
そうか、知識がなくカウンセラーでもなく専門家でもないけれど、一生懸命向き合って伝えていけば、引っ張ってあげることはできなくても、支えたりすることはできるのかもしれないな。きっと何か役に立つことはできるはずだ、そんなことをもう一度彼には教えてもらえたような気がします。でも最後は彼自身が「ここで自分は変わろう!いろんなプライドを捨てて、もう一度歩いていこう!」という強い決意があったからこそ、今の彼があるのです。一度大きな山を乗り越えた彼にとっては、これまで悩んでいたことなどが、とてもちっぽけなものに見えているでしょう。それほど大きく成長したのです。
生徒や卒業生が元気で頑張っている姿は、私に大きな元気と勇気を、そして経験も与えてくれます。受験勉強を頑張っている子、学校の成績を頑張って上げようとしている子、学校に行けず悩んでいる子、何も目標がなく苦しんでいる子、いろんな子がいます。彼らと一生懸命向き合っていき、私も彼らとともに成長していき、そして少しでもどんな形でも役に立つことができるように、全力で関わっていきたいと思います。
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