こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。
前回の続きになります。
チャレンジテストが導入されるもっと前のことですが、中学校全体の学力が低く、他の学校ならばおそらく「2」しかもらえないような点数をテストでとっていても、「3」あるいは「4」をもらえるということがありました。当然、その生徒は高い内申点を持って受験に臨めるわけですから、本番のテストであまりいい出来でなかったとしても、内申点のアドバンテージのおかげで合格できます。つまり、学力的には足らない子であっても、通っている中学校によっては内申点を学力以上にもらえることがあるので、他の中学校の子より有利に高校受験できるわけです。だからこそ、そういった不公平をなくすためにチャレンジテストが導入されたのです。
また内申点を学力以上にもらえると、自分の学力よりも高い高校に合格することも可能となりますが、学力がともなっていないと勉強についていくのはしんどいでしょう。そういう意味ではある程度学力に応じた高校に行くことが望ましいですし、そのために入試があるわけです。
ここで問題が。では学校のつける成績にはどのような意味があるのでしょうか? 前回でも書いたように学校がつける成績は、テスト以外の部分も評価しています。だからテストの点数が悪くても、真面目に提出物を出して授業を受けているとある程度の成績はもらえます。ですが、ここが大事なポイントで、その成績がそのまま入試に反映されることはないのです。いえ、正確にはそのまま反映されないケースもあるのです。
テストの点数は良いけれども、提出物もしていなく授業態度も不真面目な子は学校の成績は「3」をつけられるかもしれない。でもチャレンジテストで満点近い点数とれば入試に必要な内申点は「5」に修正されます。テストの点数は良くないけれども頑張って提出物もして真面目に授業を受けている子は学校の成績では「3」をもらえるかもしれないけれども、チャレンジテストの結果が悪ければ入試に必要な内申点は「1」になってしまう。
学校の通知表って、いったい何のためにあるん? そう思ってしまいますよね。もちろん大部分の子どもは、学校の通知表の成績とチャレンジテストの成績は一致しています。どちらも基本的にはテストの点数を基準にしているわけですから。ですが、そうならない子も確実に存在しているのです。
チャレンジテストで入試に必要な内申点を決めるのであれば、通知表なんてなくせばいいし、定期テストなんかやめてしまえばいいんです。子どもたちに提出物の課題を与えることなんてやめてしまえばいんです。そもそも提出物なんてしても、たいして学力なんてつきません。非常に効率の悪い勉強なんです。それでもみんなが頑張ってやっているのは、少しでも入試で有利になる内申点をもらえると思ってるからなんです。
極端なことを言っていますが、こういった問題が出てくるのはチャレンジテストの導入が決まったときから私はもちろん、他の多くの方もわかっていました。だから反対をしたんです。あちこちからチャレンジテストに対する抗議があったからでしょう、今年度から1,2年生のチャレンジテストの評価の仕方が変わりました。チャレンジテストの結果で、成績が「3」から「1」になるようなことはなくなるでしょう。
私は現状維持がいいとは思いません。お金や時間がかかっても、いいものを作っていくというのは大切なことだと考えています。ただ、もっと慎重に議論すべきです。生徒やその保護者だけでなく、学校現場も混乱するような制度を急いで導入してしまうと、振り回されてしまうのは子どもたちなのです。
私はサッカー観戦が好きです。サッカーでは、味方の選手がバックパスをしたときには、ゴールキーパーは手を使ってはいけないルールです。ですが以前はバックパスであっても、ゴールキーパーは手を使ってもよいというルールでした。だからゴールキーパーに求められる能力は、足元の技術よりも、ボールをキャッチしたりパンチングするものでした。しかし、バックパスを多用することで時間稼ぎになってしまったり、緊張感が薄れてしまうという声がたくさんでてきたので、ルールの変更が行われたのです。試合はよりスリリングなものとなり、サッカー観戦が一段と楽しくなりました。
ただこの改正によって一番困ったのはゴールキーパーです。ボールをトラップする技術、正確なフィードキックなどこれまで求められてこなかった技術を習得しなければならなくなりました。これまで絶対的なレギュラーの選手が、控えに回ったり、チームを放出されることも少なくありませんでした。チームの戦術も大きく変わり、このルールに適合したチーム作りをするためゴールキーパーだけでなく、他の選手に求められる能力も変わりました。
つまりはルールがあるから、そのルール内で活躍できるような能力をつける練習をするのです。受験も同じです。受験制度が決まっているから、そこで力を発揮できるように、みんなそこを目標に何年も前から準備をしているのです。それには時間もお金もたくさん使われています。それにもかかわらず受験制度を変えてしまうと、それまでやってきたことは無駄になるとまでは言いませんが、それならもっと違うことに時間とお金は使えたかもしれません。
受験を公平なものとし、時代にあわせて求めらえる能力も変化してきますから受験制度を変更することは大切です。しかし、たいした議論もせず変更し、数年後に批判が多いからまた変更するといったことを繰り返していては、子どもたちはどこを目指して勉強すればよいのかわかりません。ただ振り回されて無駄な時間をつかうことになってしまいます。
新型コロナウイルスの対応と違って、これにスピード感なんて必要ありません。当然出てくるであろう批判や、その制度の問題点をもっと深く議論してから施行するべきです。大阪の公立高校の受験制度はここ20年でいったい何回変わっているのでしょうか!
政治家でも学校でも、もっといえば親でもありません。教育や受験は「子どもファースト」であるべきです。それをもっと理解してもらって、もう二度とこんな簡単にコロコロと制度を変えるようなことをせず、あらゆる議論をしてこれが最高だと胸を張って言える制度を作ってもらいたいと強く望みます。
ONE-SのHP
前回の続きになります。
チャレンジテストが導入されるもっと前のことですが、中学校全体の学力が低く、他の学校ならばおそらく「2」しかもらえないような点数をテストでとっていても、「3」あるいは「4」をもらえるということがありました。当然、その生徒は高い内申点を持って受験に臨めるわけですから、本番のテストであまりいい出来でなかったとしても、内申点のアドバンテージのおかげで合格できます。つまり、学力的には足らない子であっても、通っている中学校によっては内申点を学力以上にもらえることがあるので、他の中学校の子より有利に高校受験できるわけです。だからこそ、そういった不公平をなくすためにチャレンジテストが導入されたのです。
また内申点を学力以上にもらえると、自分の学力よりも高い高校に合格することも可能となりますが、学力がともなっていないと勉強についていくのはしんどいでしょう。そういう意味ではある程度学力に応じた高校に行くことが望ましいですし、そのために入試があるわけです。
ここで問題が。では学校のつける成績にはどのような意味があるのでしょうか? 前回でも書いたように学校がつける成績は、テスト以外の部分も評価しています。だからテストの点数が悪くても、真面目に提出物を出して授業を受けているとある程度の成績はもらえます。ですが、ここが大事なポイントで、その成績がそのまま入試に反映されることはないのです。いえ、正確にはそのまま反映されないケースもあるのです。
テストの点数は良いけれども、提出物もしていなく授業態度も不真面目な子は学校の成績は「3」をつけられるかもしれない。でもチャレンジテストで満点近い点数とれば入試に必要な内申点は「5」に修正されます。テストの点数は良くないけれども頑張って提出物もして真面目に授業を受けている子は学校の成績では「3」をもらえるかもしれないけれども、チャレンジテストの結果が悪ければ入試に必要な内申点は「1」になってしまう。
学校の通知表って、いったい何のためにあるん? そう思ってしまいますよね。もちろん大部分の子どもは、学校の通知表の成績とチャレンジテストの成績は一致しています。どちらも基本的にはテストの点数を基準にしているわけですから。ですが、そうならない子も確実に存在しているのです。
チャレンジテストで入試に必要な内申点を決めるのであれば、通知表なんてなくせばいいし、定期テストなんかやめてしまえばいいんです。子どもたちに提出物の課題を与えることなんてやめてしまえばいんです。そもそも提出物なんてしても、たいして学力なんてつきません。非常に効率の悪い勉強なんです。それでもみんなが頑張ってやっているのは、少しでも入試で有利になる内申点をもらえると思ってるからなんです。
極端なことを言っていますが、こういった問題が出てくるのはチャレンジテストの導入が決まったときから私はもちろん、他の多くの方もわかっていました。だから反対をしたんです。あちこちからチャレンジテストに対する抗議があったからでしょう、今年度から1,2年生のチャレンジテストの評価の仕方が変わりました。チャレンジテストの結果で、成績が「3」から「1」になるようなことはなくなるでしょう。
私は現状維持がいいとは思いません。お金や時間がかかっても、いいものを作っていくというのは大切なことだと考えています。ただ、もっと慎重に議論すべきです。生徒やその保護者だけでなく、学校現場も混乱するような制度を急いで導入してしまうと、振り回されてしまうのは子どもたちなのです。
私はサッカー観戦が好きです。サッカーでは、味方の選手がバックパスをしたときには、ゴールキーパーは手を使ってはいけないルールです。ですが以前はバックパスであっても、ゴールキーパーは手を使ってもよいというルールでした。だからゴールキーパーに求められる能力は、足元の技術よりも、ボールをキャッチしたりパンチングするものでした。しかし、バックパスを多用することで時間稼ぎになってしまったり、緊張感が薄れてしまうという声がたくさんでてきたので、ルールの変更が行われたのです。試合はよりスリリングなものとなり、サッカー観戦が一段と楽しくなりました。
ただこの改正によって一番困ったのはゴールキーパーです。ボールをトラップする技術、正確なフィードキックなどこれまで求められてこなかった技術を習得しなければならなくなりました。これまで絶対的なレギュラーの選手が、控えに回ったり、チームを放出されることも少なくありませんでした。チームの戦術も大きく変わり、このルールに適合したチーム作りをするためゴールキーパーだけでなく、他の選手に求められる能力も変わりました。
つまりはルールがあるから、そのルール内で活躍できるような能力をつける練習をするのです。受験も同じです。受験制度が決まっているから、そこで力を発揮できるように、みんなそこを目標に何年も前から準備をしているのです。それには時間もお金もたくさん使われています。それにもかかわらず受験制度を変えてしまうと、それまでやってきたことは無駄になるとまでは言いませんが、それならもっと違うことに時間とお金は使えたかもしれません。
受験を公平なものとし、時代にあわせて求めらえる能力も変化してきますから受験制度を変更することは大切です。しかし、たいした議論もせず変更し、数年後に批判が多いからまた変更するといったことを繰り返していては、子どもたちはどこを目指して勉強すればよいのかわかりません。ただ振り回されて無駄な時間をつかうことになってしまいます。
新型コロナウイルスの対応と違って、これにスピード感なんて必要ありません。当然出てくるであろう批判や、その制度の問題点をもっと深く議論してから施行するべきです。大阪の公立高校の受験制度はここ20年でいったい何回変わっているのでしょうか!
政治家でも学校でも、もっといえば親でもありません。教育や受験は「子どもファースト」であるべきです。それをもっと理解してもらって、もう二度とこんな簡単にコロコロと制度を変えるようなことをせず、あらゆる議論をしてこれが最高だと胸を張って言える制度を作ってもらいたいと強く望みます。
ONE-SのHP