個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

いつからでもスタートできるんだ

2024-03-13 21:57:05 | 不登校
こんばんは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

大学受験、高校受験も無事に終わりました。高校受験はあとは結果待ちですが、みんな最後まで必死で頑張ってくれて、毎年のことですが感動しました。勉強となかなか向き合えなかった子も、受験前には必死で勉強してくれましたし、起きている時間をすべて勉強に使うほど死に物狂いで取り組んでくれる子もいました。目標に向けて全力で頑張っている熱気は私にも十分伝わり、私の方も彼らの気持ちに応えようと自身の体調管理を万全にして、持てる力をすべて出し切って教えていきました。10代の子たちの成長力は半端なく、20年以上この仕事をしていますが、彼らの可能性には驚かされます。

今年の受験生は10代の子だけではなく、20代半ばの子もいました。彼は中学1年生頃から不登校になり、そこからひきこもっていましたが、その生活から脱出しようと力をふりしぼり、通信制の高校に通い始めました。そんな中で、大学受験に挑戦したいという気持ちが芽生え、そして私の塾を見つけ出して連絡をくれました。それが約4年前のことでした。私自身も遠回りしてきた経験があり、働き始めたのが27歳でしたので、彼には私から伝えることができることもたくさんあるだろうし、絶対に頑張ってほしい!という気持ちが強かったです。

第一印象としては「とても真面目な子」、そして言葉遣いなどもしっかりしていて私の20歳ごろと比べれば彼の方が何倍もしっかりしているという感じでした。ただ勉強面は、中学の最初から学校に通ってないため、知識としてはほぼ小学校の段階で止まっているという状態でしたので、中学1年生の勉強から始めることにしました。彼の望みは通信制の高校を卒業するのが3年後ですので、そのときに大学受験をして合格したいというものでした。正直かなりきついと感じました。3年間で中学・高校の勉強を終わらせて、さらに大学受験のレベルまで到達しないといけないのですから。

しかし、彼の能力の高さはもちろんあったのですが、学ぶことに「飢え」を感じていたのでしょうか、勉強をとても楽しそうにしていたのが印象的でした。どんどん新しいことを吸収して、自分の知識が増えていく喜びを感じ、さらにまた新しいことを求めるという理想的な循環でした。私の方でもしっかり計画を立てて、無駄をできるだけ省き、最短距離で受験に到達できるように二人三脚で走り続けました。初めの2年間は彼は週に何回かアルバイトをしながら勉強をしていましたが(これも、数年間もひきこもっていたとは考えられないほどすごいことです)、受験1年前には勉強に集中したいとのことでアルバイトをやめ、勉強時間がグンと増えるかと思いましたが………
現実はまったく逆で、どんどん勉強のペースが落ちてきました。勉強の楽しさよりも苦しさの方が勝ってきたことと、やはり長いひきこもり生活で規則正しい生活に慣れておらず昼夜逆転し始めたことなどが主な原因で、受験の日が近づくにつれて勉強量が減ってきました。塾に来ても勉強するというよりは、話し合ったり、相談したりする時間がほとんどになりました。受験できるような状態ではありませんでしたが、経験のため共通テストと国公立の大学を1つ受験はしました。

受験が終わり、3月にはたくさん話をしました。これからどうしたいのか、本当に大学に進学したいのか、もう一度彼にもゆっくり考えさせました。もちろん私の方からも大学進学を目指すメリットやそのリスクなどもすべて私の考えを正直に伝えました。「もう一度挑戦したい」それが彼の出した結論でした。

私自身が大学受験で二浪している経験から、やはり予備校に通った方がいいのではないかと彼に提案しました。毎日予備校に通うことで生活リズムが整いますし、私とマンツーマンで勉強するより他の受験生が多くいた方が彼にとってはいい刺激になるのではないかという判断からでした。しかし彼はもう1年、ONE-Sで勉強したいです!と言ってくれましたので、私からは自宅以外で勉強する場所を見つけることを条件としました。彼にとっては自宅は完全に休憩する場所であり誘惑にあふれた場所でもありましたので、とにかく勉強するためには別の場所を探すべきだと考えて、最終的には自転車で通える範囲にあった自習室を見つけ、できるだけ毎日、たとえ30分で帰ってもいいからそこに行くことを強くすすめました。そして毎日の勉強時間をきちんと記録し、週ごと、月ごとに何時間の勉強をしたかをチェックするようにしました。勉強時間を記録することは、たくさんすれば自信になりますし、サボっていればそれが数値化され明確に出ますので反省もしやすくなります。

こうして彼の2回目の挑戦が始まりました。順風満帆というわけにはいかず、途中でスランプに陥り、数日間ほとんど勉強できない日があったり、昼夜逆転して現実逃避したり「今年もダメか…」と何度か諦めかけたときもありましたが、彼も今年が最後という覚悟があり、逃げたい気持ちよりも頑張りたい気持ちが上回ったのでしょう、なんとか無事に共通テストまでたどり着きました。共通テストはまずまずの結果で、私立受験があり、複数の大学に見事に合格し、そのままの勢いで国公立も合格することができました!すばらしい!おめでとう!

学力や学歴という点で見れば彼はこの4年間で一気にいわゆる大きな道を通ってきた子たちに追いつくことができたのです。もちろん、これからまだまだ彼には試練が待っています。学校という集団の中での生活は小学校以来ですから、人との付き合い方や距離感など悩むことがあったり、とても大きなストレスになったりすることもあるでしょう。毎朝早く起きて満員電車で通学する日々でヘトヘトになるかもしれません。でも彼ならきっと大丈夫!自分でひきこもりをやめて、自分の意志で大学を目指し、一から勉強を始め、何度もくじけそうになりながら最後までやり遂げることができたのだから。4年前とは比べものにならないほど精神的に成長しているし、なによりこれからの自分の目標がしっかり明確に見えているので、きっと頑張れる!目の前には大きな道が見えているはずだから!それでも人生というのは、思い通りにはならず、苦しいことや辛いことはあるだろうけど、そんなときは俺でよければいつでも力を貸すから連絡しておいでな!本当によく頑張ったね。おめでとう!

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絶対に安全な場所から石を投げてくるんだよな

2020-08-21 17:08:18 | 不登校
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

不登校になる原因ってなんでしょう?

いじめ? 勉強? それともただのサボり? ONE-Sを開校するまでは不登校の子どもと関わったことがほとんどなく、「不登校になるってことは、おそらくいじめが原因なんだろうなあ」と何の根拠もなくそう思っていました。

いわゆる普通に学校に行くことができて、高校や大学の進学を目指す子どもたちに勉強を教えていきたいという気持ちは塾を始めた頃からずっと変わらず持ち続けていますが、一方で学校に行くことができていない子どもたちに対して、大きなことはできませんが、勉強面でのサポートができないだろうかという想いでONE-Sを開校しました。成績が優秀な子は入塾できて、不登校の子は入塾できない。もちろん仕事ですからそういう考えを持ってされている塾がどうこうという話ではありませんが、私は不登校の子と学校に通っている子に差をつけたくなかっただけです。当然ながら頂いているお月謝も同じ額ですし、担当する先生が変わることもありません。

不登校の子といってもいろんなタイプの子がいますので、不登校やひきこもりの子だけしか来ない施設や塾の方が合っている子もいれば、そうではない子もいます。私はそうではない子ができるだけ通いやすい環境の塾にしたいと思っています。偏差値の高い高校や大学を目指す生徒も大切な生徒、全力で志望校に合格できるようにサポートします。学校には通えていないけれども、勉強だけはしておきたい、あるいは高校にはいけないけれども認定試験を合格して大学に進学したい、この子たちも大切な生徒。もちろん一生懸命勉強を教えるとともに気持ちの面でもサポートしたいと思っています。今の状況がどうであっても、私を頼ってきてくれて、何かを目指したいと思ってくれているんだから、どの生徒に対してもまったく同じ気持ちで応援をしていきたいと思っています。

少し熱く語ってしまいましたが(^^;)  不登校になる原因として「いじめ」は思ったよりも少ないという印象ですが、それでも不登校になる大きな原因の1つであることは確かです。ですから国も自治体も「いじめ」対策に取り組んでいるのでしょうが、身近なところでも頻繁に「いじめ」の話は耳にしますし、テレビやネットでも「いじめ」による悲しいニュースを目にすることは多いです。

「いじめ」は子どもの世界だけではなく、大人の社会にも存在します。もしかすると大人の「いじめ」の方が多いかもしれません。それほど世の中には「いじめ」が蔓延しているのです。私はこの分野の専門家ではありませんので、「いじめ」の原因がどこにあり、どうすれば減っていくのかはわかりません。ただ1つ、「いじめられた子が不登校になったり、転校したりする一方で、いじめた側はのうのうとそこに居続けることができる」ことだけは許せないという感情を持っています。

「いじめられた子は自ら命を絶ってしまう」ことさえある「いじめ」というものは決して許されるものではなく、なくしていかなければならない、これはほとんどすべての人が思っていることだと思います。ですが私の生きてきた年数、約50年経過してもなくなっていません。毎日どこかで「いじめ」で苦しんでいる子が存在しているのです。「いじめ」が苦で不登校になったり、精神が病んでしまったりする子が後を絶たない一方で、いじめた側は「いじめていた」という事実を明らかにするのが難しいため何もお咎めがなかったり、「いじめていた」という事実があったとしても厳重注意で済んだりします。「いじめられていた子」が学校に行くことができないほど辛い思いをしたのに、「いじめた側」は何も変わらず過ごすことができています。こんなおかしなことってあるでしょうか?

ほとんどの「いじめ」は「いじめる側の」安全地帯で行われます。「絶対にやり返してこない。親や先生に相談しない」このような子をターゲットに行われます。そして「いじめ」というのは1対1では行われません。絶対的に有利な人数を集めて、たった1人を攻撃します。自分たちは完全なる安全地帯にいて、そこから石を投げるのです。ときには爆弾を投げることもあります。ものすごく卑怯で悪質なものなのです、いじめというのは。

「いじめられるから学校に行きたくない」これは当たり前の感情です。「やり返したったらええねん!」こういう意見も多くあります。しかし、まだまだ成長途中の子どもですから、やり返すことができない子もたくさんいるんです。そしてそういう子をターゲットに連中は狙ってきます。私は思うんです。こんなことを許したままではいけない。「いじめた側」には、きっちりとしたペナルティを与えるべきだと。他人の心や体、ときには人生をボロボロにしておいて、なにもなかったように過ごせるなんておかしい!こんな甘いことをしているから、大人になっても簡単に「いじめ」が起きてしまうんじゃないのでしょうか。「いじめ」を悪質で卑怯で最も恥ずべきことだという認識がないから、大人になっても平気で「いじめ」をするんじゃないでしょうか。「いじめていた」ことを武勇伝のように自慢して語っている人間がいるのは絶対に間違っています!形だけでの「いじめ対策」なんて必要ありません。もっと根っこの部分を大人が、教育現場が教えていかなければならないのではないでしょうか。

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経験してこなかったことを悔やむのではなく②

2020-06-25 12:27:47 | 不登校
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

前回の続きになります。うまくまとめることができず、長くなってしまい申し訳ございません。

ブランクの話です。

小学校や中学校、あるいは高校と不登校になっている子どもで、それもその期間が長い子どもは勉強の遅れはもちろんですが、コミュニケーション不足というものが大きな壁となります。学校で友達と一緒に遊んだり、クラブ活動をしたり、学校行事をしたりする中で、いろんな経験をします。楽しいことばかりではありません。ときにはケンカをすることもあるでしょうし、友だち関係で悩むこともあるでしょう。ですがその1つ1つが大きな経験なのです。こういった経験を通じて、人との距離感であったり、言っていいことといけないことの判断であったりが自然と身につくのです。傷つけられることもあるし、反対に自分の言動によって傷つけてしまうこともあるかもしれません。でもそこから学べるのです。

ですからこの時期に不登校になり、同年代と接していない子の多くは圧倒的にこの部分を不得意とします。勉強というのは、もちろん簡単なことではありませんが、1人でもすることはできます。極端に言えば、ずっと家にひきこもっていたとしても、いわゆる一流大学に合格することは可能です。しかし、コミュニケーション能力についてはそういうわけにはいきません。よく言われることですが、ネットの社会と現実の社会の人間関係はまったく別物ですから。

不登校・ひきこもりから脱出して、学校に通い始めたり、働き始めたりできても、周りとの人間関係がうまく構築できずに元に戻ってしまうこともあります。

不登校というと勉強の遅ればかりが問題視されますが、そうではないんです。「不登校の子どものためにオンライン授業の充実を!」ではダメなんです。いえ、オンライン授業を充実させることは大切だと思います。私も行っています。ですが、それだけで満足していては行政も学校現場もダメなんです。人との会話、コミュニケーションの場が必要なんです。

オンライン授業でも、私が行っているのは、ただ黒板授業を見てもらうというものではなく、1対1で会話をしながら行っています。勉強を理解してもらうと同時に、会話することの必要性を感じているからです。家族との会話はもちろんですが、家族以外との会話も大切です。そういう意味ではカウンセリングを受けに行くこともいいかと思います。カウンセラーの方と話をするというのは、問題の解決だけでなくコミュニケーションの練習という面でも有効です。

ですが、塾であってもカウンセリングであっても、やはり子どもたちにとっては話す相手は大人・先生なんですよね。相手が大人だから話しやすいということもあるでしょうし、大人だから優しく接してもらえるので、いい練習にはなりますが、あくまでそれは練習の場であって、本番の試合ではありません。学校に行くことができなくても、同年代の子たちと接することができる場所、なんでもいいと思います。もちろん学習塾でもいいですし、他の習い事でも。本当はフリースクールがあれば一番いいとは思いますが。そういった場所にできるだけ行くことができればと思います。

また、不登校・ひきこもりから脱出して、現実社会の厳しさにぶち当たり、心が折れそうになるときもあるでしょう。そのときに、「ああ、自分が不登校になっていたのが原因で社会に溶け込めないんだ。不登校になっていた自分が情けない」などと思わないことです。厳しい言い方ですが、いくら後悔しても不登校・ひきこもりであったという事実は変わりません。そしてなにより後悔なんてする必要はありません(私も自分が「ひきこもり」であったことを後悔していません)。確かに失ったものは大きいと感じているかもしれませんが、絶対にそれを経験したからこそ得たものってあるはずなんです。初めは苦労するかもしれません。ですが、いつかきっとその経験が生きてくるときがやってきます。ただし、それがやってくるのは、いつまでも後悔ばかりしている人間ではなく、前を向いて歩いている人間にだけです。後ろを見ていてはそれに気づけないんです。口で言うのは簡単ですが、かなり勇気が必要なことかもしれません。ですから1人で背負わすのではなく、家族や周りの人たちが応援してあげ、彼らに勇気を与えてあげることが大切なんだと思います。私も1人でも多くの子どもたちに、ほんの少しでもそういう勇気を与えることができればと思っています。

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経験してこなかったことを悔やむのではなく①

2020-06-24 16:00:26 | 不登校
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

コロナウイルスの影響で中止になっていたスポーツも無観客ながら開幕し、私の好きなスペインのサッカーも再開され楽しみが一気に増えました。やっぱりプロの選手はすごいなと感心します。試合ができないだけでなく、練習も十分にはできなかったはずです。いつ始まるのかもわからない中で、モチベーションを維持するのも大変だったでしょう。にもかかわらず、再開されたと同時に高いパフォーマンスを披露してくれ、私たちファンを楽しませてくれます。

ブランクがあるというのは大変しんどいことだと私は自分の経験上よくわかっています。

高校時代。高校入学と同時に勉強することをやめた私は約2年半高校3年生の夏休み明けまで、まともな勉強をしませんでした。夏前の実力テストでは学年で最下位、数学はほぼ毎回完全な白紙答案で、テスト中あまりに暇すぎて、それを見かねた先生によって途中で退席させられるというような状態でした。そこから大学受験をしよう!と勉強を始めましたが、簡単に取り返すことができるほど甘くはなく、結局2浪することになりました。

これはまだマシな例で、きつかったのは私の場合はやはり「ひきこもり」の期間でした。大学卒業後約3年間私はひきこもりました(詳しいことはブログ内の「ひきこもり」の項目か、3ヵ月ほど前に出版された「あたりまえからズレても」という本を読んでください と自然に本の宣伝をしておきます(笑))。ひきこもっていた3年間は外出をしないことはもちろん、家族以外の会話はほとんどなく、完全に社会から隔離された場所で過ごしていました。そんな生活が3年も続くと、他人とどうやって会話すればよいのか、どんな口調や言葉遣いで話せばよいのか、あるいはどんな表情で人と接すればいいのかなど、普通のときには考えもしなかったことで悩むようになります。

そして「ひきこもり」から脱出して塾を始めたとき、この「他人とのコミュニケーション」には本当に困りました。なんでわざわざコミュニケーションが重要なこの仕事をしたんだ?と思われるかもしれませんが、当時の私にはこの道しか選択肢が見えなく、これがダメだったらまたひこもろうという背水の陣で始めたのです。生徒たちに勉強を教えることに慣れるのに約3年、保護者の方々と話をすることに慣れるのに10年(今でも緊張しますが)、自分が考えていた以上にブランクの影響は大きかったです。

最近でも、私は約4年前にこのONE-Sという塾を立ち上げました。それまでは別の場所で塾を経営していました。17年間そこで頑張っていたのですが、建物の老朽化のため、立ち退きを命じられ、場所探しも含めて一から塾を作らなければなりませんでした。それまで無我夢中で塾を経営してきたけれども、この17年間で自分の「理想の塾」というものがぼんやりと出来上がりつつあったので、それを目指そうと思い切ってこのONE-Sという塾を開校しました。開校するまで準備期間として約1年間ありましたが、その間は生徒に勉強を教えることもできませんでしたし、自分で勉強することもありませんでした。開校して有難いことにすぐに何人かの生徒さんが来てくれましたが、驚いたことに何か感覚が違うんです。うまく教えられないのです。もちろん新しい場所での出発となりましたので「頑張らなきゃ!」という気負いはあったでしょうが、それだけでなく「勉強を教える」という感覚が鈍っていたのです。17年間も勉強を教え続けてきたのに、たった1年でこんなに衰えてしまうとは…。今ではようやく元の状態に戻っているとは思いますが(元に戻ってこの程度っていうツッコミは置いといて(笑))、ブランクの怖さを思い知りました。

次回に続きます。

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静止しているように見えるかもしれないけれども

2020-06-18 18:16:08 | 不登校
こんばんは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

先日高校時代の友人に半年ぶりに会ったのですが、「痩せたなー」と言われました。自分では気づいていませんでしたが、帰って体重を量ってみると半年前と比べて5㎏ほど減っていました。確かにウオーキングをまったくしなくなったけれども、コロナの自粛期間中は自宅でスクワットしたり普段より運動してたかもしれません。自粛期間の方が運動量が多いって(笑)

ですが、毎日顔を合わせている家族には「痩せた」なんて声は一言もなかったです。「5kg痩せてん」とこちらから言ったら「そういえば、そんな感じもするなあ」といった具合です。よほど家族は私に関心がないんでしょうか(笑)

まあそんなことはないと思いますが、毎日のように会っているとその変化に気づきにくいというのはあるでしょうね。成長期ということもありますが、卒業した生徒が久しぶりに遊びに来てくれたときなどは、ずいぶんとその変化・成長ぶりに驚きますもんね。

そういう意味では親というのは子どもの成長には気づきにくいのも納得です。親子ってそういうものかもしれず、ふと横に立ったときに「あれっ、いつのまにこんなに背が伸びていたんだろ」とか、普段の会話の中で「こんな難しい言葉使えるようになったんや」「こんな深いことを考えられるようになったんや」などと気づき、子どもの成長を嬉しく感じるものなのでしょうね。

ですが、その子どもの成長や変化に気づかず、しんどくなるケースもあります。不登校の子どもの親御さんはそうなることが多いように思います。その原因の1つは、子どもの不登校という状況がいつまで続くのか不安だ、早く学校に復帰してほしい、あるいは早く目標を見つけて動き出してほしいなどの「もっと変わってほしい!」という思いが強すぎることです。そういう目で毎日子どもを見続けているため、子どもの微妙な変化に気づかないのです。

小学校5年生から4年間不登校で、ひきこもっていた子がいるとします。親としては、子どもの将来が不安になるでしょう。「このまま高校にも進学しなかったらどうなってしまうのだろう」「いったいいつまでこの状態が続くのか」もちろんそのような不安な気持ちが大きくなるのは自然なことですし、子どもに対する愛情が大きいからこそ心配なんですよね。

しかし心配するだけでなく子どもの微妙な変化に気づいてあげ、そして喜んであげることが大切です。上記のように4年間不登校でひきこもっていた子どもが動き出すには相当なエネルギーが必要です。人間の思考の約8割はネガティブなものだという学者もいます。多いですよね。ただ私たちのように毎日仕事をしたり、あるいは学校に行ったりしている人は、仕事のことや勉強や部活、友だち関係や趣味のことなど考えることがありすぎ、日々の生活に追われ、ゆっくりと自分自身のことや自分の将来のことについて考える時間もありません。しかし、ひきこもっている子どもに関しては真逆で、時間がありすぎるのです。この時間がありあまっていることが大きな問題なのですが、彼らは何度も何度も自分の置かれている状況や将来のことを考えます。そのほとんどがネガティブなものになり、ますます不安になり、考えることが怖くなり現実逃避のためにゲームやネットの世界にはまっていくのです。

このようにネガティブな感情で満たされてしまった子どもたちが動き始めるのは大きなエネルギーが必要となるのです。そして大きなエネルギーを使ったとしてもその動いた距離はごくわずかかもしれません。ですがそのごくわずかな動いた距離が大きな1歩となるのです。

「ほとんど会話らしい会話がなかったのに、話しかけてくるようになった」「家から出なかったのに、近くのコンビニに行くようになった」これらは大きな変化です。

「受験しようと思うからちょっと勉強しようかな」「カウンセリング受けてみたいねんけど」もう動き出しました。大丈夫です。もちろんここで喜んで応援してあげるべきなのですが、過度の期待をしてはいけないと思います。私たちも、病気で何日か寝込んでいた場合、急に全力で動き出すとしんどくなりますよね。彼らの場合も同じです。多くの場合、その反動がやってきます。

「勉強したい」と言ったから塾に通い始めたけれども、最近休んでばかりいる。そんなこともありますよ。気持ちは「勉強しよう!」「高校(大学)に進学しよう!」と思っていても、急に動き始めたから体がついてこなかったり、疲れが出てしまうんです。しばらく慣れるまではゆっくり待ってあげましょう。

そして順調に歩き出したら「〇〇大学、△△高校を受験してほしい」という親の願望は、もしあったとしてもいったん捨てるべきだと思います。どうしても子どもが動き始めると、「次はこうしてほしい」という願望がわいてきます。それは当然のことでしょう。ですがこうして歩き出すのにどれくらいのエネルギーが必要だったかを考えると、まずは元気に歩き出してくれていることに満足して、喜んであげましょう。そのうちきっと本人が、「この道に進みたい!」というものを見つけます。もちろん見つけやすいように情報を与えてあげたり、話を聞いてあげたり、実際に学校を見に行ったりするようなサポートは必要だと思いますが。

ひきこもっていた間、ネガティブな感情に押しつぶされ、自分の未来に希望を持てなかった子たちが、勇気とエネルギーを振り絞って再び歩き始めるんです。少しかもしれませんが、ようやく幸せを感じながら自分の人生を歩み始めているんです。それで十分ではないでしょうか。その途中で自らの目標や夢を見つけ、「この学校に進学したい!」と思うことができればさらに嬉しいことですよね。1歩進んで3歩下がっているように見える子もいます。でもそれでも確実に動いているのです。そのうち必ず前に進みます。私が導くのではなく、共に考え悩みながら彼らは自分の力で歩き始めます。彼らの表情がだんだんと明るくなっていき、確実に前に進んでいると実感できたとき最高に嬉しいですね。1人でも多くの子どもたちのこういった表情が見られるように私も彼らと向き合っていきたいと思います。

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