尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

詩人の来歴…

2008年03月29日 23時54分17秒 | ことばの玉手箱
働くことが下手で
しかしとにかく
えらそうである

とてもえらそうである
だからとにかく
教えることが好きである

つまり来歴をたどれば
勤皇に追放された幕府の
ついにとんでもない
儒学者に行き着くのではないか

とにかく皇居が嫌いである
アメリカが嫌いである
中国が好きである

神を信じないことが
リアリズムだと
信じている

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言葉は…

2008年03月29日 23時35分00秒 | ことばの玉手箱
世界に拡げた指である。
方法の指である。
指でないものと
指である己を同時に知る
十本の触手である。

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近藤芳美「聖書が…」

2007年01月18日 23時39分46秒 | ことばの玉手箱
聖書が欲しいとふと思ひたるはずみよりとめどなく泪出でて来にけり
       
                          (近藤芳美)

  こういう詩句に出会うと、現代詩という「すれっからし」の、失ったものの大きさがわかる。「短歌的叙情」「奴隷の韻律」として、戦後まもなく現代詩の一部から批判ののろしが上がったが、今となっては恥ずかしい。
余りに大きすぎるその時代の病について、それが書かれてしまった「詩」の責任ではないことは確かであるが、自分達の失ったものについての自己批評性の無さは、今なお書いている「詩人」の責任である。

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谷川俊太郎 『歌の本』

2006年12月25日 21時45分22秒 | ことばの玉手箱
「歌になった詩と真空管ラジオ・コレクション
詩人が半世紀にわたり書き綴った歌うための詩、単行詩集未収録の66編を自選。秘蔵の1930~50年代の真空管ラジオ・コレクションを添えた贅沢な歌・詩・集」
…アマゾンには出版社 / 著者からの内容紹介として
こう解説がありました。

お金と欲望が神に代わった現代に生きようとすると、
こんな美味しい毒を飲んで、冷たい世間や人間に対して
免疫を得なければならない、ということだと思います。
前衛という死語をまだ使いたがる現代詩というのもが、
同じ時代の変化に自閉という形で対応しているとしても、
これらの谷川詩の底にある諦念(叙情の死の叙情)と比べて、
いかにも幼く未熟なものに思えます。


〈二行と三行のことばの玉手箱…谷川修太郎『歌の本』より〉

3ひく3はゼロなんだ
ああ いい気持ちいい気持ち   (「3たす3と3ひく3」より)


しょっぱい涙を自分でなめて
そんなもんかい 哀しみなんて   (「へえ そうかい」より)


かなしみはふくれる
ふうせんのように
それがわたしのよろこび   (「うたうだけ」より)


謎のようなひとの裏切り
白いよろい戸が閉じられる   (「夏が終わる」より)


ジクソーパズルのひとかけら
過ぎた夏の風景のどこにもはまらない   (「いたずらがき」より)


私はあなたにおいてけぼり
後ろ姿を見ていたら
ついて行く気もなくなった     (「おいてけぼり」より)


人は本当はいつもひとり
でも嘘ついてほしかった
あの時だけ             (「土曜日の朝」より)


風はそっと押してくる
遠い誰かの手のように
明日へとふりむかせて        (「風」より)

  …ではみなさん、谷川さんの美味しい毒で免疫を!(尾崎)









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「空中の火花」 (芥川竜之介『或阿呆の一生』より)

2006年11月25日 22時13分40秒 | ことばの玉手箱
「空中の火花」

彼は人生を見渡しても、何も特に欲しいものはなかった。が、この紫色の火花だけは、凄まじい空中の火花だけは命と取り換えてもつかまえたかった。


             芥川竜之介『或阿呆の一生』よ

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角兵衛(高村光太郎)

2006年11月22日 23時39分57秒 | ことばの玉手箱

不思議な生をつくづくと考へれば
ふと角兵衛が逆立ちをする

  (高村光太郎『道程』の「冬が来る」より)

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