今朝だった
今朝という枕元には
明るく光る
一筋の小道が延びていて
犬だろうか それとも
犬の仮面をつけた
ひょっとしたら怖ろしい
あるいはすごく優しい
小さな獣だろうか
寝ているわたしを
追い越して
振り返り振り返り
四本の脚をペケとペケにして
先をいそいで
行ってしまった
頬に夢の脂をうかべ
しかしわたしは
生活というもののために
起きねばならなかった
今日とは
昨日から来た
あの犬のようなものの
先に駆けていった道を
スタコラ遅れてゆくことだ
ズボンをはき
口の中を雪国のように泡立て
しかしお前は
いつだって遅れているね
毎朝
追い越していく
あの顔がそう言っている
今朝という枕元には
明るく光る
一筋の小道が延びていて
犬だろうか それとも
犬の仮面をつけた
ひょっとしたら怖ろしい
あるいはすごく優しい
小さな獣だろうか
寝ているわたしを
追い越して
振り返り振り返り
四本の脚をペケとペケにして
先をいそいで
行ってしまった
頬に夢の脂をうかべ
しかしわたしは
生活というもののために
起きねばならなかった
今日とは
昨日から来た
あの犬のようなものの
先に駆けていった道を
スタコラ遅れてゆくことだ
ズボンをはき
口の中を雪国のように泡立て
しかしお前は
いつだって遅れているね
毎朝
追い越していく
あの顔がそう言っている
ひとっこひとりいない船
船長は
腕組みをして考える
実は、怯えているので
考えるふりをする
ひとは
必ず沈む船であると
死ぬよりは
幽霊がこわい
幽霊なのに
幽霊は
消えない罪について
考えている
人間ではなく
幽霊だから
とこどき
小さな氷山を発見したように
寂しい警笛を鳴らす
船長は
腕組みをして考える
実は、怯えているので
考えるふりをする
ひとは
必ず沈む船であると
死ぬよりは
幽霊がこわい
幽霊なのに
幽霊は
消えない罪について
考えている
人間ではなく
幽霊だから
とこどき
小さな氷山を発見したように
寂しい警笛を鳴らす