万物は
うめいておりますとも
そりゃ
写真を撮るとわかります
たとえば
茶碗のかけらとか
ちっぽけな石の希望と
明けの明星の絶望と
そりゃ
写真を撮るとわかります
宇宙はますます
広がっておるのです
うめいておりますとも
そりゃ
写真を撮るとわかります
たとえば
茶碗のかけらとか
ちっぽけな石の希望と
明けの明星の絶望と
そりゃ
写真を撮るとわかります
宇宙はますます
広がっておるのです
ブランコ
ことばは さいきん ぼくになりたがっている
あなたは あきたのだ
永遠 というかれに
ほお ほお ほお
ほら
はれ
ひり
ふる
おりゃ
おれ
だれ
わい
わりゃ
あれっ
ぼき
ばき
ぼくっく
ぼくは ずっと ことばにあこがれている
ことばのくせに
あなたはむくち
ぼくの 果てをみつめて ブランコ
ぼくっく
ばき
ぼき
あれっ
わりゃ
わい
だれ
おれ
おりゃ
ふる
はれ
ほら
ほお ほお ほお
水平線 いったりきたり
ほお ほお ほお
かんがえているのではない
それはたいていのばあい
こころのなかで
つぶやいているだけだ
それはふしのない
うただ
いきているひとが
かんがえないかわりに
よるもひるも
しんでいるひとが
かんがえている
かぞえるように
くものなかで みずのなかで
きのなかで
くさをはむ やぎさんのなかで
くるったように かんがえている
ぼくらのために
かんがえてはいけない
いえのなかで といれのなかで
めしをくらう からだのなかで
うまれてしまったのだから
それはたいていのばあい
こころのなかで
つぶやいているだけだ
それはふしのない
うただ
いきているひとが
かんがえないかわりに
よるもひるも
しんでいるひとが
かんがえている
かぞえるように
くものなかで みずのなかで
きのなかで
くさをはむ やぎさんのなかで
くるったように かんがえている
ぼくらのために
かんがえてはいけない
いえのなかで といれのなかで
めしをくらう からだのなかで
うまれてしまったのだから
24時
一日が終わったというのに
ひとりの客が帰らない
わたしとなんとしても
話がしたいらしい
(たぶんお前が気にくわないなどと)
なんども口をもごもごはじめるのだが
そのとき
わたしも口をもごもごさせるので
お互いだまってしまう
25時
もう25時じゃないか…
彼もわたしも
同時にチェッと
舌鼓をうってしまった
彼の眠り始めたのを見たことはない
彼だってわたしの眠り始めたのを見たことはない
26時ごろ
それで二人は同時に眠るのだ
眠ることだけが和解であるように
一日が終わったというのに
ひとりの客が帰らない
わたしとなんとしても
話がしたいらしい
(たぶんお前が気にくわないなどと)
なんども口をもごもごはじめるのだが
そのとき
わたしも口をもごもごさせるので
お互いだまってしまう
25時
もう25時じゃないか…
彼もわたしも
同時にチェッと
舌鼓をうってしまった
彼の眠り始めたのを見たことはない
彼だってわたしの眠り始めたのを見たことはない
26時ごろ
それで二人は同時に眠るのだ
眠ることだけが和解であるように
「回廊Ⅲ」
今日が最後の日だと思って
最後の日ぐらい
まじめに
祈りたまえ
その時
あなたの背中に
笑うものが立つだろう
彼は悪魔ではない
エンジェルだ
ずっとあなたと一緒だった
そうして
あなたが
肩をふるわせて笑っていると
泣くものが背中に立つだろう
彼女もエンジェルだ
ずっとあなたと一緒だった
祈りを笑うこと
祈れないことを泣くこと
なにもかも
われわれは
許されている
ただ 信じることだけが
われわれに
許されていない
今日が最後の日だと思って
最後の日ぐらい
まじめに
祈りたまえ
その時
あなたの背中に
笑うものが立つだろう
彼は悪魔ではない
エンジェルだ
ずっとあなたと一緒だった
そうして
あなたが
肩をふるわせて笑っていると
泣くものが背中に立つだろう
彼女もエンジェルだ
ずっとあなたと一緒だった
祈りを笑うこと
祈れないことを泣くこと
なにもかも
われわれは
許されている
ただ 信じることだけが
われわれに
許されていない
誰でも
コロンブスのように
果てしのない海を
航海しているのである
そして発見しなければならないのだ
死より先に
愛を
コロンブスのように
果てしのない海を
航海しているのである
そして発見しなければならないのだ
死より先に
愛を
地面ばかりを
ながめているわけではない
物心ついたころから
僕は前かがみであった
悔しいわけではない みんなの中で
しかし真昼には瞼をとじることがある
苦しいわけではない
しかし深夜に眼をひらいてみることがある
昨日も今日も
指をさしだしている
明日のほうへ
ぼくの指が
あなたの指に
明日がふれるように
ながめているわけではない
物心ついたころから
僕は前かがみであった
悔しいわけではない みんなの中で
しかし真昼には瞼をとじることがある
苦しいわけではない
しかし深夜に眼をひらいてみることがある
昨日も今日も
指をさしだしている
明日のほうへ
ぼくの指が
あなたの指に
明日がふれるように
わたしの本は
つぎのページをめくると
いつもまっさらや
きみ、青空を見上げたまえ
さらされているやろう?
洗われているやろう?
空の岸辺で
人だれでも
まっさらの刑やで!
ことばは刺青
わたしの明日は
いつもまっさらや
つぎのページをめくると
いつもまっさらや
きみ、青空を見上げたまえ
さらされているやろう?
洗われているやろう?
空の岸辺で
人だれでも
まっさらの刑やで!
ことばは刺青
わたしの明日は
いつもまっさらや
つらつらと
つらねらてていく
ことばのはてに
わたしのありかがみつかることが
あるだろうか
つらつらと
つらねらられていく
そのことばのはじめに
ことばのはじめを
おしえてくれたひとが
わたしにも
いるということは――
たとえ
そのひとのことは
すっかりおもいだせないでいるとしても
どんなになつかしいことであろうか
この手のうえに
かさなる手が
かすかにでも見えたとしたら
そのときこの本は
閉じてよいのだ
つらねらてていく
ことばのはてに
わたしのありかがみつかることが
あるだろうか
つらつらと
つらねらられていく
そのことばのはじめに
ことばのはじめを
おしえてくれたひとが
わたしにも
いるということは――
たとえ
そのひとのことは
すっかりおもいだせないでいるとしても
どんなになつかしいことであろうか
この手のうえに
かさなる手が
かすかにでも見えたとしたら
そのときこの本は
閉じてよいのだ
大詩人は言った
私の前には道がなく私の後に
道ができる、と
僕は歌おう
僕の前にも後ろにも
道どころか
足跡というものがない
あるのは
六つの水の窪み
羽根より軽い僕と
地球のつくる
宇宙のたわみ
前ではない
後ろではない
この窪みである
そしてツイーと
動けば
道ではない
足跡ではない
波紋である
僕は水の音譜
僕たちは水の楽譜
私の前には道がなく私の後に
道ができる、と
僕は歌おう
僕の前にも後ろにも
道どころか
足跡というものがない
あるのは
六つの水の窪み
羽根より軽い僕と
地球のつくる
宇宙のたわみ
前ではない
後ろではない
この窪みである
そしてツイーと
動けば
道ではない
足跡ではない
波紋である
僕は水の音譜
僕たちは水の楽譜
要するにだ
生まれると
赤ん坊の額の上に
ひとつあがる
星なんだなあ
ついに星なんだなあ
人間が人間であることに
猿が猿であること以上の
なんの問題があろうか
人間に星があることだけが
進化の
最終の問題だ
君の星、僕の星、あいつの星
あの子の星、
王様の星、乞食の星
地球の裏で今くしゃみした男の星
千年前、人前でおならして赤面の女の星
そうさ一人にひとつの
星なんだなあ
頭の斜め上の
見えない星
革命の星
希望の星
絶望の星
虚無の星
しかし暗黒のなかでますますキラキラ
してくる星なんだ
そのために生きて
そのためなら死んでもいい
テロとか暗殺とか
人殺しさえいとわない
エゴイストの
しかし人類愛に満ちた頭の上の
見えない星なんだなあ
友よ、狂うなよ!
愛さえあれば
狂うもんか
しかし、しかし
ついに星なんだなあ
クラクラしてくるぞ
暗黒のなかで
生まれると
赤ん坊の額の上に
ひとつあがる
星なんだなあ
ついに星なんだなあ
人間が人間であることに
猿が猿であること以上の
なんの問題があろうか
人間に星があることだけが
進化の
最終の問題だ
君の星、僕の星、あいつの星
あの子の星、
王様の星、乞食の星
地球の裏で今くしゃみした男の星
千年前、人前でおならして赤面の女の星
そうさ一人にひとつの
星なんだなあ
頭の斜め上の
見えない星
革命の星
希望の星
絶望の星
虚無の星
しかし暗黒のなかでますますキラキラ
してくる星なんだ
そのために生きて
そのためなら死んでもいい
テロとか暗殺とか
人殺しさえいとわない
エゴイストの
しかし人類愛に満ちた頭の上の
見えない星なんだなあ
友よ、狂うなよ!
愛さえあれば
狂うもんか
しかし、しかし
ついに星なんだなあ
クラクラしてくるぞ
暗黒のなかで