「模型飛行機」
自分というものの一生が
少年のあの日から
かたくなに
夢を見続けていると
日曜日にわかる
閉店後の
ウインドウの向こうに
木の模型飛行機を見つけた
赤い夢
黄色い夢
青い夢
それぞれに色のない影
影もまた夢を見ている
夢を見る意志である
少年の許されてふいに
いなくなる日まで
自分というものの一生が
少年のあの日から
かたくなに
夢を見続けていると
日曜日にわかる
閉店後の
ウインドウの向こうに
木の模型飛行機を見つけた
赤い夢
黄色い夢
青い夢
それぞれに色のない影
影もまた夢を見ている
夢を見る意志である
少年の許されてふいに
いなくなる日まで
毎年はじめて見る
タンポポというものがある
しかし人がはじめて見るということが
どうして可能なのだろうか?
思い出の野のなかに
タンポポが咲いている
思い出がすくっと立って
人を見つめている
タンポポというものがある
しかし人がはじめて見るということが
どうして可能なのだろうか?
思い出の野のなかに
タンポポが咲いている
思い出がすくっと立って
人を見つめている
薔薇はいつも
滅びの手前
無人の寺である
もはや
祈りに訪れるものはいない
風が巻きあげる
読経だけが聞こえる
呪文に
意味がなかったのではない
意味がなくなったのである
それは人間の
思い出のようである
滅びの手前
無人の寺である
もはや
祈りに訪れるものはいない
風が巻きあげる
読経だけが聞こえる
呪文に
意味がなかったのではない
意味がなくなったのである
それは人間の
思い出のようである
どこから来たのだろうか
指の数を
悲しくなるまで数えてみる
十本
十本の指を
ヒトデのように泳がせてみる
それは海に落ちた
星である
わたしの目と
わたしの指の距離がさびしい
あたしとわたしの間に
距離がある
それは名前のない星と
名前のない星の距離である
宇宙人はさみしい
前でも後ろでもなく
東でも西でもなく
いつも見上げてしまう
仲間からはぐれて
落ちてきたところを
指の数を
悲しくなるまで数えてみる
十本
十本の指を
ヒトデのように泳がせてみる
それは海に落ちた
星である
わたしの目と
わたしの指の距離がさびしい
あたしとわたしの間に
距離がある
それは名前のない星と
名前のない星の距離である
宇宙人はさみしい
前でも後ろでもなく
東でも西でもなく
いつも見上げてしまう
仲間からはぐれて
落ちてきたところを
大阪は水の都と言われるが、その訳は深い。
上町台地と今呼ばれるところは、実は昔海に突き出た半島だったそうだ。
新型インフルエンザが巷を騒がしている折、昔、海と陸の境であったところに神農さんのの寅を置き、モデルになっていただいた。すると偶然、ご夫婦らしき二人が互いに労り合いながら降りてこられた。
その神々しかったこと!
上町台地と今呼ばれるところは、実は昔海に突き出た半島だったそうだ。
新型インフルエンザが巷を騒がしている折、昔、海と陸の境であったところに神農さんのの寅を置き、モデルになっていただいた。すると偶然、ご夫婦らしき二人が互いに労り合いながら降りてこられた。
その神々しかったこと!
取り付かれたのではない
むしろ延命のために
言葉に取り付いてやったのだ
すると言葉がお経になった
体が耳なし芳一のように
消えてしまった
俺って誰だい?
むしろ延命のために
言葉に取り付いてやったのだ
すると言葉がお経になった
体が耳なし芳一のように
消えてしまった
俺って誰だい?
自分は時計である
汗をかくような夢から覚めたとき
闇の中でふいに
自分が時計であることに気がついたのである
食べたら
しゃべり続け
歩き続け
黙ったら屁をして
糞をして
肺とか胃とか心臓とか
静まりかえった海のような
頼りない音のしている時計である
一度とまると
真っ暗け
とまりっきりの
悲しい時計である
汗をかくような夢から覚めたとき
闇の中でふいに
自分が時計であることに気がついたのである
食べたら
しゃべり続け
歩き続け
黙ったら屁をして
糞をして
肺とか胃とか心臓とか
静まりかえった海のような
頼りない音のしている時計である
一度とまると
真っ暗け
とまりっきりの
悲しい時計である