扉のない玄関である
光に透いて埃が舞っている
神々は留守である
首輪をした犬がいる
骨が一本ころがっている
首を掻いている
ときどき
むだ吠えをする
首を振るが
何を思いだしたのか
わからない
光に透いて埃が舞っている
神々は留守である
首輪をした犬がいる
骨が一本ころがっている
首を掻いている
ときどき
むだ吠えをする
首を振るが
何を思いだしたのか
わからない
生まれたってことは
どういうことなんだろう
まだ生まれていないひとには
わからない
生まれてないんだから
死んだひとにもわからない
死んじゃったんだから
生きているぼくらはもっとわからない
最中だから
どういうことなんだろう
まだ生まれていないひとには
わからない
生まれてないんだから
死んだひとにもわからない
死んじゃったんだから
生きているぼくらはもっとわからない
最中だから
スルメが海を
これは光と影と
そのスルメだね
つまり
時のスルメだな
烏賊ではない
美味しいスルメだよ
右端の青いにじみが
きれいだね
なにか切ないね
女の子の足元とか
つまりね
思いだしているんだろ
スルメが海を
これは光と影と
そのスルメだね
つまり
時のスルメだな
烏賊ではない
美味しいスルメだよ
右端の青いにじみが
きれいだね
なにか切ないね
女の子の足元とか
つまりね
思いだしているんだろ
スルメが海を
谷川君
君のおしゃべりの
理由を教えてあげよう
君にとっては
虚無は
救いでもあるはずだ
それは所詮言葉の生む言葉だから
問題は
虚無に
つまり言葉の盤上に置かれた
君という駒の
憂鬱である
チェックメイト!」
君は知らねばならない
憂鬱は
母の残した
呪いであることを
虚無は
憂鬱の解毒剤である
端的にそれは
何もないことではない
母の不在である
君のおしゃべりは
おしゃぶりである
あと百年たったら
仏のひとも
千年たったら
永遠に耐えかねて
悪魔だろう
神は
誰であることが
できるのだろう
宇宙の身体で
永遠に耐えている
あなたは
仏のひとも
千年たったら
永遠に耐えかねて
悪魔だろう
神は
誰であることが
できるのだろう
宇宙の身体で
永遠に耐えている
あなたは
星も花も雨も
よく見ると
目のかたちだろ
星になり花になり雨になり
神でさえ
待つものがある
目はさびしい
神の目でさえ
さびしい
よく見ると
目のかたちだろ
星になり花になり雨になり
神でさえ
待つものがある
目はさびしい
神の目でさえ
さびしい