月と星の下には
屋根がある
屋根の下には
男と女がいて
時々ごそごそしたりする
男と女の下には
地球がいる
地球はときどき
ぽかり
浮かんでいる
月や星のことを思うと
自分が
重たくなる
自分のしていることが
こそばくなる
それでも
くしゃみを
こらえたりする
上の二人を
驚かさないために
屋根がある
屋根の下には
男と女がいて
時々ごそごそしたりする
男と女の下には
地球がいる
地球はときどき
ぽかり
浮かんでいる
月や星のことを思うと
自分が
重たくなる
自分のしていることが
こそばくなる
それでも
くしゃみを
こらえたりする
上の二人を
驚かさないために
「空の駅」
空から地上へ
投げ込まれた独楽のように
突然
荒ぶることがある
やがて
シンと静まることがある
心は
僕らのさびしい皮膚が抱える
もうひとつの自然であろう
耕すにしろ
蒔くにしろ
植えるにしろ
刈り入れるにしろ
だから
その時を
待たなければならない
なにも
待たないものを
心と
呼んではいけない
あるときは雨を
あるときは光を
あるときは風を
はたまた嵐さえも
ずっとずっと
あなたを
心は
昨日から明日へと
果てしなくつづく大空の
いつも
今日の駅
空から地上へ
投げ込まれた独楽のように
突然
荒ぶることがある
やがて
シンと静まることがある
心は
僕らのさびしい皮膚が抱える
もうひとつの自然であろう
耕すにしろ
蒔くにしろ
植えるにしろ
刈り入れるにしろ
だから
その時を
待たなければならない
なにも
待たないものを
心と
呼んではいけない
あるときは雨を
あるときは光を
あるときは風を
はたまた嵐さえも
ずっとずっと
あなたを
心は
昨日から明日へと
果てしなくつづく大空の
いつも
今日の駅
蒼い馬である
わたしは蒼い馬の夢を見る
蒼い馬は何も言わない
鳴きもしない
歩いている
それだけだ
蒼い馬である
わたしは蒼い馬の夢を見る
わたしも黙っている
微笑みもしない
見ている
それだけだ
それだけで
わかることがある
この世で
人間だけだ
間違うことが
できるのは
蒼い馬である
わたしは蒼い馬の夢を見る
蒼い馬は何も言わない
鳴きもしない
歩いている
それだけだ
蒼い馬である
わたしは蒼い馬の夢を見る
わたしも黙っている
微笑みもしない
見ている
それだけだ
それだけで
わかることがある
この世で
人間だけだ
間違うことが
できるのは
蒼い馬である
「時の栞」
おはようと
行ってらっしゃい
ただ今と
お帰りなさい
おやすみなさいと
おやすみなさい
ゆっくり運ばれてゆく
今日から明日へ
秋から冬へ
時の神様
栞を挟み
ご本を閉じた
おはようと
行ってらっしゃい
ただ今と
お帰りなさい
おやすみなさいと
おやすみなさい
ゆっくり運ばれてゆく
今日から明日へ
秋から冬へ
時の神様
栞を挟み
ご本を閉じた
大人になったら
わたしは わたしを
泣いたことがない
わたしは わたしを追うが
わたしは わたしに追いつけない
むしろ わたしは彼である
コオロギが 鳴くように
わたしは 彼を泣くことがある
わたしと わたしをすり合わせ
わたしは わたしを
泣いたことがない
わたしは わたしを追うが
わたしは わたしに追いつけない
むしろ わたしは彼である
コオロギが 鳴くように
わたしは 彼を泣くことがある
わたしと わたしをすり合わせ
大人は
傷ついた子供である
つまり
人間は傷痕である
花のように咲くことがある
鳥のように歌うことがある
乾いているので
もう傷つくことはない
傷ついた子供である
つまり
人間は傷痕である
花のように咲くことがある
鳥のように歌うことがある
乾いているので
もう傷つくことはない