尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

夢砂漠

2016年07月02日 02時31分32秒 | 2016.4より新作
夢を見た後の、
あるいはその最中の、比類のない寂しさはどこからくるのだろう。

ことばというラクダに揺られて今夜も砂漠をゆく。
夢から覚めて、月を観たといってはならない。
あなたは、ことばのラクダに乗って月ということばを見上げたのだ。

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創世記

2016年05月21日 01時22分40秒 | 2016.4より新作
創世記



風をはらむ鳥に聞きたい
海を巻き上げる嵐にも聞きたい
海に落ちていく太陽にも聞きたい

そもそも
始めがあるとはどういうことなんだ
ついに
終わりがあるとはどういうことなんだ

始めと終わりに挟まれて
人だけがその答えを知らされていないのではないか
何故、人だけが自分をその答えとしなければないのか

笑う鳥よ
怒れる嵐よ
黙り込む太陽よ
神の痕跡たちよ


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雨と男

2016年04月05日 09時25分03秒 | 2016.4より新作

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なまこの女

2016年04月01日 14時11分28秒 | 2016.4より新作
「ナマコの女」
     
昨日のことだ

朝市のブリキのバケツの中に
彼女はいた
これは命の原型だと感動
いわゆるナマコの女であった

震える指で万札を数え
それでも盗人のごとく
あさましい心持ちで家に連れ帰ると
さすがにナマコ女である
いきなりマリ状になって
僕に跳びかかり
胸やら尻に張り付いて
吸ったりして噛んだりもして
伸び縮みを繰り返し
黄緑色にも赤紫色にも発光した

α・β・γ
あらゆる角度をさらし
曼荼羅教に万華鏡
そのど真ん中、古代文様
バラモン式とか縄文式とか弥生式!
なにやら嬌声を発してはオートマチック
オートマチックに昂ぶり
その軟体を己自ら引きちぎり引きちぎりし
こねまわしもし己に指を入れては裏返しにもし

日が暮れて遠雷が光り
部屋が青白に浮かんだとき ナマコの女は
バタリ
木彫のような僕からはがれてしまうと
落ちた床から見上げて
そろそろ帰らねば…
虫みたいに悲しい声だった

今さらだけど
どこから来たの?

遠くからです
うんと遠くからです

十億光年くらい?

いいえもっと遠くから
あなたの忘れた昨日からです 
えらそうにしないあなたが好きでした
これはほんとです

穴の目から
ポロポロ泣いた

それからナマコの女は
雨に叩かれ信号を照り返す深夜の国道を
ずりずり這って帰っていった
もちろん十億光年の峠を越えて
昨日へ

昨日ほど遠い国はない

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「運命」

2016年03月31日 16時34分04秒 | 2016.4より新作

「運命」


運命を奏でるのに
オーケストラはいらない

お店の野菜のように
陽だまりになかよく
ならんでいること

じゃがいもともとキュウリ
陽だまりに
うつらうつら

お客の手が伸びてきたら
これって運命ねって





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めるへん

2016年03月31日 10時10分18秒 | 2016.4より新作

日ごと
たとえばまばゆい
スクランブルの交差点で
見つかるわけない
捜し物
おとひめ

夜ごと
たとえば冷えた
夢の中の電話ボックスで
見つかるわけない
捜し物
たろう










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「神々の犬、そして、待てと」

2016年03月30日 16時08分51秒 | 2016.4より新作

埃の舞う
明るい玄関
わたしは犬ではあるが
神々の留守を預かっている

彼はおっしゃったのである
人を信じるよりは
神を信じる方が
はるかに容易だろうと
人とともに
そして待て、と
千年

人の気配に鼻を鳴らし
首をかきながら
祈りの言葉はとうに失われたけれど
かわりに
無駄吠えなどを楽しみながら
そして待て、と
万年

何を待っていたのか
忘れたころ
わたしは
寄ってくる
人々に言った
そして待て、と

百万年

かつて
私は神の犬であったが
いまは犬の神である

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しかめっつら

2016年03月30日 15時58分07秒 | 2016.4より新作


詩と言葉は
ほんとうは仲がわるい

へたな詩のなかでは
言葉は上機嫌

よい詩では
しかめっ面

ほんとうの詩はことばの
墓場

詩集は
詩人の墓場

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小さなわたし

2016年03月30日 15時14分51秒 | 2016.4より新作
「小さなわたし」


ゆっくり
やさしく閉じるとき
上目蓋と下目蓋の
はさむもの
ゆっくり
やさしく閉じるとき
上唇と下唇の
はさむもの
それは
とても小さなわたし

目蓋と唇を
ぱっと開くとき
シャボン玉のように
空に破裂してゆくもの
それは
生まれなかった
とても小さなわたし

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立ちつくす

2016年03月30日 14時17分49秒 | 2016.4より新作
時間はひとに言われてきたように
川のように流れているものだろうか
そこに立ちつくしているもののことではないか
川の中につまり歴史の中に

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2016年03月30日 13時51分38秒 | 2016.4より新作
義理の兄のお骨がきた。
妹にあたる家内が
なれないお経をあげた。
わるさの猫も妙に神妙にきいていた。
へたくそな般若心経が終わったら
部屋のなかが妙に明るくなった。

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惑星直列

2016年03月30日 01時04分55秒 | 2016.4より新作
はじめのはじめ

その一撃から
約束されていた
惑星たちの直列する瞬間
その悲しみは
感じうるものではあるが
ひとのものではい

未来のひとよ
神ではないおだから
空しいというな
顎をあげてはいと答えよ
すべての始まりの
あの一撃を
思い出すために


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新作の詩と写真をこれからアップしていきます。

2016年03月29日 14時09分24秒 | 2016.4より新作

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