尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

落ちる

2005年11月30日 07時59分03秒 | 詩の習作
一枚の木の葉を
光に透かしてみると
一本の木が
地図のように描かれている
そこから彼女は旅だったのだ

私の胸を透かしてみると
一本の木が
墨絵のように描かれている
そこから歩き始めたのだろうか
森を抜け草原へ
私という猿は

毎夜
夢の木から
何枚かの木の葉と共に
落ちる猿がいる
脚をビクンとさせて
目が覚める

毎朝
目を擦って
アスファルトの上を
歩き始める
猿がいる

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2005年11月30日 00時12分30秒 | ライトバース集
 「!」 


通勤バスを待つ列
朝日を受けて
植物のように
揺らめいている

めいめいの頭頂から
マンガの吹き出しのような
空白がさかんに
吹き出しては消えている

バスが見えると


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いなくなってしまった

2005年11月29日 22時38分58秒 | 詩の習作


物語は
必ず終わる

いろいろあったけれど
どこへも
いけなかったと
あなたは
椅子から立ち上がる

そして
みんないなくなってしまった

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限りなく

2005年11月29日 21時44分15秒 | 詩の習作

限りなく
さようなら
さようなら
木の葉ふる音

別れの言の葉
いちまいの
時さへ与えられず
去っていった人よ
今夜は二人のために
積もることのない
木の葉が降っていますよ

限りなく
木の葉ふる音
さようなら
さようなら


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水と火と

2005年11月29日 15時51分11秒 | 詩の習作
 「水と火と」

霧がまだ世界を覆っていたころ
僕らの足先は木で
土に突き刺さっていた
他は獣だったから
僕は君をこねながら
皮膚から止めどもなく
溢れてくるものをみて言った
あっ、水だ
君は僕を叩きながら
星のように飛び散るものをみて言った
あっ、火だ

そして脚が出来き
歩き始めたとき
お互い振り向いて言ったのだ
あっ、空だ

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防波堤

2005年11月29日 15時24分58秒 | 詩の習作
防波堤が
くやしくって
海を一滴二滴
もらしました

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笑うんか?

2005年11月29日 15時18分16秒 | 自選詩集
 「笑うんか?」

冬の空のような用事のなさに
君だって電話したことがあるだろう
用事のない自分の携帯番号に

そんな自分が
出たらどうするんだ
笑うんか?
キスするんか?
泣いてしまうんか?
コメント (3)
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日光、月光

2005年11月29日 15時08分41秒 | 詩の習作
「日光、月光」

わたしは
耳のある川
背泳ぎして
楽しんでいます
日光、月光


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夜の谷

2005年11月29日 15時04分17秒 | 詩の習作
 「夜の谷」


毎夜
自分に似た
男の亡骸を
みぞおちあたりの
谷を開いて
しまい込みます
いつか
谷が埋まって
たった一人の
動かぬ男になるのだろう

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瀬戸物

2005年11月28日 09時04分44秒 | 詩の習作
天気の良いほど
暗いのです
わたしという形の
瀬戸物の内側
コメント (1)
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虹の消えたあとで  

2005年11月28日 09時03分10秒 | 詩の習作
かすかには美しかったのだ
あの虹も僕らも

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それから

2005年11月28日 08時57分56秒 | 詩の習作
裏切りで終わった
哀しい物語が言う
私を捨ててください

それから
歩きはじめる

いわれを知らない
哀しい気持ちだけが
歩いていく


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遠近法

2005年11月28日 08時40分42秒 | 詩の習作
日々、見る度に
背中を向けて
鏡の奥へと
遠ざかるものがいる

父と子と
言って良い
あるいは
母と子と
言って良い

三人にはならない

  (新作)

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宴会

2005年11月28日 08時38分00秒 | 詩の習作

楽しくしゃべっていると
仲間はずれの子供のようなものが
つーと近寄ってきて
となりに座る
人なつこいのに
けして口をひらかない

かなしげである

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願い

2005年11月28日 08時23分51秒 | 詩の習作
途方もない願い
出来のよい詩を書くよりも
そこに見えている詩になりたい
コメント (1)
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