尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

海星(ヒトデ)

2009年03月31日 22時54分50秒 | 詩の習作
流れ星が
海に落ちたら
ヒトデになるらしい

自分だけは死なないと
確信していた日々
思ってもいない人が
星のように
近づくことがあった
二人でいると
僕らは星座なのだと確信できた
その人は
また何かに惹かれた
星のように
遠ざかってしまった

星よりも
浜辺に打ち上げられた
ヒトデのほうが
寂しいと思う



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スペードのエース

2009年03月30日 00時09分42秒 | フォトポエム
鏡の向こうへ
消えていったものが
います

しかられたように
空をみあげることは
ありませんか

空を鏡だと思った
ことはありませんか

ガラスにぼんやり
映っている自分を
過ぎて
もっと遠くを
見ていることは
ありませんか

待っているとき
だれを待っているか
忘れてしまった
ことはありませんか

自分が
この世界の
たった一枚の
鏡だと
思たことはありませんか

自分が
ゲームの最後
ぴしりと
テーブルに置かれ
まぶしい世界を見あげている
スペードのエースだと

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雑草

2009年03月29日 22時51分45秒 | 詩の習作
風が止むと
ホントハ
シンデモイイノダケド
アナタノタメニ
イキテヤッテルンダ
…ということを
ずっと言ってきたような気がする
ふたたび風が吹き始めると
イキテヤッテルンダ、と
ずっと言われてきたような気がする

だれかを踏みつけてきたような
気がする
だれかに踏みつけられてきたような
気がする

詩はつまらない
しかしつまらない詩が
ほんとうだ
他はみな嘘だ
美しい花の
花の美しさはないなどと
いう小林秀雄とか
西脇順三郎とか
みな頭の良い嘘つきだ

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2009年03月29日 22時18分27秒 | 尾崎まことの「写真館」
3/28(土)に撮影。先日よりは咲いています。
晴れていたので、背景の空を映しているビルの窓の青がきれいです。
バビルは会社近くのタカスギビルです。
どこかに出向いて、本格的に桜を撮りたくなってきました。

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なぜなんだろう

2009年03月28日 01時38分00秒 | 詩の習作
書けば書くほど
自分を偽っていると感じてしまうのは
なぜなんだろう
話せば話すほど
友より自分が貧しく感じてしまうのは
なせなんだろう
会えば会うほど
あなたが遠ざかっていってしまったのは
なせなんだろう
生きれば生きるほど
ほとんど忘れることばかりなのに
恥ずかしい記憶ばかりが
残ってしまい
ある日
始祖鳥の卵がかえったように
金切り声をあげてしまうのは
なぜなんだろう

しかし
…だめだだめだと思いながら
それでも
オタマジャクシになったり
魚になったり
トカゲになったり
お猿になって
ここまで歩いて来れたわけを
なぜなんだろうと思わないで
僕が僕だと
気がつかないうちから知っていたのは
なぜなんだろう
この世に
だめなものなんてないと

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赤い法則

2009年03月28日 01時24分10秒 | 尾崎まことの「写真館」



確かに
ここでは
雨にも濡れないさ
しかし
君には
赤い宇宙の
赤い法則には
従ってもらわねば
たとえ君が
青くてもだよ

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2009年03月27日 00時15分05秒 | 尾崎まことの「写真館」
曇り空で、かえって良かったのかな?
肌寒く、一挙に満開とはいかなかったようです。

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オルフェウス

2009年03月25日 23時53分43秒 | 詩の習作
夢を見た
何十年かぶりに
ひとを愛した夢を見た

夢から覚めると
愛したという記憶の他には
この国に
何も連れて帰れなかった
もちろん
その人の髪の毛一本も

いつもの鏡の中で
歯磨きを泡立てながら
歯ブラシを揺すり続けている自分を見ていた
どうして永遠に揺すり続けないのか
つまり狂ってしまわないか
不思議だった

鏡の向こうに
昔、愛であったような切れ端を残して
背と背を向けて
星と星のように分かれていった
僕と僕は

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三角関係

2009年03月24日 01時04分53秒 | 詩の習作
鏡というものが
ガラスでできた何ものかではなく
「誰か」だとわかったら
確実に僕らは狂うのだ

それにしても
鏡は
自分について世界について
教えてくれてきたのである
問題は
自分について世界について
たとえば、世界のうちで一番美しい女だれ?
と聞いてもよいのだが
鏡よ、お前はだれ?
という問いは禁じられている
ことである

鏡の前に自分が立つと
自分の他にかならず
鏡と自分の横に立つものがいる
鏡と私はいつも三角関係である

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抒情について

2009年03月24日 00時57分18秒 | 哲学と詩学の栞
近代詩に現象した、「抒情」の表層は、成人した息子の、故郷に残してきた母に対する恋しさである。
が、抒情のその深層は、幼い息子(詩人)にかけた母の呪いである。

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自分探し

2009年03月23日 01時23分37秒 | フォトポエム
どこに隠れたのかと思ったら
こんなところにいたんだね
しかし君
どうしてしまったんだ
とても縮こまって
おまけに歪んでるよ

何があったんだ?
僕の魂

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笑う虫

2009年03月22日 21時08分01秒 | 詩の習作
星がきらめく夜は
お空が鏡で
鏡を見あげると
誰だってひとりぼっちです

あたし
どうしてこんなに
美しいんでしょう
と泣きながらだよ
蝶はお星様に聞いたんだって

涙っていやだね

そのとき
別の野原では
あたし
どうしてこんなに
醜いんでしょうって
蛾がお星様に聞いたんだって
けらけら笑いながらね

笑うっていいね

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2009年03月22日 20時59分49秒 | 詩の習作
よってたかって
もてはやされたとき
それは嘘に生きるんだよ
うち捨てられたとき
それはやっと
本物にもどるんだよ
花も人も

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石川啄木「一握の砂」

2009年03月22日 01時02分12秒 | 読書記録
浮遊する逃避のことばたち=現代詩もびっくり!
ビビッドな三行詩として読みました。

文庫版ですが、初版本の体裁である「四首見ひらき」で読むことが出来ます。
ひとつひとつの歌はもちろんそれぞれ自立した傑作ですが、啄木が一気読み切りを意図とした三行詩の「詩集」として読むと、さらに圧倒されてしまうものがあります。
では、そのなかから、僕の記憶に残ったものを書き出してみますので、
あとはぜひ本屋さんで買って読んでください。


かなしさは
飽くなき利己(りこ)の一念を
持てあましたる男にありけり

手も足も
室(へや)いっぱいに投げ出して
やがて静かに起きかへるかな

非凡なる人のごとくにふるまへる
後(のち)のさびしさは
何にかたぐへむ

箸(はし)止めてふつと思ひぬ
やうやくに
世のならはしに慣れにけるかな

何やらむ
穏(おだや)かならぬ目付して
鶴嘴(つるはし)を打つ群を見てゐる

一度でも我に頭を下げさせし
人みな死ねと
いのりてしこと

大いなる水晶の珠を
ひとつ欲し
それにむかひて物を思はむ

人間のつかはぬ言葉
ひょっとして
われのみ知れるごとく思ふ日

死にたくてならぬ時あり
はばかりに人目を避けて
怖き顔する

何かひとつ不思議を示し
人みなおどろくひまに
消えむと思ふ

人といふ人のこころに
一人づつ囚人(しゅうじん)がゐて
うめくかなしさ

わが抱く思想はすべて
金なきに因(いん)するごとし
秋の風吹く

不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心

宗次郎(そうじろ)に
おかねが泣きて口説くど)き居(を)り
大根の花白きゆふぐれ

力なく病みし頃より
口すこし開(あ)きて眠るが
癖となりにき

松の風夜昼(よひる)ひびきぬ
人訪(と)はぬ山の祠(ほこら)の
石馬の耳に

手袋を脱ぐ手ふと休(や)む
何やらむ
こころかすめし思ひ出のあり

新しきサラドの皿の
酢のかをり
こころに沁みてかなしき夕べ

やや長きキスを交して別れ来し
深夜の街の
遠き火事かな

水のごと
身体(からだ)をひたすかなしみに
葱(ねぎ)の香(か)などのまじれる夕(ゆふべ)

底知れぬ謎に向ひてあるごとし
死児のひたひに
またも手をやる

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青猫・黒猫・旅の猫・白い猫…

2009年03月21日 22時10分11秒 | 詩の習作
青猫・黒猫・旅の猫・白い猫…

みんな
別れてきたんだよ
笑ってる
トンボのような
ことばたち
踊ってる
蝶のような
ことばたち
待ってる
花のような
ことばたち

さようなら
ことばたち
さようなら
消えていく
雪のような
ことばたち
さようなら
記憶のような
ことばたち

わたしのような
ことばたち
あなたのような
ことばたち
世界のような
ことばたち
さようなら
二度と会えない
ことばたち


青猫・黒猫・旅の猫・白い猫…



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