安中市にある「リベルタ」は精神障害者授産施設として二年前にスタートした。そこでは遠赤外線による、しっとりとしたパンができる溶岩窯がある。ここでスタッフと通所者で毎日パンをつくり、市役所や郵便局、病院などで販売している。リベルタに定期的に購入に来る愛用者も多いという。他に内職のような仕事を地味にこなしている通所者を含めて利用者は二十人、社会と病院の間で人間らしさと自立をめざしてこの施設はつくられたと思う。
この施設の開設者は、安中市中宿にある「桐の木クリニック」院長、半田文穂先生だ。桐の木クリニックのスタッフは、全員私服で、白衣は着ない。名札も付けていない。建物はペンションのようで、明るく暖かい。入院設備はない。毎日毎日、クリニックに来る人たちは待合室にあふれている。半田先生は東大農学部、群大医学部を経てドイツで学んだ。先生に出会った十数年前、先生の翻訳したイタリアの精神科医バザーリアの「自由こそ治療だ」という本を見た。混沌としたこの時代、先生はハードスケジュールの中で、夜間の看護学校の講師をこなしながら、きっと命尽きるまで一人ひとりの縁のあった人間と心を込めて向き合ってゆくのだろうと思う。最近の先生は、年を重ねるごとにますます心身ともに健康的で輝いて見える。
(坂口せつこ)
(高崎市民新聞 2005年10月13日)
この施設の開設者は、安中市中宿にある「桐の木クリニック」院長、半田文穂先生だ。桐の木クリニックのスタッフは、全員私服で、白衣は着ない。名札も付けていない。建物はペンションのようで、明るく暖かい。入院設備はない。毎日毎日、クリニックに来る人たちは待合室にあふれている。半田先生は東大農学部、群大医学部を経てドイツで学んだ。先生に出会った十数年前、先生の翻訳したイタリアの精神科医バザーリアの「自由こそ治療だ」という本を見た。混沌としたこの時代、先生はハードスケジュールの中で、夜間の看護学校の講師をこなしながら、きっと命尽きるまで一人ひとりの縁のあった人間と心を込めて向き合ってゆくのだろうと思う。最近の先生は、年を重ねるごとにますます心身ともに健康的で輝いて見える。
(坂口せつこ)
(高崎市民新聞 2005年10月13日)