写真:ピアナン春蘭『紅牡丹』
これは台湾産のピアナン春蘭と言う種類の蘭です。
通常は薄緑色の花弁にやや濃い緑等の筋をのせる花なのですが、たまに桃色等に色づいて咲く花も有るのです。
この『紅牡丹』はその中でも濃い色で咲いてくれるので選抜された品種です。
実は支那春蘭も日本春蘭も、春蘭(Cymbidium goeringii)と言えば通常は1茎に1花のものを指すのですが、このピアナン春蘭(Cymbidium tortisepalum)だけは1茎に2・3花がつくのですがピアナン春蘭と呼んで、春蘭趣味者の中で流通していたのでした。
しかし最近ではそれを嫌ってか、或いは台湾産の蘭を格下に見てかは判りませんが、春蘭の世界から外して単にピアナン蘭と呼ぶことが多くなってきているようです。
まあそんな事は別にして、それぞれの特色を出して咲いてくれた花を愛でるのが本来の在り方なのでしょう。
確かに台湾産の蘭は価格が安いので商人や大棚と言われる方々からは目もくれられなくなって居るようですが、私にとっては日本春蘭や支那春蘭が高くて買えなかった時代に楽しませてくれた蘭達なのです。
そんな思い入れも有って未だに台湾産の蘭も4・5鉢育てていると言う訳です。(*^^)v
写真:日本春蘭花物 朱金色『富士の夕映』
支那春蘭は一般に雑色が混ざって咲き、花型もあまり良くないのが普通なのです。
そこで支那春蘭は花弁の緑が澄んでいるものを尊び、その為に色花と言う概念が殆ど無くて梅弁・荷花弁・水仙弁等と花の形を選別の基準としたのでした。
ところで、日本の春蘭は支那春蘭で言う水仙弁の花型にほぼ近く、もともと花型は悪くないために花の形からの選別は進まず花の色を元に選別が進んだのでした。
実は一般の春蘭は花弁も緑色をしているのですが、まれに花弁が赤や橙等に色づいた株が発見されるのです。
こうしたものの中から、発色に優れているものなどを選別して楽しんでいるのです。(日本春蘭花物)
この『富士の夕映』は朱金色と呼ばれる発色をする品種群の中の代表格の花と言えましょう。
これは写真写りが一寸悪いですが、朝の陽を浴びていると黄金色ともいえるほどの発色を見せてくれます。
日本春蘭花物には数々あれど、この『富士の夕映』と、同じく朱金色の『福の光』がお気に入りなのです。
今では普及が進んで安くなっているのですが、花の魅力が落ちたと言う訳では無いので、未だに愛培して花を楽しんでいるのです。(^^♪