When I Dream

~気侭な戯言日記~

落ち葉の哀愁

2006-11-29 23:30:30 | 戯言/独り言
家の前は小さな公園がある。ちょっと前までは昼間は近所の人達の憩いの場で、ベンチで休むお年寄り・・・小さな子供たちが走り回る姿を温かい眼差しで見つめるお母さん方・・・宅急便やタクシーの運ちゃんも一息つく光景がよく見受けられたが、この頃は風も冷たくなったせいなのか、風邪が流行っているからなのか・・・昼間でもあまり見かけなくなった。運ちゃん達は自販機でHOT珈琲を買って車の中で一息ついている。

公園には桜の木が10本くらい植わっている。深緑だった葉はいつの間にかすっかり赤や黄色に色づいて・・・風に揺られてハラハラと舞い落ちて、はだけてきている。歩道にはそんな紅葉した桜の木の葉が絨毯の模様ように散らばっていて結構キレイに見えたりもする。
道行く人は誰もそれには気が付かないで落ち葉を踏んでゆくだけだ。近所に住む人は、風に舞って落ちてくる落ち葉を、自分の家の敷地に面した所だけを毎日掃除している。
雪が降って積もっても雪掻きはしないのに・・・なぜだろう。

市の繁華街は早くも“クリスマスカラー”に彩られ、電飾の飾り付けを携帯のカメラで写している人をよく見かけるが、色づいた並木にカメラのフレームを向ける人がほとんどいない事が・・・なんだかもったいないと思ってしまう。絵画のような色のコントラストとバランスのその美しさには、ほとんど誰も目を向けていない。作り物の装飾なんかよりもはるかに荘厳な色合いだと言うのに・・・。商店街も毎日掃除に明け暮れていそうで・・・歩道のタイルにはあまり落ち葉は散らばってはいなかった。夕方16時を過ぎる頃には薄暗くなってきて、大木の枝に残っている葉は鮮やかな色を失ってゆく。ビルの壁に取り付けられた、似たような味気ない色合いの電飾の看板が、大木の枝の葉の色を邪魔するように光っていた。

夕闇が迫るデパート1Fのオープンテラスの光、商店街の明かり、ペデストリアンデッキにあるクリスマスの白い電飾・・・自然の息吹はそんな人工的な彩りに埋もれてゆく。
クリスマス仕様な電飾とショッピングモールの入口の光はたくさんの人の足を誘っている。
ビルの隙間から見える南の空にポツンと浮かぶグレーの雲には、沈みゆく太陽の光を受け・・・ところどころ薄いオレンジ色が混ざっていた。その色合いはより一層肌寒さを感じさせる。

夕方の少し冷たい風は人々を足早にさせていた。人の往来するデッキや歩道の足下で・・・赤や黄色に色づいた落ち葉が、時折そよぐ風に飛ばされていく。
まるで大勢の人の足下をかいくぐるように・・・通り過ぎていくようにも見える。

落ち葉焚きする光景をこの頃は目にしない。
焼き上がってホクホクしたさつまいもの香は遠い昔。
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