先日、私が和裁のサークル活動で通っている公民館の文化祭がありました。
こちらでは絵画、書道、生花…、その他さまざまな活動があり、それぞれ一年かけて作られた作品や活動の発表などを展示する場でしたので、我々のサークルも着物や帯などの作品の展示をしました。
それぞれの展示のブースには誰かしらサークルの担当者が付き、見にこられた方々からのお尋ねに答えたり、作品の紹介などをしたりしていました。私がその担当をしていた時のお話です。
ある年配数人の方々がブースに来られ、こう仰いました。
「素晴らしい作品ですねー。でも皆さん、こんなに着物や帯を作られてどうされるんですか? 私は着なくなった着物や帯をどうやって処分しようかと思案しているところなのに、こんなに作って、着ていくところがあるんですか?」
「私なんてこの間、不要な和服を売ろうと思ってリサイクルショップに相談したら二束三文なのね。こんなことならゴミに出したほうがマシだったと思ったわ」
「私、古い帯で鞄を作ったのよ。でも、そもそも古い帯だから、織り糸も弱っていて、折角苦労して作ったのに使っているうちにすぐに糸が擦り切れてきて、ダメになっちゃった」
「着物は洗えないしメンテナンスが大変よね」
「今度、公民館でバザーがあるからそれに出そうかしら」
こっちは好きで作って、自身が着たり身内に着せたりして楽しんでいるのに、何という言いようでしょうか。
ある意味、我々のような着物好きの人間以外の方々の、着物に対して持っている感情を聞けて勉強になったのですが、そもそも礼装用の着物を着る機会があまりないのは礼装用の洋服を着る機会があまりないのと同じことですし、普段着の洋服と同じように着物にも普段着となるものはありますし、普段にはそういうものを自由に着たら良いことです。
私はこのところ、自分用の、そして普段仕様の着物や帯ばかり作っていますので、そういった作品も出していました。来場者さまには、着物生地には洋服生地と同じように「洗える素材」もあることも話し、私が普段に着ている時の写真、またそれを楽しんでいる様子も見てもらいました。
私自身、最近、自分用にはメンテナンスの楽な素材のものばかり作っています。
例えば、礼装の場に着るようなものでも絹生地に似たポリエステルの生地だってあります。
来場者さまたちには、
「そういう素材もあるのね」
「そういう着こなし方もあるのね」
と言っていただけました。
出来ないこと、不自由なことばかりにスポットを充てていたら折角の日本文化も廃れてしまうのではないでしょうか。
着物は着てナンボのもの。
もう少し着物への凝り固まった先入観を捨てて、ファッションの一部として楽しむ方が増えたらいいのにと思いました。
川口着付個人教室
http://www.wbcs.nir.jp/~yoko