今回でいよいよHGUCガンダムの完成です。
仕上げと一言でいっても色々なやり方がありますが、今回はスミ入れをして全体のつやを整えるという基本的な仕上げをしました。(他にもドライブラシ、フィルタリング、ウォッシング等々仕上げの工程には様々な手法を用いることがあります。)
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スミ入れで使用した道具はこんなところです。
GSIクレオスからスミ入れマーカー、筆ペンも出ていますが、今回はエナメル塗料を使ってスミ入れを行ないます。
使用した道具はエナメル塗料のXF-1フラットブラック、XF-64レッドブラウン、エナメル塗料溶剤、面相筆、塗料皿、綿棒です。
塗装編でエナメル塗料はプラスチックを侵すと書きました。が、スミ入れではふき取ることに出来るエナメル塗料は欠かせません。また、戦車のスコップなどの小さい部品が取れたりすることは何度も体験していますが、ガンプラのようにガッチリ接着している部分が外れることはこれまでありませんでしたし、部品が割れたのは一度だけですのでそうそう神経質になることもないかと。(多分、下地のサーフェイサーと上地の基本塗装がガードしてくれていたのだと思います。)
では、作業に入ります。
フラットブラックそのままでも良いのですが、黒がきつすぎるのでレッドブラウンと混ぜます。
塗料皿に少しずつ取り出し(写真左)、エナメル溶剤で薄めて混合して(写真右)こげ茶っぽい色にします。ちなみに溶剤で薄めているのでサラサラになっているはずです。なお、薄めすぎると中々色が出なくなりますので、やりながら感覚をつかんでください。
こげ茶が出来たら、そのこげ茶を部品に彫られている細い溝に面相筆で塗ります(写真左)。塗料がサラサラな状態ですので、面相筆で溝にチョンと触るだけでサーっと流れてくれます。分かりやすい例でいうと、写真の頬の辺りに筆の跡があります。ここに触っただけで、頬にある溝のほぼ全域にスミ入れすることができました。(毛細管現象が色々してくれるんです。)
で、はみ出たところはどうするかというと、上でもちょっと触れたエナメル塗料の特性「ふき取ることが出来る」の出番になります。乾く前ならば綿棒でそのままふき取ることができます。半乾きや完全に乾た後なら、綿棒に少しエナメル溶剤を染込ませた状態で拭いてやれば塗料が溶けてふき取ることが出来ますので、全部スミ入れして後でまとめてふき取るなんてことも出来ます。
ある程度ふき取ると綿棒もこんな風に汚れてしまいます。こんな状態でふき取りをすると、さっきふき取ったスミを塗りつけることになってしまいますので、こうなった綿棒はポイします。
気付いている方もいらっしゃるとは思いますが、今回調合したスミはレッドブラウンを多めにすると油汚れ、フラットブラックを多めにしてより薄めると水垢といった汚しにも使えます。なので、完全にふき取らずに水や油の流れる方向(垂直方向)にスジ状に少し残せば、整備時の油汚れや、雨だれの跡なんかも表現が出来ます。
さて、スミ入れが完了しましたので、全体のつやを整えたいと思います。
今回は関節、武器以外はつや消しで仕上げたいと思います。つやを消す場合はクリアーのつや消しを吹付けます。当初はトップコートのつや消しクリアーを使うつもりだったんですが、作業した日(9/6)は台風接近で湿度が高く、白かぶりする可能性があったのでMr.カラーのC182スーパークリアーつや消しを使用しました。
(トップコートは水性塗料なので湿気が高いと白く変色します。トップコート以外にもラッカー系のスプレー(クリアー)があります。)
そうそう、つや消し以外にも光沢や半光沢のクリアーがあります。つやの状態でどう変わるのかというと、こんな感じです。
光沢・・・表面がツルツルできれいだが、輪郭がぼやけた感じになる。
つや消し・・・表面がガサガサだが、ギュッと引き締まって輪郭がはっきりする。
半光沢・・・光沢とつや消しの中間
まあ、はっきり言って好みの問題です。
では、つや消しクリアーを吹付けます。ガンプラの様に可動部の多いモノは、部品毎に塗装した方が無難です。組み立ててしまうと、よく塗り残しが出てしまいますので。
で、関節、武器等は何もしませんでしたが、今回塗装した色は部品同士が擦れると、塗料がついてしまいますので、よく動かして遊ぶ方は半光沢、光沢で仕上げた方が良いです。
(私は大体ポーズ固定ですので・・・手抜きしました。)
クリアー作業が完了したら、最後にガンダムの目を塗ります。(銀のままだったこと覚えてますか?)
目の銀の上から、エナメル塗料のクリアーイエローを塗ります。一度、つやを消しましたが、クリアーイエローが光沢のある塗料なので、つやが復活って寸法です。
さて、全ての部品の仕上げが完了しました。あとは組み立てるだけです。後ハメ加工したところを接着剤で接着して(すみません写真忘れました)全ての部品を組み付けます。
完成です。あとはお好みのポーズを楽しんでください。
ズギューン!
ジャキーン!
完成したガンダムはズギューン!のポーズで当店ショーケースに飾ってあります。
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紆余曲折あってようやく完成しました。いかがでしょうか?
今回上手くいかなくても「あせらず、丁寧に」を心がけていれば、作るごとに上達するはずですので、長い目でじっくりと腰を落ち着けて行きましょう。
(私はちょっとあせってしまって、仕上げにいい加減なところが出てしまいましたが・・・)
さて、残っているザクを使ってステップアップ(2)へ・・・と期待している方もいると思いますが、次回はAFVステップアップ(1)をやろうかなと思います。(AFV:Armored Fighting Vehicleの略。要するに戦車とか装甲車なんかを指します。)
もちろん、コアファイターも完成したらブログへUP、ショーケースへ展示します。
塗料にも色々種類があって、重ね塗りする場合は塗料同士の相性があります。で、例によって説明します。
模型用の塗料は大きく分けて「溶剤系アクリル塗料(ラッカー系塗料)」「水性アクリル塗料」「エナメル塗料」に分かれます。
(日本製の「溶剤系アクリル塗料」は厳密には「ラッカー系」ではありませんが、慣例的に「ラッカー系塗料」や「油性塗料」と呼ばれています。模型誌、解説書でもよく上記慣例が使用されています。)
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まずは溶剤系アクリル塗料から。
GSIクレオスのMr.カラーなどが該当します。
特徴は、
- 塗膜が丈夫。
- 乾きが早い。
といったところです。乾きが早いのが特徴ですが、夏場などは「あっ!?」という間に乾きますので、ビンを開けっ放しにしたりしないように注意です。
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続いて、水性アクリル塗料。
タミヤの水性アクリル塗料などが該当します。
特徴は、
- 安全性が高く(引火しにくい)、のびがよいので筆ムラが少ない。
- 筆やエアブラシなどの塗装用具を水洗いすることが出来る。
といったところです。水洗いすることが出来るとありますが、塗料が乾燥してしまうと水洗いできなくなります、要注意です。(乾燥したら、専用のうすめ液などで洗いましょう)
また、一応水で薄めることが出来ます。が、その場合塗膜が弱くなってしまいますので、あまりオススメしません。
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最後に、エナメル塗料。
タミヤのエナメル塗料などが該当します。
特徴は、
- 塗料ののび、発色が良く、ふき取りが出来る。
- 乾きが遅い。
- 溶剤がプラスチックを侵す。
といったところです。一番気になるのは、3番のプラスチックを侵すだと思います。これは、接着部に作用してポロっと部品が取れてしまったり、相性が悪いときはプラスチック自体が割れてしまうことがあります。まあ、そんなことが頻繁にあるわけではないので「部品が取れたらまた付ければいいや」位の気持ちで使っています。
以上が各塗料の説明です。
また、プラモは色を重ねて塗ることが多いので、各塗料同士の相性があります。適当に色んな塗料を重ね塗りしていると、色が混ざったりしますので注意してください。
溶剤系アクリルの上に水性アクリル、エナメル塗料を塗るのは大丈夫ですが、水性アクリル、エナメル塗料の上に溶剤系アクリルを塗ると色が混ざります。
上記、説明ともう少し詳しい相性表が当店塗料コーナーに掲載していますので、参考にしてください。
まあ、溶剤系アクリル→水性アクリル→エナメルの順番で使っていれば問題ないと思います。もちろん、溶剤系アクリル→エナメルでも水性アクリル→エナメルの順でも問題なしです。
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さて、それでは作業の方へ行きます。
全てMr.カラーで塗装しました。(顔の部分はエナメル塗料と使い分けるべきだったと、作業後に反省。)
今回、使用した塗料は次の通りです。
- C156 スーパーホワイト
- C2 ブラック
- C3 レッド
- C4 イエロー
- C5 ブルー
- C34 スカイブルー
- C40 ジャーマングレー
- C214 ダークアイアン
- C211 クロームシルバー
それぞれの塗料を混色して塗装しました。各色の調合は大体こんな感じです。
- 白=スーパーホワイト(100%)
- 赤=レッドにホワイト、イエロー、ブルーを極少量
- 青=2(ブルー):1(スカイブルー)
- 黄=4(ホワイト):3(イエロー)
- グレー=1(ダークアイアン):1(ジャーマングレー)を気持ちダークアイアンを多めに
割合はあまり厳密に受け取らないでください。私自身「うん、大体こんなもん」で決めていますし、この色じゃなきゃダメなんて決まっていませんので。大抵、色の系統を大きく変更しなければバランスがおかしくなることはありませんので、青+紫や黄色+オレンジといった色を使うのも面白いかと思います。
あまりにも迷う場合はGSIクレオスから調色済の塗料が出ていますので、そちらを使うのが良いかもしれません。
実際、グレーは最初「CG24 グレー(24)」を使おうかと思ったんですが、リアルグレードのポスターを見て黒っぽい色も格好良いなと思って今回の色になりました。
では、調色します。
写真はガイアノーツの調色工房(塗料皿10枚+調色スティック付き、定価:158円)に各塗料を入れて混ぜた状態です。
調色のコツとしては「最初に大量に塗料を投入しない」 ことです。最初に大量に投入すると、次に投入する塗料も大量になって、微調整する塗料も量が増えていき・・・最悪の場合、塗料皿に収まらず、スペアボトルからもあふれる状態にもなりかねません。(まあ、途中でやり直すとは思いますが、もったいないには変わりないです。)
大量に塗料を作りたい時は、少量で調合割合を決めてから量を増やすようにしています。
あと、仕上げでトップコートを吹いてほとんどつや消しにしますので、この時点ではつやのあり/なしはあまり気にしません。
それでは、塗装します。なんだか自然と手が伸びてエアブラシでやっちゃいました・・・
Mr.カラーは固いので、筆で塗る場合はうすめ液で薄めて重ね塗りしたり、Mr.リターダーマイルドを加えたりしてなるべく筆ムラが出ないようにしましょう。(仕上げの際、Mr.トップコートを吹き付けますので多少のムラなら目立たなくなりますが、なるべくムラのない様にした方がキレイになります。)
関節や武器・ランドセルはダークアイアンという色を使用しています。この色は乾燥後磨くことで、キラッ!と光る塗料です。ジャーマングレーと調色しましたが、この位の割合ではその特性は残ってます。
写真は手を綿棒で磨いているところです。綿棒で擦ると表面の曇った膜を取り除いたようになります。あまりゴシゴシやると下地が出てきますので、やりすぎに注意です。
結構いい感じです(自画自賛)。ジャーマングレーが暗かったので、今度はもう少し明るいグレーを使って、ダークアイアンの割合を増やしてみようかなと思います。まあ、いつになるかわわかりませんが・・・。
細かいところは筆塗りしました。
顔は白→赤→ブラック→クロームシルバーの順で塗っています。白以外は筆塗りです。塗料がはみ出たところは、上から塗り重ねて修正しました。
目の銀は仕上げの際に黄色を上塗りしますのでこのままです。
全てフリーハンドで塗りわけましたが、この程度ならマスキング出来たなぁ、と塗り終わった後で反省。
その他の細かいところも同じように塗装、修正しています。
後、組み立てたら見えない首の周りなんかはこんなもんです。
見えるとこはしっかり塗って、見えないところは手抜きです。
こんな感じで全部の部品を塗装しました。が、コアファイターで塗りわけが間違っているところを発見!ちょっとテンションが下がってしまいました。コアファイターは後日お披露目ということで、仕上げ編ではガンダムのみを仕上げて行きます。
次回はいよいよ仕上げです。(ガンダムのみ・・・)